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【京都市西京区】苔寺参道にある古の竹御殿と現代ヴィンテージの融合したお洒落なカフェで極上の一杯を!

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 京都府道29号宇多野嵐山山田線から苔寺道西入ルの交差点には、神の木とされる推定樹齢500年の朽ちた椋の木があります。このあたりは松尾谷と呼ばれ、かつては松尾村で一番の賑やかな場所だったといいます。ここから通称苔寺と言われる西芳寺まで風情ある古い町並みが続きます。2024年3月23日に散策してみました。

 鈴虫寺の参道を越えると奥にはとろろ蕎麦で知られる蕎麦屋さんが2軒連なっています。手前にある「BAMBOO COFFEE」のお洒落な外観と建築に目を見張るものがありました。早速に入ってみることに。両脇を大木の柱で支えられた楼門をくぐると、「かぐや姫竹御殿」とある看板の奥には美しい竹林に囲まれて、竹の客殿と御殿が建てられています。松尾谷は竹取物語発祥の地ともいわれます。

 御殿入口の竹垣の前にある玄関から店内へ入ると、古材の敷き詰められた床と壁は白いモルタル、天井は松材を組み合わせた開放的な空間が広がっていました。谷口明オーナーに伺うと、金閣寺をモチーフにした御殿やその内部の「傘張り天井」を始めとした古の竹銘建築は、竹を用いた独自の建築技法を確立し、竹取物語の研究でもその名を知られ、「竹取の翁」と呼ばれた稀代の竹職人長野清助さんが27年の歳月をかけて造り上げた名建築と名庭なのだそう。

 その後、子孫の方によって管理されてきましたが、隣に実家があった谷口オーナーが数年前に購入し、2年前隣接してカフェをオープンしました。昭和の名建築と、ブルックリンスタイルのヴィンテージカフェスペースが融合したおしゃれなカフェの誕生でした。

谷口 明オーナー
谷口 明オーナー

 カフェでは、化学肥料や合成添加物を使わない、作り手や飲む人の健康を考えたオーガニック栽培の珈琲を楽しむことができます。ラインナップは、珈琲好きのオーナーが厳選した浅煎りのブルンジBIカジャブーレ、中煎りのメキシコマヤビニック、深煎りのブラジルダテーラなどと同店のオリジナルブレンドから選べます。浅煎りは、時折、銘柄を入れ替えるとのことでした。

 赤道付近に集中する現地生産者は、ともすれば欧米の業者などに安く買いたたかれるため、「BAMBOO COFFEE」では、生産者の権利を守り、土壌を未来に残すため、自立を支えるフェアトレードでの買い付けを選択されています。店舗の雰囲気だけでなく、じっくり丁寧にドリップで淹れてくださる珈琲は最高に美味いです。

 地域には、腹ごしらえのできる蕎麦屋さんなどもいくつかあるため、あえて珈琲とデザートのみの営業にされているのだそう。コーヒーによく合う焼き菓子は地元上桂から仕入れた添加物を使わない手づくりのスコーンやクッキーなどが人気です。実際食べてみると、これも甘過ぎず優しい味の美味しい焼き菓子でした。

 酒類を含むドリンク類も充実。竹をモザイク張りにした「清助貼り」が部屋全体を飾る客殿で昭和の名庭をながめながらほっこり過ごすこともできます。谷口オーナーは、「地元を盛り上げるためにも、できれば自家焙煎工場とこの地域に根差した新たな店舗も展開したいですね」と意欲を語って下さいました。

 松尾大社、苔寺や鈴虫寺、浄住寺、地蔵院などにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

「BAMBOO COFFEE」(外部リンク)京都市西京区松尾万石町51 075-275-8101

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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