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【京都市中京区】京の染めおりにかかわる作家らがワークショップや着物着コンサート 新しい物づくりを模索

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 会場に入ってまず目を引いたのが、一面に描かれた扇や武人が今にも飛び出しそうな迫力ある絵柄や雅でカラフルな絵柄の振袖などの展示でした。さらに、ショールや手拭い、ヘアゴム、真田紐、陶芸絵付け、がま口といったものも。展示、物販、ワークショップなどが行われていました。

「京のそめおり路地」
「京のそめおり路地」

 2021年12月12日、木屋町御池上ルの十祇家とSMILE GARDENの両会場で行われた「京のそめおり路地」(株式会社竜み絵主催)には、友禅作家始め、京の染め物にかかわる作家やアーティストが集まりました。

会場となった十祇家
会場となった十祇家

 明治初期創業の岩井染工は、100年以上に渡り、京友禅の「型友禅」に特化して、すべて手作業で着物を染めてきました。作品には、一点ものの温かみが伝わってくるしなやかさがあります。

明治初期創業の岩井染工
明治初期創業の岩井染工

 真田紐は経糸と横糸を使って機(はた)で織る世界最小の織物です。カラフルな色合いが綺麗な紐ですが、たくさんの本数の糸を圧縮して織るため、伸びにくく丈夫で昔は荷物の運搬に使われていました。お茶の師匠などが、桐箱を運ぶシーンに使われていることでも知られます。車を引っ張ったり、石垣を運ぶほどの強度があると言います。

真田紐は機(はた)で織る世界最小の織物
真田紐は機(はた)で織る世界最小の織物

 手描き友禅作家の兵江美香さんは、長い髪をくくったり、小箱の止めゴムにしたりと重宝されるヘアゴムを、着物の端切れを使ってリメイク、SDGsな取り組みをしています。

手描き友禅作家の兵江美香さん
手描き友禅作家の兵江美香さん

 同様に着物の端切れを使い、オリジナルがま口制作のワークショップを開いていたのは、着物着付け教室を主宰する松前章子さん。小銭入れタイプからバッグになる大きさまで、可愛い絵柄のがま口が並んでいました。

松前章子さん
松前章子さん

 イベントをプロデュースした友禅作家でギターリストの岩井雅実さんは、「着物産業が衰退し、分業大量生産のニーズが無くなる一方で、一人の作家がすべて仕上げる一点ものの価値が見直されてきています。京の染めおりにかかわる作家さんたちと手を携えて、今日の企画をきっかけに新しいモノづくりなども手掛けることができれば」と思いを語ってくださいました。

友禅作家でギターリストの岩井雅実さん
友禅作家でギターリストの岩井雅実さん

 この日は、京の染めおりの魅力を音楽に載せて届けようと、着装でハンマーダルシマーやピアノ、フルート、二胡とギターなどの演奏会やかたりべ満茶乃さんのトークセミナーなども開催されました。イベントは終了しましたが、出店の商品は「京のマチカド旅心」サイト(外部リンク)から購入できます。

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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