【京都市右京区】映画の街の商店街にある映画神社と地元のお母さんたちの作るおばんざいが美味いキッチン
かつて、東映や松竹と肩を並べる映画会社・大映京都撮影所がありました。昭和初期から戦後にかけて活気のあった太秦で一世を風靡しましたが、大映の倒産と共に惜しまれつつ撮影所も閉鎖されました。その名と記念碑や撮影セットや小道具などの名残が今も、大映通り商店街に残されています。2022年3月21日に訪ねてみました。
商店街の真ん中に「映画神社」ともいわれる「三吉神社」が鎮座しています。昭和3年(1928年)に日活の撮影所が建設されることとなって、この場所にあった八丁藪という竹藪を切り開くと「三吉稲荷大明神」と「中里八幡大菩薩」の二つの小さな祠を発見しました。これらを一つにまとめて神社として創建したのが現在の社です。この日活の撮影所がのちに「大映京都撮影所」となりました。
それ以来、映画神社として、映画に携わる人々の深い崇敬を集めてきました。周囲の玉垣には、大河内伝次郎や伴淳三郎、片岡千恵蔵といった往年の映画スターたちの名前が刻まれています。2001年には、日本映画の父と言われる牧野省三監督の顕彰碑が建立されました。また山田洋二監督や沢口靖子さんの直筆絵馬なども奉納されています。
お昼は、商店街の真ん中にあるコミュニティスペース「キネマ・キッチン」で美味しいおばんざいランチをいただきました。この店は、2013年に「映画」をテーマにした賑わいづくりとして、大映京都撮影所から世に出て、日本映画復興の大きなきっかけとなった「大魔神」の設置と同時に開設されました。
以後、大映通り商店街は、撮影カメラを模した街路灯やフィルムのデザインを施した道路などに加え、「映画とともに暮らす街・太秦」として、東映、松竹や嵐電などとも連携して特色あるまちづくりを積極的に展開してきました。
このキネマ・キッチンに掲げられている「芝居茶屋」ののれんも、撮影所などから最近贈られたものだそうです。他にも「書林」は本屋さん、雑貨や日用品は「小間物屋」さん。「洗い物」はクリーニング屋さん、介護用品の店で工務店は「指物」など商店街内にはユニークのれんがいっぱいです。
「キネマ・キッチン」では、地元のお母さんたちがスタッフとして作ってくれる、採れたて野菜のおばんざいなどが食べられます。から揚げや油淋鶏、味のしみた牛すじ煮込みなども大人気。筆者は、ふわっふわのこだわりだし巻きランチを注文しました。これこれ、幼少の頃、母に作ってもらった出し巻き玉子にも似た懐かしい味がします。
メニューには、オムライスに和風カレー、キャベツ、チキンカツを乗せたボリュームたっぷりの「かつライス」も。勝新太郎のかつと市川雷蔵のらいを合わせたネーミングだそうです。あじフライ自家製タルタルソース、ゆで豚と白菜のごま味噌ソース、牛肉と春キャベツのおろしポン酢など豊富なラインナップのお弁当も人気です。
店内は、市川雷蔵や勝新太郎、三船敏郎始め、往年の映画スターの写真パネルや35ミリの手回し映写機、昔の映画の台本や雑誌などもあって、昭和レトロ感満載です。
さて、京都でもまん延防止等重点措置が今日(3月21日)で解除となりますね。まだマスクは外せませんが、春の陽気に誘われて出かけてみてください。
「キネマ・キッチン」 京都市右京区太秦多藪町43 075-871-6556