【京都市下京区】閻魔様始め、十人の冥界の裁判官は街のシンボル。商店街で初めてのえんま堂祭りが大盛況!
西七繁栄会のルーツは、平安京の朱雀大路を中央に左京と右京に配置された官営市場の「東市・西市」のうち「西市(にしのいち)」を起源としています。そんな由緒ある商店街で初めての地域イベントとして、2021年11月27日(土)と28日(日)に開催された「七条えんま堂まつり」に親子連れやたくさんの人々が訪れ大盛況となりました。
主催の西七繁栄会とともに、えんま堂を管理する大原野の正法寺、龍谷大学や京都美術工芸大学の学生ら、京都信用金庫、京都リビング社といった地元に係る企業も連携。オリジナル紙芝居とマジックショー、似顔絵コーナー、灯籠づくり体験、一億円持ち上げてみよう、法話や護摩を焚いて厄除けを行う護摩供など多彩な行事が行われました。
このえんま堂に祀られている閻魔様始め十王とは、実は冥界で生前における罪を裁断する十人の裁判官のことです。秦広王が初七日、初江王が14日目、宋帝王は21日目、五官王は28日目、有名な閻魔王は実は35日目の裁判官です。変成王が42日目、泰山王は49日目、平等王が100か日、都市王が1周忌、五道転輪王が3回忌において裁決をするとされています。49日や100か日法要はそれぞれの区切りで没した人の成仏を願うところから来ています。
えんま堂を管理する大原野の正法寺吉川教正副住職は、「近年の調査で鎌倉時代や室町時代の古い十王像がすべて揃っていることが分かり、重要文化財に指定されてもおかしくない大変貴重な仏像です。商店街の中にお堂があるのも珍しいので、街のシンボルとして地域の活性化にお役に立てれば」と言います。
実はこのえんま堂を中心とした地域活性化プロジェクトにもドラマがありました。本格的な取り組みを始めたのは3年前のこと、「七条えんま堂」は、かつて西七条村と言われた時代以前から存在しており、地域の方々によって守られ、脈々と受け継がれてきた古い歴史がありながら日常的には閉鎖されている現状や、いったいいつごろからあるのか誰も知らないといった状態でした。
まず十王像をはじめとする仏像の調査から始まりました。龍谷大学龍谷ミュージアムと連携を行い、詳細に調査をしたところ、街の小さなお堂で11体もの古い十王像が存在していたこと、ほとんどの十王像が室町時代に作られたもので、最も古いものは鎌倉時代のものという驚きの事実が判明しました。堂の中から「十王堂記」(1753年)という巻物も発見され、江戸時代の寛永二年(1625年)にはすでにこの地に前身となる十王堂が存在していることも判明しました。
地域の人たちの注目も集まる中、たくさんの人たちの尽力と下京区役所の推薦を通じて2020年1月には駒札が設置されました。 西七繁栄会の渡邉道夫会長は、「西大路通り近辺に流れていたと言われる小さな川が賽の河原と見立てられていた逸話や、近くには、安倍晴明の子孫、陰陽師土御門家の天文台などもあったとされる歴史的にも魅力ある地域です。京都駅西部エリアの開発に伴い、観光客もすこしずつ七条通りに増え始めていることもあり、商店街のシンボル、街のシンボルとしての七条えんま堂をアピールしていきたい」と語っています。
梅小路から西側の七条通も盛り上がってきました。新しい京を発見しに、ぜひ足を運んでみてください!
七条えんま堂(外部リンク) 京都市下京区西七条南西野町3