浄福寺通出水という昔の風情を色濃く残す静かな街並みが続く西陣の街に、人気急上昇中の喫茶があると聞いて2022年3月12日にランチを食べにやって来ました。昔の町家と聞いていましたが、隣接する元紡績工場で学生アパートだった場所とともに、お洒落にリノベーションされていました。

　隣接する施設は、「PATHTO」というシェアハウスになっています。店主の富依具子さんのひいおじいさんの時代、大正か昭和初期から米穀店を営んでいたという実家は、僅かに当時の様子を残して、店内も白を基調とした清潔感溢れる飲食スペースに生まれ変わっていました。それでも昔ながらの天井の高さは開放感があります。

　25年にわたってアクセサリーやデザインの業界で仕事をしてきた富依さんが、2020年9月2日にオープンした店名は「喫茶ヒトクチヤ」、「かつての米穀店が二口屋だったのであやかりました。」と言います。「新しい風と、ずっと変わらぬものとが、ゆるやかに行き交う場所になれるといいな」との思いが込められているのだとか。

　筆者は日替わりのランチプレートを、同席の女性はプリンアラモードを、それぞれコーヒーを注文しました。ランチプレートは、前菜、メインのハンバーグと付け合わせ野菜にサラダ、自家製ヨーグルト、パンとまさにフルコースがギュッと可愛いプレートに凝縮したセットになっています。これは女子に人気なのも分かります。肉々しいハンバーグが美味しい。

　プリンアラモードのプリンは生クリームを極力抑えたクラッシックプリン、同席の女子によると、「固めでプチップチの濃い味、バニラビーンズがたっぷり入っていてむっちゃ美味、自家製アイスも美味しい」と言います。富依さんが物心ついた頃は、祖父や父に連れられてイノダ珈琲やスマート珈琲の本店に朝夕に通う習慣があったようで、その当時の味を参考に独自に再現しているといいます。

　筆者はスルーしてしまいそうになったのですが、コーヒーカップにもこだわりがありました。イタリアのジノリ（GINORI）やイギリスのウェッジウッド（WEDGWOOD）といったブランド品だそうです。同席の女子さすが！　ちなみに本日のスペシャルティー珈琲は、以前にもご紹介した西陣の「風とCOFFEE」のエルサルバドルの中浅煎りでした。

　仕込みができ切らないということで、木曜日から日曜日までの営業となります。ぜひ食べに行ってみてください。

「喫茶ヒトクチヤ」（外部リンク）京都市上京区浄福寺通出水上る東神明町270-1