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【京都市上京区】「さよなら京都市電」から43年、懐かしい電停板や乗車券、京の有形文化財資料など初公開

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 寺町今出川から軽快に自転車で寺町通を下っていると、京都市歴史資料館前で懐かしい市電の写真が目に飛び込んできました。大阪からの中学校の研修旅行で見かけて以来です。もう京都に路面電車が走っていたことすら知らない世代が多くを占めていますね。思わず中に入って鑑賞しました。

京都市歴史資料館
京都市歴史資料館

 同資料館では、2021年10月1日(金)から12月5日(日)(月曜休館)まで、「こんにちは京都市電-京都市電関係資料をひもとく-」が開催されています。3月31日に京都市の有形文化財に指定された「京都市電関係資料」877冊が初公開されているのを始め、昔懐かしい写真や電停板、方向幕、模型やジオラマ、当時の乗車券や回数券などが展示されています。

「こんにちは京都市電」
「こんにちは京都市電」

 電気を動力源とする鉄道(電車)、いわゆるチンチン電車の営業路線が日本で初めて走ったのは、明治28年(1895年)2月1日のこと、京都市の東洞院塩小路から伏見町の下油掛の間でした。京都電気鉄道株式会社(京電)が開業しました。

京都市の有形文化財に指定された「京都市電関係資料」
京都市の有形文化財に指定された「京都市電関係資料」

 当時、蒸気機関車は走っていたものの、庶民には高価な乗り物だったため、もっぱら舟運が主流でした。京電は淀川汽船と連結して、京都と大阪のメインルートとなったのでした。

「こんにちは京都市電」
「こんにちは京都市電」

 その後、京都市交通局に引き継がれ、京都市民の足を守り続けましたが、1978年9月30日限りで全廃されました。「さよなら京都市電」から43年、今回展示された資料には、路線の敷設、延長、廃止、車両の新造や改造など、およそ100年分の記録が収められています。

京都市の有形文化財に指定された「京都市電関係資料」
京都市の有形文化財に指定された「京都市電関係資料」

 昭和11年の七条変電所の敷設にあたっては、後白河天皇の法住寺陵に近接することから、騒音や景観に配慮するよう宮内省から申し入れがあったことや戦中、戦後には食糧輸送のため、既設軌道から分岐して、京都市中央市場や下鴨集荷場などに臨時路線が引き込まれていたことなどの貴重な記述が散見されます。

伏見駿河屋の麩せんべい「電車みち」
伏見駿河屋の麩せんべい「電車みち」

 お帰りには、かわいい市電イラストの焼印入り、伏見駿河屋の麩せんべい「電車みち」やポストカードなども販売されていますので、京都御所で紅葉を鑑賞された後にでも、ぜひお立ち寄りになってください。

京都市歴史資料館 (外部リンク)京都市上京区寺町通荒神口下る松蔭町138番地の1 075-241-4312 

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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