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【京都市北区】吉高由里子主演2024大河ドラマ「光る君へ」紫式部ゆかりの紫野にある不思議伝承とは?

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 2024年大河ドラマは「光る君へ」ですね。紫式部を演じる主演の吉高由里子さんを始め、生涯のソウルメイトとされる藤原道長を柄本佑さん、式部(まひろ)の父藤原為時を岸谷五朗さん、母ちはやを国仲涼子さん、道長の姉藤原詮子を吉田羊さん、ライバルの清少納言をファーストサマーウイカさん、陰陽師安倍晴明をユースケ・サンタマリアさん、藤原定子を高畑充希さんと豪華俳優陣が色取ります。

 さてその舞台となる平安京は、1200年余り昔、京都に都が定められる際に、陰陽道に基づいて、「船岡山」が平安京の北の拠点「玄武」とされたことに始まったと言われます。ここから南へ中国の古来伝承「坐北朝南」(天子南面す)に基づき、大極殿や朝堂院などが一直線に造られたと言われています。その山頂から見下ろせるのが紫野地域です。内裏の北側は天皇や貴族の遊狩地であり、禁野とされていました。

 紫野の地名の由来は、紫が高貴な色とされ、昔は天皇の離宮が営まれる風光明媚な地であったことからとも言われています。紫式部ともゆかりの深い紫野を2023年10月18日に歩いてみました。船岡山の東麓となる大徳寺の南側に、その塔頭の「雲林院」という寺院があります。平安時代には、紫野院といい淳和天皇の離宮でした。「源氏物語」、「古今和歌集」「大鏡」等、平安時代の文献に登場する古刹です。

 「源氏物語」第10帖の「賢木」に、この雲林院が登場します。光源氏は里下がりした藤壺への恋慕がますます募りお忍びで会いにいくが、藤壺に強く拒絶され、事が露見し東宮の身に危機が及ぶことを恐れた藤壺は突然出家。悲嘆に暮れる源氏は雲林院に参籠し、天台六十巻を読みすすめたという話です。また、かつて雲林院境内にあった大徳寺塔頭の真珠庵に「紫式部産湯の井戸」と伝わる井戸があります。

 紫式部はこの近辺で生まれ育ったとされ、その名も、雲林院の建つ紫野に由来するといわれています。2000年(平成12年)に、マンション建設に伴い、京都文化博物館によってかつての雲林院跡の発掘調査が行われ、離宮跡であったことを裏付ける平安時代の建物跡や井戸跡などが発見されています。現在は建設されたマンションにパネルが設置されています。

 室町時代に成立した「源氏物語」の注釈書「河海抄」には、「紫式部の墓所は雲林院白毫院の南と記され、 隣には、現世と冥界を行き来し、閻魔大王のもとで役人をしていたという小野篁の墓もあるとされている」と言います。実際に現在も北大路堀川下る西側に紫式部墓所と並んで小野篁の墓所があります。紫式部が生まれたのは小野篁が没して120年後になるため接点はない筈です。ではなぜ?

 この墓所に伝わる口伝では、貴族社会の恋愛を中心に人々の愛欲の世界を描いた源氏物語の作者である紫式部は、ふしだらに人々を迷わせたとして、地獄行になり、式部が地獄で苦しんでいると知った源氏物語を愛する人々が、篁の墓を隣に移転させ、閻魔大王に救済のとりなしを祈った。という話です。

 大徳寺境内や塔頭の高桐院などは紅葉の名所として知られます。紅葉狩りと合わせて、聖地巡礼はいかがですか!

 「雲林院」 京都市北区紫野雲林院町23 (但し、境内公開予定はありません)

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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