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【京都市西京区】紫式部ゆかりの神社で3日間の幻の千眼桜満開 西山西行桜見ごろ 昔のままのよもぎ餅も!

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 京都西山地域には、まだまだ穴場と言えそうな花の寺がいくつかあります。2023年3月30日の午前中に散策してみました。まずは、吉高由里子さん主演で話題の2024年の大河ドラマ「光る君へ」の主人公紫式部が藤原道長とともに中宮彰子行啓のお供をしたとされる大原野神社へ向かいました。

 長岡京方面から大原野神社を目指して電動自転車で向かいました。途中、灰方へ向かう道すがら、大歳神社でも桜が奇麗に花開いているので思わず立ち止まりました。創建養老2年(718)と伝えられ、大歳神、石作神、豊玉姫を祀ってあります。石作神は代々石棺を造っていた豪族の祖神です。10月の例祭では、金剛流家元による奉納舞もあるそうです。

 もう少し山奥かと思いましたが、意外とスムーズにたどり着くことができました。大原野神社に着くと一の鳥居からうかがえる二の鳥居に覆いかぶさる桜もすでに満開でした。大原野神社は延暦3(784)年、桓武帝の長岡京遷都の際、藤原氏の氏神である奈良春日大社の神々をこの地に最初に祀られたころより「京春日」といわれています。

 さらにお目当ての千眼桜(せんがんざくら)を目指して奥へ。ありました! やったあ満開やあ! 実はこの桜は、満開の期間が3日間と短い一重の枝垂れ桜であることから「幻の桜」と言われていて、見ることができた人に千の願いが叶うと伝承されています。

 境内で30年続く「春日乃茶屋」(外部リンク)では、昔の農家のおばあちゃんたちが豊作を祝って近所に配ったと言われる「昔のままのよもぎ餅」を、煎茶や抹茶と一緒に食べることができます。ほど良い加減のもちもち感の生地からほんのり甘い小倉あんがあふれ出してくるほんとに懐かしい味です。店主は、「最近は親戚が寄るということも少なくなっている家庭が多いので、伝統の味を守り続けている」のだそうです。

 向かい側の正法寺でも、極楽橋にかかる桜や境内の桜がまもなく満開になりそうな感じでした。唐より渡来した鑑真和上の高弟、智威大徳が隠棲した地です。天平勝宝6年(754)に開山された古刹。のちに弘法大師空海が巡礼の際に彫刻したとされる聖観世音菩薩立像が本堂に安置されています。庶民には「西山のお大師」さんとして信仰されています。

 境内全体で600トンに及ぶ巨岩が全国各地から集められている「石の寺」で、「宝生苑」では、お堂の畳に座って眺めると、庭石の形が何となく鳥やペンギン、兎など、15種類もの動物の形に似ているため、「鳥獣の石庭」と呼ばれています。

 天台宗に属する小塩山大原院勝持寺は、白鳳8年(西暦679年)天武天皇の勅によって神変大菩薩役の行者が創建したのが始まりとされる古刹です。延暦10年(西暦791年)に伝教大師最澄が桓武天皇の勅を奉じて堂塔伽羅を再建し、薬師瑠璃光如来を一刀三礼をもって刻み本尊としました。境内至るところの桜が満開でした。

 鳥羽上皇に仕えていた北面の武士佐藤藤兵衛義清が、保延6年(西暦1140年)にこの寺で出家し西行と名を改めて庵を結び、一株の桜を植えて吟愛しました。世人はその桜を西行桜と称し、「花の寺」と呼ぶようになったと伝承されます。境内は西行桜を始め数種類約100本の桜が植えられ、その大半を占めるのが染井吉野。また同じ数ほどのもみじが自生し例年11月中旬紅葉を迎えます。

大原野神社(外部リンク)京都市西京区大原野南春日町1152 075-331-0014

正法寺(外部リンク)西京区大原野南春日町1102 075-331-0105

勝持寺(外部リンク)西京区大原野南春日町1194 075-331-0601

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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