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【京都市西京区】創業から73年苔寺の池に映る月のようなめちゃ美味のとろろ蕎麦が名物になったわけ?

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 枯山水庭園を本格的に定着させた名作庭家としても知られる夢窓疎石が造園し、境内を約120種類の苔が覆い、緑のじゅうたんを敷きつめたような美しさから「苔寺」とも呼ばれる臨済宗の寺院、西芳寺(さいほうじ)。その門前には「元祖苔乃茶屋」と「柚之茶屋」の2軒のとろろそばの店が立ち並び名物となっています。

 その内の一つ、「柚之茶屋」を2024年3月9日に訪れました。昭和の風情そのままの店構え。坪庭の前にある扁額「苔の月」は、この店の名物とろろ蕎麦の逸品を「苔寺の池の面に映える月のよう」と絶賛した村上慈海金閣寺十三代管長の命名によります。

 早速に京都の伝統の味「苔の月」を注文しました。生の山芋をすり下ろしたとろろとたまごを出し汁に浸して、細めの蕎麦に絡めて食べるとめちゃ美味、柚子のさわやかさも良き。それもその筈、すり鉢で丹念にすられた山の芋は京丹波くん田産の最高級品、蕎麦は、戸隠の蕎麦を四分六に手きりしています。四六蕎麦がとろろに一番合うのだそう。

 この店の初代が曾祖母になるという大前泰菜さんに伺いました。「柚之茶屋」は、昭和25年にヒットした映画「帰郷」で苔寺が一躍有名になった際、観光に来た曽祖母が参道を気に入り、その場で空いていた現在地を「ここで商売したい」と購入した昭和の豪快な話が始まりだそう。縁のあったくん田(粟田)の山芋を使ったとろろ蕎麦を発案したといいます。

 ベテランのスタッフさんによると、開店当初は、門前が観光バスで溢れかえっていた時代だったといいます。あまりにも多かったため、昭和40年代ころから、苔寺拝観は事前申し込みになり今に続いているのだとか。

 抹茶がほのかに香る本格的なわらび餅も甘すぎず食べやすいので人気です。拝観寺社門前には定番ともいえるソフトクリームもいろいろあります。鈴虫寺の門前には姉妹店の甘味処「三昧庵」があります。こちらは泰菜さんのお母様が切り盛りされているそうです。

 周辺には地蔵院や浄福寺などの名刹もある松尾近辺にぜひ足をお運びください!

「柚之茶屋」(外部リンク)京都市西京区松尾万石町56 075-381-4461

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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