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【京都市東山区】NHK大河ドラマで和久井映見さん演じる北政所寧々創建の高台寺には魅力がいっぱい!  

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 NHKの大河ドラマ「どうする家康」も豊臣政権が確立し、和久井映見さん演じる秀吉の出世を陰に日向に支えた正妻「寧々」こと「北政所」の露出も増えてきました。ドラマでは、暴走する秀吉を厳しく叱り、たしなめることもできる稀有(けう)な存在として、豊臣と徳川をつなぐ政治家の一面も持つ女性として描かれています。

 そんな寧々の隠棲の地とされてきた東山連峰の麓にある「高台寺」に、実は住んでいなかったとの報道もされ話題になっています。秀頼の上洛用につくられた城とされる豊臣政権最後の洛中城郭である「京都新城」(現在の京都御苑仙洞御所辺り)の研究が進む中で、秀吉没後は、大坂城西ノ丸を出た北政所の屋敷「三本木屋敷」になり、ここがついの棲家になったというもの。

 ことの真否は別にして、高台寺には秀吉と高台院(寧々)ゆかりの様々な遺構が残されていて、晩年、そこで多くの時間を過ごしたことに変わりはないと思われます。そんな魅力満載の高台寺を2023年9月21日に訪れました。

 高台寺は、近世末期から近代に至る数度の火災で仏殿、方丈などを焼失。創建時の建造物で現存しているのは、三江紹益を祀る開山堂、秀吉と北政所を祀る霊屋(おたまや)、茶室の傘亭と時雨亭などです。

 開山堂には、寧々の御所車天井があり、飾り気のない秋の草花で彩られています。ねねの人柄でしょうか。一方、秀吉の天井の方は、小組格天井(こぐみごうてんじょう)といい、格子の中をさらに格子で組んだもの。船の天井一つにも贅を尽くした秀吉の性の一端がうかがえます。秀吉が朝鮮出兵の際に乗った御座船の寝所の天井と伝えられています。

 観月台は、豊臣秀吉の隠居のために建てられた伏見城から移築されてきたもののひとつ。北政所が御霊屋に向かう途中で、亡き秀吉を偲んで月を見上げたと言われています。臥龍(がりょう)廊を昇りきると霊屋へと続きます。秀吉の菩提を弔うため、霊屋に向かう寧々が雨に濡れないようにとの配慮なんだそうです。

 霊屋には、右に秀吉の坐像。左に片膝立のねねの木像が安置されています。秀吉像の厨子扉には、太閤桐と露をやどしたすすきが描かれ、裏は菊、楓。寧々の方の厨子扉は表裏共に松、篠竹に桐紋を配していて、須弥壇の二メートル下が寧々本人の墓所となっています。うるしに金粉の蒔絵で飾られる高台寺蒔絵は、桃山美術の頂点とも言われる鮮やかな色彩を放ちます。勾欄、柱、床板等は琴、琵琶、鼓などの楽器づくし、階段には花筏(はないかだ)が描かれています。

 霊屋からさらに進むと、伏見城から移築された傘亭と時雨(しぐれ)亭があります。水辺に建てられていた茶室で、小船がそのまま入れるように工夫されています。二階が茶室となっていて、昔は開け放たれた窓から南西に、淀川もうかがえ、遠く「ちぬの海」(大阪湾)までをも見渡せたのだそうで、大坂夏の陣の折、この空から、寧々は燃え上がる大坂城炎上を見つめていたといわれます。

 いよいよ紅葉シーズンも近づいてきました。2023年10月21日(土)から12月10日(日)までは、秋の夜間特別拝観「『情景』ー移りゆく時、変わらぬ想い」も開催されます。ぜひお出かけください!

高台寺(外部リンク)京都市東山区 高台寺下河原町526 075-561-9966

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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