Yahoo!ニュース

【京都市下京区】酒呑みでお釈迦様に怒られた真っ赤な仏様は本堂に入れないって俗説だったのかなあ?

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 紅葉シーズンも一段落して観光の人たちも少し落ち着いたでしょうか。京都の人たちは12月に入ってあわただしくもなってきているようです。そんな2021年12月17日に街中の薬師さんを訪ねてみました。

「因幡堂のお薬師さん」
「因幡堂のお薬師さん」

 烏丸通り高辻を東入にある因幡堂 平等寺は、平安時代の長保五年(一〇〇三年)に橘行平によって建立されて以来、「因幡堂のお薬師さん」として一千年余にわたって人々の篤い信仰が続いています。因幡堂の正面真南の通りを不明門(あけず)通りと呼びますが、これは源平争乱の時代、八十代の高倉天皇が因幡堂のすぐ南「東五条院」として邸宅を構えていたため、五条院の御所に遠慮して南門を開けなかったためと伝わります。

馬頭観音
馬頭観音

 承安元年(一一七一)には、高倉天皇により「平等寺」と命名され、勅額を贈られています。度重なる火災の被害に遭いながらもその度に町衆の力によって難を逃れてきた創建当初からの御本尊である京都因幡堂の薬師如来は、コロの付いた厨子の中にあって、頭には緩衝用の頭巾を被っている事でも知られます。長野善光寺の阿弥陀如来、京都嵯峨清涼寺の釈迦如来とともに日本三如来とも呼ばれる貴重な仏様です。

日本三如来の薬師如来を安置
日本三如来の薬師如来を安置

 さて、その因幡堂でも見つけました。実は長野の善光寺を始め、全国いたるところ外陣や本堂の外に鎮座されている仏様。赤い体をした賓頭盧尊者、これで「びんずるそんじゃ」と読みます。釈尊(釈迦)の弟子で、十六羅漢の第一の高僧です。白髪でまゆが長い像につくられ、その像をなでて病気の回復を祈ることから「なで仏」とされています。多くの参拝者に頭をなでられてつるつるぴかぴかです。

「おびんずるさん」
「おびんずるさん」

 さて、この「おびんずるさん」が、何故外陣や本堂の外にいて、お釈迦様のそばに入れてもらえないのか。一説には「酒好きで、修行の間に一杯やっていたのが釈尊(釈迦)に見つかってしまい、堂内に入る事が禁止され外に放置されてしまった。これに懲りた賓頭盧尊者が猛省して修業に励んだので、後に堂外でのみ傍にいることが許された」とも云われます。「それで顔や体が赤いんだ」と思いますよね。

「因幡堂のお薬師さん」
「因幡堂のお薬師さん」

 ただこの話は俗説だとも言われています。学問的には「十六羅漢(らかん)の中でも特に神通力が強かったといわれる賓頭盧尊者が、その神通力を勝手気ままに乱用したため、釈尊のお叱りを受け、涅槃(ねはん、すべての煩悩から解き放たれた境地)に入ることを許されなかったから。体が赤いのは生命が充満している様子」なのだとか。

「おびんずるさん」
「おびんずるさん」

 う~ん、筆者は、酒呑みでおちゃめな仏様がいてもいいと思うんだけどなあ! そんな「おびんずるさん」に会いに行ってみてください。ちゃんと本堂のお参りもしましょうね!

因幡堂 平等寺(外部リンク)京都市下京区因幡堂町728

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

HOTSUUの最近の記事