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【京都市上京区】うさぎ年だけどイノシシ神社に行ってみた! 清麻呂の姉・和気広虫姫は社会福祉の先駆者?

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 2023年は兎年ということで、うさぎ神社として知られる左京区の岡崎神社などが注目されています。2023年1月5日、静かに参拝できるかなとの思いもあって、イノシシ神社として知られる京都御所向かいの「護王神社」へ行ってみました。

 神門には阿形、吽形の狛犬ならぬ狛猪が出迎えてくれました。

 舞殿には、大きな兎の絵馬が奉納されています。すでに三が日を過ぎていますが、次々と参拝者が訪れていました。

 護王神社は、平安京の建都に貢献した和気清麻呂を祀っています。確かな創建年は伝えられていませんが、もとは洛西の高雄山神護寺の境内に清麻呂の霊社として祀られ、古くから「護法善神」と称されていました。

 江戸時代末の嘉永4年(1851)、孝明天皇は清麻呂の歴史的功績を讃えて正一位護王大明神の神階神号を授け、明治7年(1874)には「護王神社」と改称して別格官幣社に列せられました。明治19年(1886)、明治天皇の勅命により、華族中院家邸宅跡地であった京都御所蛤御門前の現在地に社殿を造営し、神護寺境内から遷座。後に姉の和気広虫姫も主祭神として合わせ祀りました。

 769年、宇佐八幡宮で「道鏡を天皇にすべし」との神託がおりた際、称徳天皇はその確認をするために和気清麻呂を派遣しました。都に戻った清麻呂は「天つ日嗣は、必ず皇緒を立てよ。……」という神託を持ち帰ります。

 道鏡を天皇にしたいと考えていた称徳天皇はこの奏上を聞いて激怒し、清麻呂と広虫を流罪としました。この時、宇佐八幡宮への道中を突然現れた300頭のイノシシが警護したと言われます。このイノシシは、当時、広大な範囲に勢力を持ち、後の長岡京遷都や平安京遷都に際して影響を与えた、朝廷と深いかかわりを持つ渡来人の秦氏の一族ではないか? とも言われています。

 さて、清麻呂とともに祀られる姉の和気広虫姫ですが、古代の社会福祉の先駆者とも言われます。七六〇年(天平宝字4年)30歳の若さで未亡人となった広虫は、平城京内の孤児を集めて養育したのを皮切りに、七六四年(天平宝字8年)には、藤原仲麻呂の乱で、孤児になった83人保育し、乱に連座した375人の助命減刑を上申するなどの活動をしてきたことによります。

 境内には、氏子や参拝客などから奉納された様々な可愛いイノシシコレクションも展示されています。みなさん訪れて見てください!

「護王神社」(外部リンク)京都市上京区烏丸通下長者町下ル桜鶴円町385 075-441-5458

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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