【京都市上京区】秋の味覚をふんだんに盛り込んだ老舗和菓子店のラインナップが見事。京菓子資料館も面白い
京銘菓 雲龍で知られ、創業宝暦五年(1755年)から続く老舗和菓子店、「京菓子司 俵屋吉富」で秋の和菓子のラインナップが出そろい始めているとの情報を得て、早速訪問しました。
京逍遥(きょうしょうよう)「紅葉狩り」は、栗羊羹と二色の羊羹で山々が錦秋に染まる情景を彩りよく表現した一品。その名の通り、京の町をそぞろ歩きしながら紅葉を楽しむような趣があります。食べてしまうのがもったいない感じもしましたが、菓子楊枝がすっと入る柔らかさとしっかりとした栗の歯ごたえが感じられて美味しかったです。
きんとんは、あんの周りにそぼろ状に裏漉したあんをまぶした上生菓子。あんの色や色の組み合わせを変えることで四季を表現し、茶席のお菓子として定席となっています。大きな栗を載せた秋の一品を、お抹茶を一緒にいただくと、栗のほこほこ感を残しつつ、滑らかで優しい甘さで美味しい。「やっぱ、一流店の味やあ」と、ほんとに至福のひと時を感じました。
その他にも、超薄の飴のような皮の中から、秋の味覚のゼリーが飛び出す新食感の「こはく」、9月は栗琥珀、10月は葡萄琥珀、11月は柿琥珀となります。透き通る色合いの見事な柿羊羹、職人が一つ一つ手書きで景色を描く、可愛らしいボンボンは、プレゼントにとても人気。甘い蜜を砂糖の結晶で閉じ込めた素敵な御菓子です。糖蜜ボンボン「京つれづれ」と Happy Halloweenの二種があります。
俵屋吉富には、烏丸店に隣接して、京菓子文化の総合的な資料館として「京菓子資料館 」があります。玄関を入って正面に「素敵な生け花が生けてあるなあ」と思ったら、お菓子で出来ていました。農林水産大臣賞も受賞した本物の生け花そっくりの糖芸菓子のド迫力に驚かされました。
同資料館では、古代から続く木の実や果物といった「果子」から現代までの「和菓子のあゆみ」について展示があり、ポルトガルやスペインから、いわゆる南蛮菓子が渡来した当時の菓子作りの技術や様子なども伺え、中々の見ごたえです。
「観光旅行の方々はもちろん、京都市民の皆様にも一服のお茶とお菓子を通して、楽しく語りあえる課外学習や生涯学習の場として活用してほしい」としています。
歴史ロマンにも触れた後は、祥雲軒にて、一服のお茶と作り立ての本物の上生菓子をぜひ味わってみてください。
「京菓子資料館」 京都市上京区烏丸通上立売上ル