四条から堀川通を下がって松原通の手前に、一流料亭かと思わせるような高級感あふれる外観の店舗がありました。実はこれケーキ店だったんです。「京峰石」を2024年4月4日に訪問しました。

　格子戸を開けると、清潔感あふれるレジカウンターと商品展示カウンターだけのシンプルなフロントスペースがありました。奥の広いスペースが工房となっています。

　主力商品はチーズテリーヌです。このチーズテリーヌが京都の一流店ガイドブック「ジャパンブランドコレクション京都版」や矢田亜希子さんの「旅色」にも掲載された凄い逸品でした。オーダーを受けてからひとつひとつ丁寧につくられます。

　店長の岩波彩加さんに伺うと、「京風チーズテリーヌ嵯峨は、日本のゆず発祥の地として奈良時代より栽培が行われていたといわれる奥嵯峨・水尾の実生柚子をふんだんに使用し、隠し味にはんなりとした甘みと薄塩の西京味噌を入れた香り高いグルテンフリーのチーズテリーヌ」なのだそう。カット済み個包装の半冷凍状態で持ち帰れます。

　家に帰るとほどよくいい感じに解凍しています。実際に食べてみると、濃厚すぎるほど濃厚なのにとろけるような食感です。京都らしいすっきりとした上品な旨味が口いっぱいに広がります。後からこんどはじわっとチーズの旨味が来るは来る。これは絶品です。少し固いうちはアイスクリームのような感覚で食べるのも有りですね！

　パティシエの酒井昌彦さんは、実は京都市内を運行するタクシー会社「エコロ21」の代表取締役です。「エコロ21」はこれまで、環境問題や観光を通じての地域貢献の取り組みなどで、粋なタクシー会社としてその名を知られます。コロナ禍での業界低迷の影響が残る中で、他業種への参入という大胆な方向をスタートしました。

　酒井社長は、「伝統的な食材を使うことで、京の奥深さをたくさんの人にアピールできたらと考え、タクシードライバーの持つ情報収集力を総動員して考案した」といいます。他にも米粉クッキーなど商品はすべてグルテンフリーで提供されています。

　この3月15日には、一台で一時間あたり40ｇしか生産できないといわれる宇治の高級石臼挽き抹茶「おくみどり」を使用した宇治抹茶のチーズテリーヌを発売しました。こちらは抹茶の奥深い香りとチーズとのハーモーニーが、京都を想わせる逸品です。これも初めて食べる奥深い味わいでした。

　京都市のふるさと納税返礼品にも選定されているほか、滞在中のホテルへの配達なども可能です。ワインや酒類にも合います。ぜひ1度味わってみてください！

「京峰石」（外部リンク）京都市下京区高辻堀川町366-2 ソルレヴェンテ堀川高辻1F　075-406-0120