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【京都市西京区】5年ぶりに酒ー1グランプリ開催の洛西の守護神松尾大社 大神の使いは何故亀なのか?

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 京都の西の守護神とされる「松尾大社」は、秦氏によって社殿が建立された飛鳥時代の頃からさらに太古の昔より、この地方一帯に住んでいた住民が、松尾山の頂上に近い大杉谷の上部の磐座(いわくら)に御祭神の「大山咋神(おおやまくいのかみ)」を祀って、生活の守護神として尊崇したのが始まりと伝承される古社です。

 紀元祭が行われていた2024年2月11日に同社を訪れてみました。拝殿前の梅の木に早咲きの梅が花を咲かせ始めていました。

 御本殿正面門の左右両側には、「幸運の双鯉(そうり)」と「幸運の撫で亀」が氏子らから奉納されています。特に境内には、良質の地下水が湧き出て、ここの水を酒に加えると腐らないとされ、古代より酒造りに利用され神々に供えたという「亀の井」始め、手水鉢などにも亀の像がいっぱいです。

 何故、松尾大神の使いは亀とされるのでしょうか? かつての日本は、大陸からの思想に大きく影響を受けていました。天は時の為政者たちの政治が良ければその褒美に祥瑞をもたらし、悪ければ災害や日食月食などの異変をもたらして政治に対して警告をすると信じられていたといいます。

 祥瑞には、霊亀、鳳凰、三足烏、赤雀、木連理、甘露、慶雲など珍しい気象現象や動植物があります。「続日本紀」には、元明天皇の714(和銅7)年8月、「首に三台(三つの星)を戴き、背に七星を負い。前足に離の卦を顕わし、後足に一支あり、尾に緑毛・金色毛の雑った長さ八寸の亀が現れ、朝廷に奉納された」とあります。この亀が松尾の谷から現れたと伝承されています。

 このような嘉瑞を元明天皇は大いに喜び、天皇の位を天武天皇の孫にあたる氷高皇女に譲位しました。これが元正天皇です。そして和銅8年を霊亀元年としたのです。元号を変えてしまえるほど、当時の人たちにとって祥瑞の出現は大きな影響力があったようですね!

 松尾大社では、「大神様が太古、山城丹波の国を拓くため保津川を遡られる時、急流は鯉、緩やかな流れは亀の背に乗って進まれたと伝えられ、以来亀と鯉は神のお使いとして崇められております。」(松尾大社公式ホームページ)ともしています。

 松尾大社では、2023年4月14日(日)に「第7回酒-1グランプリ」が5年ぶりに開催されます。全国から40を超える蔵元が集結し、来場者の投票によって「酒蔵日本一」が決定されます。松尾大社 酒―1グランプリ実行委員長の葉石かおりさんは、「5年の間にさらに技術革新が進み、世界レベルの味になった日本酒。神聖なるお酒の神様の元、日本酒を味わいつつ、皆さまの1票で“今年の顔”となるグランプリを選んでください。」と呼び掛けています。

松尾大社(外部リンク)京都市西京区嵐山宮町3 075-871-5016

松尾大社 酒-1グランプリ(まるにR)実行委員会(外部リンク)

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 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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