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【京都府長岡京市】古墳時代から戦国時代まで貴重な埋蔵文化財がどっさり! 歴史好きにはたまらない企画展

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 長岡京市を含む乙訓古墳群からの出土品や織田信長に翻弄されながらも誇りを守り抜いた中小路氏、神足氏、能勢氏などの地侍たちの居館跡から出てきた埋蔵文化財を保管している「長岡京市埋蔵文化財センター」が40周年を迎えます。2022年11月1日からは特別企画展も開催する同センターを訪問して見ました。

 走田古墳群から出てきた大きな石棺が野外展示された玄関を入ると、長岡京市市政50周年にちなんだ今昔写真館のパネル展示もされていました。特別企画展の準備も忙しい中、同センターの鈴木知怜総務担当係員が丁寧に案内してくださいました。

 長岡京市の勝竜寺地域にある「恵解山古墳(いげのやまこふん)」は、古墳時代中期(約1600年前)に造られた前方後円墳です。昭和55年には、鉄製の武器(大刀146点前後、剣11点、槍57点以上、短刀1点、刀子10点、弓矢の鏃472点余り、ヤス状鉄製品5点)など総数約700点を納めた武器類埋納施設が発見されました。古墳からこのように多量の鉄製武器が出土した例は京都府内にはないと言います。

 国史跡に指定されている古墳だけでも、長岡京市には、長法寺南原古墳、恵解山古墳、井ノ内車塚古墳、井ノ内稲荷塚古墳、今里大塚古墳などがあります。日常的に通る馴染みのある地名の土中から出た、まさにお宝がどっさり展示されています。

 また、幻の都と言われながら、中山修一氏を始め、発掘調査員たちの努力で、平安京と変わらぬ規模の大きな都であることが証明された長岡宮の発掘品なども圧巻です。長岡京跡の発掘調査で出土した大量の遺物の中には、遠隔地から運ばれてきた土器や荷札木簡も見られ、各地からやってきた多くの人々で大いに賑わう都であったことも想像できます。

 戦国時代には、乙訓地域と京都市の一部を含む地域を西岡36人衆と言われる国人たちが納めていました。織田信長の畿内進出に対しても各々が地侍の誇りを貫いて生き抜きました。開田城、今里城、神足館、国人たちの結集拠点であった勝龍寺城からの出土品の展示も見どころがあります。

 「長岡京~桓武天皇の都~」と題された、11月1日から30日までの企画展では、常設展示と併せて、木簡や漆製品など普段展示する機会が少ない木製品や金属製品を中心に展示すると言います。紅葉の見どころもいっぱいで、ガラシャ祭りも開催されるこの11月に、ぜひ長岡京市へ足をお運びください。

「長岡京市埋蔵文化財センター」(外部リンク)長岡京市奥海印寺東条10−1 075-955-3622

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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