【京都市東山区】ねねと淀君は実は仲が良かった? 豊臣秀吉とねねの寺で幽玄の世界演出 百鬼夜行展示も
豊臣秀吉の正室・ねねが往生したとされる京都東山区の高台寺で、夜間特別拝観が行われています。2021年8月18日(水)まで。
夜の高台寺に入るのは初めて、ドキドキしながら入っていくと、毎日、秀吉の菩提を弔うため、お霊屋に向かう天下人の妻、ねねが雨に濡れないようにと作られた臥龍(がりょう)廊に沿って広がる、小堀遠州の作と伝わる高台寺庭園がライトアップされていました。
方丈に入室すると、高台寺が所蔵する新旧2本の百鬼夜行絵巻が展示されていました。怖いというよりなんとなく可愛い妖怪たちが描かれています。さらに進むと、庭園がプロジェクションマッピングで色彩鮮やかに演出されています。しばし夜の風に吹かれながら、幽玄の世界に酔いしれました。
関白の正室を意味する北政所(きたのまんどころ)と呼ばれた豊臣秀吉の正室・ねねが隠棲の場所とした高台寺の名は、後陽成天皇から贈られた院号・高台院に因みます。また、ねねが所持したと伝えられる蒔絵調度類を多数蔵することから「蒔絵の寺」の通称でも知られています。
高台寺には、桃山美術の頂点とも言われる鮮やかな色彩を放つ高台寺蒔絵、秀吉が朝鮮出兵の際に乗ったとされる御座船の二重折り上げ格天井、ねねが燃え上がる大阪城を見つめていたと言われる時雨亭、傘亭なども現存していて、見どころも満載です。
ところで、これまでドラマなどで描かれてきた、子のできなかった正室のねねと秀頼を生んだ淀君の確執が、最近の研究では見直されてきているのだとか。豊臣家の奥向きを取り仕切ったねねは、淀の安産祈願に始まって、秀吉没後も淀と秀頼を守るために尽力していたと言われます。ねねは、大坂夏の陣の折、時雨亭の二階からどのような気持ちで真っ赤に染まるちぬの海(大阪湾)を見つめていたのでしょうか。
歴史ロマンあふれる高台寺へ、ぜひ一度は訪れてみてください。
臨済宗建仁寺派 鷲峰山 高台寺 京都市東山区下河原町526