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【神戸市兵庫区】ビリケンさんは通天閣だけじゃない、日本最古のビリケンさんが神戸に2体も!

斎信夫(いつき)WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

ビリケンさんといえば、真っ先に思いつくのが大阪・通天閣のビリケンさんですが、実は神戸にもビリケンさんがいるんです。しかも2体も!

まず一つ目のビリケンさんに会いに行ってみましょう。
場所は、兵庫区にある「西出町鎮守稲荷神社」。JR神戸駅から阪神高速の高架下を南の方向に約10分ほど歩いたところにあります。

商売繁盛、交通安全、防火守護などの御利益のあるチヂミさんとして地元の人に親しまれています。1824年に建立された、江戸時代後期に活躍した豪商高田屋嘉兵衛が献上した灯篭もあります。

その横にはビリケンさんについての由来が書かれている案内板が。

ビリケンさんは、奥の拝殿に祀られていますが、残念ながら現在はガラス越しにしか見ることはできません。

ビリケンではなく「ピリケン菩薩」。

高さは1m足らずで1930(昭和5)年のもの。戦前に作られたビリケン像は日本に2体しかなく、こちらは日本で2番目に古いもの。

そして日本で一番古いビリケンさんも神戸市兵庫区にあります。
「西出町鎮守稲荷神社」から北東方面に徒歩約8分のところにある「松尾稲荷神社」。

入り口は狭いですが、奥に広い敷地でこの先に本殿があります。

赤い鳥居が美しいですね。

途中には、元々北野坂に鎮座されていた平成のビリケンさんも。

隣には赤いガラス玉が石にはめ込まれた不思議なものが!
これは1912(明治45)年に建立された「一眼成就の碑」というもので、もともとは遥か遠くの伊勢神宮を碑を通して拝むための遥拝碑でした。赤く丸いガラスが目のように見えることから「一眼=一願」。つまり、一願成就にご利益があるとされ、多くの参拝者から篤い信仰を受けるようになりました。

さらに奥へ。

はい、こちらが本殿。たくさんの奉納提灯が吊り下げられ、その数に圧倒されます。「提灯持ちのお稲荷さん」とも呼ばれ、地元の人に親しまれています。

「松尾稲荷神社」の創建がいつなのかは不明ですが、かつて境内には楠木正成公ゆかりの松があり、正成公が戦死した1336(延元3)年には、既に当地に祀られていたことがわかっています。

ビリケンさんはまだこの先。

一番奥に鎮座しておられます。

このビリケンさんは、大正の初め頃、神戸に寄港したアメリカ人の水兵さんによってもたらされたビリケンさんを見た元町の洋食屋の主人が、本物をまねて作らせたものだとのこと。木製で漆塗り、米俵に腰をおろし、右手に打ち出の小槌、左手に瑞玉を持ち、背中に大判を背負うというまるで大黒様のような坐像です。高さは約60cm。神社では「松福まつふく様」と呼ばれています。

当時は和洋折衷のこのビリケンさんを“ジャパンビリケン”とも言ったそうで、洋食屋の店頭に安置したところ多くの客が訪れて店が繁盛したそうで、商売繁盛の御利益があるこの神社が譲り受けることになりました。元々ビリケンさんは、アメリカの芸術家が夢で見た神秘的な人物の姿がモデルになっていて「幸福の神様」と言われ、大正から昭和初期にかけて外国の福の神ともてはやされていました。客寄せのための神様とも言えますね。

通天閣のビリケンさんも、元々は1912年(明治45)年に新世界に開園した遊園地「ルナパーク」に置かれて名物に。その後行方不明になり、1979年(昭和54)年に完成した通天閣で復活。現在のは2012(平成24)年の通天閣100周年にあわせて新調された3代目の像です。

ビリケンさんの前にはたくさんのお供物が!
足を撫でるだけの通天閣とは全然違いますね。

ビリケンさんが描かれた絵馬やお財布、お守りもあります。除災招福のご神徳に加えて、病気平癒、学業向上の御利益があるとされています。

宮司の長山竹之さんはビリケンさんの収集家でもあるそうで、世界各国のビリケンさんの写真が掲示されています。

いかがでしたか?神戸・兵庫区の日本最古のビリケンさん。

兵庫区のこの周辺には、以前記事で紹介した兵庫津ミュージアム和田神社新川運河キャナルプロムナードなど、歴史にまつわるスポットが数多く集まっています。一日かけて歴史散歩してみるのもいいですね。

基本情報
名称:西出町鎮守稲荷神社
住所:兵庫県神戸市兵庫区西出町680

名称:松尾稲荷神社
住所:兵庫県神戸市兵庫区東出町3丁目21-3

アクセス:いずれもJR神戸駅から徒歩約10分、神戸市営地下鉄海岸線 中央市場前駅から徒歩約16分。

松尾稲荷神社 公式サイト

WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

兵庫県西宮市生まれの神戸育ち。テクニカルライターを経て、1998年より会社を設立しWEBクリエイター、フリーライターとして活動。数々の旅行関連サイトを企画・運営。LINEトラベルjp元編集者兼ライター。沖縄と北海道が大好きで6年半沖縄市に在住。海外は特に台湾が好きで渡航回数10回以上。「週刊日本の島(デアゴスティーニ)」専属ライター&フォトグラファーとして沖縄、兵庫、瀬戸内等の33の島の記事を執筆。こちらでは地元神戸市の魅力を、時には動画を交えてお伝えしていきます。X(旧Twitter)、Instagramでも、神戸の最新情報や記事でのこぼれ話、その他の旅行ネタなども発信。

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