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【お受験にも影響】小1でつまずく子に効果的だった!教師の実践する小1プロブレムに効果的な声かけ3選

じんちゃん先生教育/子育て/学校
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 小学校に入ってもなかなか慣れない子どもがいるのを知っているでしょうか。小学校では入学後に小1プロブレムという問題が起きており、子どもの心と身体にさまざまな影響があります。この記事では、小1プロブレムの子を助けるために、学校と家庭でできるほめ方のコツをお伝えします。

1.小1プロブレムとは?

⑴保育園と幼稚園とのギャップ

 文部科学省は、平成20年3月に全国の市町村教育委員会を対象に調査(幼児期の教育と小学校教育の接続について)を行っており、小1プロブレムについては以下のように定義しています。

「小1プロブレム」の定義
入学したばかりの1年生で、集団行動がとれない、授業中座っていられない、話を聞かないなどの状態が数ヶ月継続する

 実は、小1プロブレムで悩む子どもの数は、正確には分かりません。平成25年に東京都教育委員会が発表した「教員加配に関わる効果検証」に関する調査の最終報告書では都内の全公立小学校長約1300人を対象に、昨年度勤務した学校での状況をまとめています。その結果、「1年生が落ち着かない状態が続いた」と答えた校長は24%でした。平成22年度より教員加配により、一旦減少したものの、平成24年度には再び増加していることがわかります。また、発生時期は4月が57%で最も多く、「年度末まで続いた」という回答も55%に上りました。この調査は、東京都のものですが、全国的にも似たような傾向があることが予想されます。

出典 小1問題・中1ギャップの予防・解決のための「教員加配に関わる効果検証」に関する調査 最終報告書 平成 25年東京都教育委員会
出典 小1問題・中1ギャップの予防・解決のための「教員加配に関わる効果検証」に関する調査 最終報告書 平成 25年東京都教育委員会

 小1プロブレムの発生理由は、先程の文部科学省の調査によると、以下のように示されています。

❶家庭におけるしつけが十分でない
❷児童に自分をコントロールする力が身についていない
❸児童の自己中心的傾向が強い
❹幼稚園、保育所が幼児を自由にさせすぎる
❺授業についてこれない児童がいる

 この調査結果では、小1プロブレムの主要因は家庭のしつけや児童の自己抑制に関するものと捉えています。しかし、同資料では、幼稚園・小学校教育の特徴の違いについても述べられています。文部科学省の立場としては、幼小接続に課題があることを示しています。つまり、幼稚園と小学校のギャップがあることが要因であることがわかります。また、保育園には厚生労働省から保育所保育指針が示されています。ここでは、保育所保育指針について詳しい説明は省きますが、幼稚園教育要領と比べても(幼稚園教育要領と保育所保育指針の対比表)、小学校教育とのギャップは明らかです。

出典 文部科学省「幼児期の教育と小学校教育の接続について」
出典 文部科学省「幼児期の教育と小学校教育の接続について」

⑵保護者の学力観への変化

 ところで、文部科学省の調査で小1プロブレムの主な原因として、「家庭におけるしつけが十分でない」が挙げられていました。家庭では小学校入学前と後にはどのようなギャップがあるのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所(ベネッセ教育総合研究所「小学校入学前の生活に関する振り返り調査」(2017))によると、小学校入学前と後において、「周りの人に『おはよう』『ありがとう』などのあいさつやお礼をするように言っていた」「夜、決まった時間に寝るように言っていた」などの「生活習慣」や、「友だちとのかかわり方を教えていた」という「人との関係性・マナーなど」生活習慣や人との関係性・マナーなどについて意識が高いことがわかります。ただ、その後には「子どもが自分でやろうとしていることに対して、手を出さずに最後までやらせるようにしていた」「子どもの質問にすぐ答えず、子ども が自分で考えるように言っていた」という、主体性、粘り強さといった非認知能力や思考力につながるかかわりに変化があります。これは、保護者の子どもに対する学力観の変化があったということを示しています。

出典 ベネッセ教育総合研究所「小学校入学前の生活に関する振り返り調査」(2017)
出典 ベネッセ教育総合研究所「小学校入学前の生活に関する振り返り調査」(2017)

2.小1プロブレムの症状と対策

⑴小1プロブレムの症状

 幼稚園・保育園とのギャップや保護者の学力観へ変化が、小1プロブレムの症状として、どのように表れるのでしょうか。症状には個人差がありますが、以下のようなものがあります 。

①身体的な症状

下痢や便秘、食欲不振、皮膚のかゆみやアトピーの悪化、
おねしょやおもらしの増加、寝つきが悪くなるなど

②感情的な症状

怒りっぽくなる、イライラしている、そわそわして落ち着きがない、
ひどく落ち込む、すぐに泣く、無表情、ぼんやりしているなど

③行動的な症状

授業中に席を立って歩き回る、教室から出て行ってしまう、
先生の話を聞かない、指示に従わない、友だちと喧嘩する、
孤立する、不登校になるなど

⑵小1プロブレムの対策

 小1プロブレムの症状を改善するには、学校と家庭でできる身近な対策があります。具体的には、次のようなことです。

①学校での対策

 学校での対策は、子どもの学習や友達関係に関心を持ち、話を聞いたり、励ましたりすることが大切です。これで、子どもとのコミュニケーションが深まります。また、子どもの困りごとや不安に寄り添い、一緒に解決したり、協力したりすることも重要です。

②家庭での対策

 家庭での対策は、子どもの好きなことや得意なことを楽しみや感謝で伝えたり、褒めたりすることが大切です。これで、子どもは自信を持てます。また、自分でできるようになることを目指して、自主性や自律性を育てる声かけや環境づくりをしましょう。

 これらの対策の共通点は、子どもに自信を持たせることです。子どもをほめることで自信が育ちます。では、学校と家庭でどうほめるとよいでしょうか。ほめ方のコツを紹介します。

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3.学校と家庭でできるほめ方のコツ

 小1プロブレムの子を助けるためには、学校と家庭でできるほめ方のコツがあります。以下のようなことに注意しましょう。

⑴ほめるときは、具体的に行動や努力をほめること

 「そんなこともできるの?すごいね」というような、抽象的なほめ方ではなく、「今日は授業に集中していたね」「友だちと仲良く遊んでいたね」「自分で宿題をやっていたね」というような、具体的な行動や努力をほめることが大切です。これで、子どもは自分のできることやがんばったことに気づきます。

⑵ほめるときは、感情や思いやりを伝えること

 「すごいね」というような、評価的なほめ方ではなく、「楽しかったね」「嬉しいな」「ありがとう」というような、感情や思いやりを伝える言葉を添えたほめ方をすることが大切です。これで、子どもは自分の気持ちや相手の気持ちに気づきます。

⑶ほめるときは、過度にほめないこと

 「君にできないことはないよ」「君は天才だよ」というような、過度にほめることは避けましょう。これでは、子どもは自分の能力を過信したり、失敗を恐れたりする可能性があります。ほめるときは、「机の上をきれいにして偉いね。勉強がしやすくなるね」など適度にほめることが大切です。

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まとめ

 小1プロブレムは、子どもの成長の過程で表れる現象です。子どもが小学校に慣れるまでには、個人差があります。親や先生は、焦らずに子どものペースに合わせて、優しく見守りましょう。子どもの気持ちを理解し、励まし、褒めることで、子どもは自信を持って小学校生活を楽しめるようになります。

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