【京都市上京区】芸舞妓が茶のふるまい 北野の天神さんで厳かな祭祀と艶やかな野点 対照的な歴史ロマン!
学問の神様として知られる京都市上京区の北野天満宮で、2022年2月25日、古来より続くとされる「梅花祭」が催されました。学者として異例の出世を遂げた菅原道真公は、藤原氏との政争に敗れ、太宰府に左遷され、そのわずか2年後、配所にて波乱の生涯を閉じました。道真公を奉る同社は、毎年その命日にあたる2月25日に祭礼を敢行してきました。
京の人たちには、北野の天神さんとして親しまれる同社には、「東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」と無念の思いを詠み、こよなく梅を愛したとされる道真公と梅にまつわる伝承が数多く残されています。梅だよりの聞かれるこの時期の祭礼は歴史ロマンを感じざるを得ません。同社広報によると、「文献によれば、鳥羽天皇の時代に祭礼がされたとの記録が残り、約900年にわたって連綿と続いている。祭祀は厳正に粛々と執り行った」と言います。
また、天下をほぼ手中に収めた豊臣秀吉公が、九州平定と聚楽第の竣工を祝って、天正15年(1587年)10月1日に、この地で「北野大茶会(きたのおおちゃのゆ)を行ったことや、その際、同社の参道となっていた七軒茶屋が秀吉公の休息所に充てられ、名物の御手洗団子を献じたところ、秀吉公がいたく賞味に預り、その褒美として上七軒として御手洗団子を商うことの特権と、山城一円の法会茶屋株を公許したのが、我国に於けるお茶屋の始まりであると伝承されていることなど、お茶にゆかりが深いことから、献茶ノ儀が行われました。
献茶ノ儀では、上七軒を代表して、芸妓のなおかつさんと舞妓のかつきさんがお茶を点て、神職を通じて本殿に奉納しました。
一方で、厳かな神事とは対照的に、秀吉公の派手好きを現在に蘇らせたかのように、梅苑の特設会場では、上七軒の芸舞妓らが参加する艶やかな「野点大茶湯」が行われ、舞妓らが点てたお茶が一般の参拝客に振舞われました。芸舞妓が奥からしなやかに、可憐な和装姿で登場すると、静かに「お~」との声も上がりました。普段まじかで見ることがない芸舞妓さんの接待に、参加者らも満面の笑顔で迎えいれていました。
昨年は新型コロナウイルスの影響で、野点は中止となり、神事のみが縮小して行われたため、芸舞妓らによる野点が行われたのは2年ぶり。一般参加も人数制限等で通常の3000人程度から今年は800人程度に抑えての開催となりました。「天神さん」と呼ばれる市は通常通り開催されました。
境内にある梅苑を始め1500本の梅は、今年は例年より遅く、三分咲き、早咲きの梅が見ごろを迎えるに留まっています。同社広報によると、「満開は3月の上旬になりそうだ」とのことでした。
北野天満宮(外部リンク)京都市上京区馬喰町 北野天満宮社務所 075-461-0005
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