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【京都市右京区】2024大河ドラマは吉高由里子主演「光る君へ」紫式部の源氏物語に描かれた社も雪化粧!

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

【昭和男子の京都時空案内 嵐山・嵯峨野編 後編】 近畿地方に引き続き大雪警報が出される中で、2023年1月28日、奥嵯峨の地も雪化粧になりました。

 竹林の中に静かにたたずむ、「野宮神社(ののみやじんじゃ)」へ。野宮はその昔、天皇の代理で伊勢神宮に仕える斎宮(未婚の皇女、女王の中から選ばれます)が伊勢へ下行する前に1年間、身を清めたところです。斎宮は2歳から、最年長者では 28 歳で選ばれたりすることもあったようです。この慣習は673年から約 660年にわたって続き、その間には 64名の斎宮が名を残しています。

 嵯峨野の清らかな場所を選んで建てられた野宮は、保存の難しさや、原木のクヌギの入手が困難なことから、日本で唯一黒木鳥居(クヌギの木の皮を剥かないまま使用する、日本最古の鳥居の様式)と小柴垣(クロモジの木)に囲まれた聖地でした。天皇の即位式で建てられる「大嘗祭」も黒木鳥居と小柴垣で囲まれます。「じゅうたん苔」が生い茂る緑の庭もこの日は真っ白でした。

 ここは光源氏と、その恋に苦しむ六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の別れの場面に登場する舞台です。その様子は源氏物語「賢木(さかき)の巻」に美しく描写されています。「光源氏との結婚を諦めた六条御息所は、娘の斎宮と共に伊勢へ下ることを決意します。葵の上と結婚した光源氏でしたが、御息所を哀れに思って秋深まる野の宮を訪れ、別れを惜しむのでした。」

 2024年のNHK大河ドラマは吉高由里子さん主演の「光る君へ」ですね。紫式部の生涯が描かれるようです。京都にはゆかりの地がたくさんあります。みなさん、先駆けていらしてください!

 「落柿舎」は、松尾芭蕉の弟子・向井去来の別荘です。芭蕉も3度訪れ「嵯峨日記」を著した場所としても知られています。

 隣では、有智子内親王(うちこないしんのう)の陵墓も雪に覆われていました。有智子内親王は、第52代嵯峨天皇の第8皇女です。初代賀茂斎院となりました。斎院(さいいん)は、平安時代から鎌倉時代にかけて、賀茂御祖神社(下鴨神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)の両賀茂神社に奉仕した皇女で、天皇の代替わりごとに皇女、女王の中から選ばれます。賀茂斎王、賀茂斎院とも称します。

 有智子内親王は弘仁元年(810年)の薬子の変をきっかけに、初代賀茂斎院に定められたと言われています。薬子の変とは、長岡京造営時に暗殺された藤原式家の藤原種継の娘・薬子が寵愛を受けていた平城上皇と兄・藤原仲成とはかり、嵯峨天皇に抗して、都を平城京に戻そうとした事件。これに失敗し、藤原式家は勢力を失い、以後藤原一族は北家が隆盛を迎え、明治に至るまで五摂家の時代へと突入します。

 賀茂斎院の禊の宮は、天皇代替わりの際ごとに設けられ、その跡地は、西陣の櫟谷七野神社(いちいだにななのじんじゃ・大宮通盧山寺上る西入)や下鴨神社境内などにも見られます。

「野宮神社」(外部リンク) 京都市右京区嵯峨野宮町1

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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