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【神戸市兵庫区】神戸らしいオシャレで優美な姿!近代化産業遺産の「立ヶ畑ダム・烏原貯水池」

斎信夫(いつき)WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

神戸市には、千苅貯水池、布引貯水池、烏原貯水池の3つの貯水池があり、ここからから浄水場、ポンプ場、配水池、配水管を経て各家庭に水が届けられています。布引貯水池は「ひたすら下るだけの布引お手軽ハイキング、重要文化財も随所に!」と題する記事でご紹介しましたが、今回ご紹介するのは、兵庫区にある烏原貯水池と立ヶ畑ダム。

まず行き方ですが、最寄りの神戸市バスのバス停は石井町で、ここから徒歩15分ほど。報恩会 パーマリィ・イン千鳥山荘という建物のところから坂道を上ります。

また、氷室神社のほうからもアクセス可。2024年の正月にご紹介した「初詣で恋愛運アップ!最強の恋愛パワースポット「氷室神社」で愛の手紙を出そう」と題する記事で、最後に「氷室公園」をご紹介しましたが、そこから東方向に歩いていくと約10分で到着。こちらは急な上り坂もなく楽ですし、氷室神社参拝と併せて訪れるのもおすすめです。以下、このルートでご紹介します。

「氷室公園」を過ぎると右手には神戸の街が一望できます。ここから行守寺のほうに進んでお墓の横を通り、大調和の碑のほうに降りていくと、烏原貯水池が姿を現します。

烏原(からすはら)貯水池は、新湊川水系の石井川、烏原川及び天王谷川を水源とし、明治38年(1905年)に完成。布引貯水池は明治33年(1900年)完成なので、その5年後ですね。

貯水池の周囲は「烏原 水と森の回遊路」が続いていて、休憩所や広場などもあります。池を眺めながら散策するのもおすすめ。

烏原貯水池の一番東には立ヶ畑ダムがあります。正式名は立ヶ畑堰堤(たちがはたえんてい)で、平成10年(1998年)に国の登録有形文化財になりました。

ここからの景観が美しいですね。

親柱には「大正三年擴張」と記されています。大正3〜4年(1914〜1915年)にかけて、貯水量を増やすために2.72mの嵩上工事が行われ、現在の姿になりました。

立ヶ畑ダムは、経済産業省の「近代化産業遺産」にも認定されている神戸を代表する産業遺産のひとつです。

水道専用ダムとしては日本で4番目に古いダム。布引貯水池の五本松堰堤(記事参照)はこのように直線型ですが・・・

立ヶ畑堰堤は、堤体をアーチ状に湾曲させた優美な姿。構造的には重力式コンクリートダムになっています。堰堤中央上部には4連アーチ状の余水吐が設けられ、満水を超えると扉が自動的に開いて水を放出します。

堤体の中心は0.3m大の粗石及び栗石モルタル積み。洋風な意匠が取り入れられ、神戸らしいオシャレなデザイン。ヨーロッパの古城の石垣のような雰囲気もありますね。

設計は、神戸水道創設の中心的技術者である佐野藤次郎 (さのとうじろう)氏。岡山、佐賀、朝鮮などで水道事業に関わった明治・大正期における代表的な水道技術者で、神戸市水道工事長などを経て、神戸市技師長となりました。

当時、佐野藤次郎氏はイギリス、インドの水道施設を視察したそうで、その成果をダム設計に反映させています。興味ある方は、公益社団法人土木学会のこちらの文献(PDFにリンク)をお読みください。

取水塔の古典主義的なデザインも素敵ですね。

入口には、中国の故事から引用された「養而不窮(養いて窮まらざる)」という、第13代兵庫県知事であった服部一三氏の筆による文字が刻まれています。また、中央左右には、当時の神戸市長と建設に携わった技術者の名前がローマ字で刻まれたプレートがあります。

烏原貯水池の反対側から下を覗くと、沈澄池という施設が見えます。現在は使用されていません。

正面左手、護岸中段には、石臼が長さ90mに亘り160個並んでいます。

明治時代まで、この周辺では線香にする木皮細末の原料粉を製造する水車が多く活躍しており、石臼が日常的に使われていました。明治37年(1904年)、烏原村の人々が烏原貯水池築堤によって離村するにあたり、神戸市の繁栄を願ってその足跡を記念に残したものです。

烏原村の水没時の戸数は98戸、人口414人だったそうです。

近くには亀の甲広場があります。休憩所、ベンチ、トイレがあります。散策に疲れたらこちらで休憩するのもいいでしょう。

いかがでしたか?
神戸らしいオシャレなデザインの立ヶ畑ダム。住宅街のすぐそばにこんな施設があるのも街と山との距離が近い神戸ならではですよね。

近くには以前ご紹介したフードホールなどがある「NATURE STUDIO」やコツメカワウソが可愛い「みなとやま水族館」もあるので、併せて訪れてみるのもおすすめです。

基本情報
施設名:立ヶ畑ダム・烏原貯水池
住所:兵庫県神戸市兵庫区烏原町東山
アクセス:神戸市バス「石井町」ら徒歩約15分、氷室神社から徒歩約10分

神戸市公式サイト 烏原立ヶ畑堰堤(からすはら(たちがはた)えんてい)
神戸市水道局 公式サイト 貯水池

WEBクリエイター/旅行ライター・エディター(神戸市)

兵庫県西宮市生まれの神戸育ち。テクニカルライターを経て、1998年より会社を設立しWEBクリエイター、フリーライターとして活動。数々の旅行関連サイトを企画・運営。LINEトラベルjp元編集者兼ライター。沖縄と北海道が大好きで6年半沖縄市に在住。海外は特に台湾が好きで渡航回数10回以上。「週刊日本の島(デアゴスティーニ)」専属ライター&フォトグラファーとして沖縄、兵庫、瀬戸内等の33の島の記事を執筆。こちらでは地元神戸市の魅力を、時には動画を交えてお伝えしていきます。X(旧Twitter)、Instagramでも、神戸の最新情報や記事でのこぼれ話、その他の旅行ネタなども発信。

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