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【京都市上京区】京都屈指のパワースポットは妖怪ストリートの中にあった。もののけ市も開催されます!

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 北野天満宮の南に位置する一条通は、平安時代の京都で起こったとされる百鬼夜行(多くの異形の鬼・妖怪たちが夜中に徒党を組んで行進する現象)の通り道だったとされています。その一条通にある大将軍商店街は、このことから、妖怪ストリートとされ、各店舗ではかわいい妖怪たちが出迎えてくれます。

 商店街の中にある「大将軍八神社」は、平安京造営の際、陰陽道に依り大内裏(御所)の北西角の天門に祭られた方除けの星の神・大将軍です。場所を移すことなく千年以上、方位を司る神様としてあがめられてきました。大将軍とは、陰陽道(古代中国の道教の影響)において、星々を統括し、方位を司る神様です。かつて日の本の都は、皇位継承に関わる血みどろの政争に明け暮れた平城京から長岡京へ遷都しましたが、長岡京でも骨肉の政争は収まらず、十年後にはさらに平安京へと遷都がなされました。

 時の朝廷は新たな都を最澄、空海を始めとする密教や陰陽道に基づいて包囲網を形成して王城鎮護しようとしたと言われます。何故なら、当時の人々、とりわけ為政者たちは、「不幸の続く元凶はかつての政争で追いやった者たちの怨霊のなせる業」だと信じていたからでもありました。病気・地震・旱魃・雷・洪水などの災害もまたしかりです。 桓武天皇は、北に山(玄武)・船岡山、東に川(青龍)・鴨川、南に池(朱雀)・巨椋池、西に道(白虎)・山陰道と四神相応の土地を選択すると同時に、鬼門、裏鬼門を寺社仏閣で固め、さらには大将軍を祭神とする 4 つの大将軍神社を四方に置いたのです。

 現在は、東は左京区の岡崎神社と、東山区の東三条大将軍神社。西は上京区の大将軍八神社。北は北区の今宮神社摂社疫神社と、西賀茂大将軍神社。南は伏見区の藤森神社境内に流れを組む神社が奉られています。かつては牛頭天王の弟とされていた大将軍ですが、現在はスサノオとして奉られています。平安時代の今様には、祗園(八坂神社)、日吉(日吉大社)、賀茂社(上賀茂・下鴨神社)とともに霊験あらたかな神として歌われるほどの社だったといいます。平家一門が清盛の娘・建礼門院徳子の安産祈願に訪れた場所でもあります。

 方徳殿(収蔵庫)には、けやきや檜の木で造られた神像 80 体(内79体が重要文化財)がずらっと居並び睨みを聞かせます。神像の視線は部屋の中央に集まるような配置になっていて、その壮観な姿は、大将軍信仰が最も盛んだった平安中期から鎌倉末期(900年〜1200 年)にかけて制作された神像たちです。武装像 50 体、束帯像 29 体、童子像 1体となっています。

 実は、密教や陰陽道の宇宙観をあらわす「星曼荼羅」の世界を、星を司る神像を並べて立体的に表現した「立体星曼荼羅」なのです。明治以降の外来神の排除などで、大将軍信仰が薄くなったこともあって、これだけの数の神像が一箇所にまとまって伝わっているのは日本でここだけなのだそうです。さらに、「天地明察」で話題となった渋川春海の天球儀なども安置されています。

 さて、2023年5月27日(土)と28日(日)には、 妖怪ストリートを本拠に、妖怪をテーマに京都各地で活躍中の妖怪藝術団体「百妖箱」の主催で、「妖怪アートフリマ モノノケ市」が開催されます。全国から妖怪作家が集合し、オリジナル妖怪グッズの販売なども行われます。ぜひお立ち寄りになってください!

「大将軍八神社」(外部リンク)京都市上京区一条通御前西入西町48 075-461-0694

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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