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【京都市西京区】1300年前に行基菩薩が建立した古刹で梅と桜の饗宴 十三詣りってなんだろう?

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 阪急嵐山駅から渡月橋に至る途中に、奈良時代の和銅6年(713年)に行基菩薩によって建立されたという「虚空蔵法輪寺」があります。嵯峨の虚空蔵さんとも呼ばれ親しまれる同寺を2024年3月16日に訪ねてみました。

 少し急な石段を登って行くと境内では、口をパカっと広げた阿吽(あうん)の阿の狛虎の前には早咲きの桜が、口を閉じた吽の狛牛の前には梅が咲き誇り、見事な饗宴を見せていました。ちなみに古代のサンスクリット語では、「阿」が1文字目、「吽」が最後の文字であったため、「阿吽」は物事の始まりと終わりを表すとされています。

 ところで、何故、狛牛や狛虎かというと、虚空蔵菩薩は丑寅の方角を守り、丑年や寅年生まれの人の守り本尊でもあるからだそうです。展望台からは天気のいい日であれば比叡山や大文字山を遠景に京都市内を一望できます。

 さて、法輪寺は京都の子どもたちが十三歳になると参拝する「十三詣り」で知られています。最近では全国から参拝者があるのだとか。これは、本尊の虚空蔵菩薩が智慧の仏であることから、幼少年期より青年期に移ろうとする人生の転換期に、智福を与え、技芸に長じさせ給えとの守護祈願から始まりました。毎年4月13日に13歳になった男女が参詣する慣わしです。

 元治元年(1864年)蛤御門の変の際、長州藩の浪士が渡月橋を挟んで対岸の天龍寺に集結、19日の戦闘で法輪寺の建物はことごとく灰燼に帰してしまいました。その後、本堂を明治17年(1884年)に再建し、客殿、玄関、回廊、庫裏、山門等順次竣工して大正3年(1914年)に、今日の姿に復興されました。

 法輪寺には「道昌僧都が百日間の求聞持法満願の日に井戸で水を汲んでいると明星が天空より降りそそいで、虚空蔵菩薩が来迎した」との伝承から電電宮が祀られています。現在の社は、蛤御門の変の後、昭和31年(1956年)、電気電波事業者らによって建立されたものですが、エジソン、ヘルムホルツの碑と電電塔などもあり、業界関係者からの篤い崇敬を受けています。

 嵐山へお越しの際には法輪寺へ足を運んでみてください!

虚空蔵法輪寺(外部リンク)京都市西京区嵐山虚空蔵山町 075-862-0013

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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