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自然農法・自然農・自然栽培…どう違うの?

かーびー

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はじめに

今回は『自然』とつく農業のやり方の、『自然農法、自然農、自然栽培』は何がちがうのか?
そのことについて解説していきます。

文字だとちょっと読みにくいなーと言う方には↓こちらの動画がお勧めです。
慣行、有機、自然農法の違い、更に自然農法、自然農、自然栽培の違いについてもお話ししています。

これらの農法には、それぞれに提唱者がいてそれぞれのやり方に特徴があります。
とはいえ、『有機JAS』のような規格があって定義づけされているわけではありません。
なので、少々極端な例になりますが、農薬や化学肥料を使っていて『自然農法です』と言っても法的に罰則があるわけではありません(他の有機農業をやられている生産者さんや、オーガニックなものを求めている消費者さんからは非難されるでしょうけれども…)

YouTubeでも現在ではたくさんの農業系動画があって、その中には私のように『自然農』を謳う人や、『自然栽培』、『自然農法』をタイトルにつけたり動画内でお話ししている方も多いです。

けれどその中には『これも自然農なのか…?』と感じるものも時々みかけたりする…というか、
そもそも『この3つって同じものじゃないの?』と思ってる方の方が多いのかもしれません。

法的な定義はないけど、独自のガイドラインや登録商標はある

発信している方々それぞれの認識と感覚でこれらの農法の表示は使い分けられいるのですが、
その共通認識が実践者たちの中で確立されはじめたように感じます。

また、後述するMOA自然農法のように社団法人やNPO法人、あるいは会社などの組織を作り、その中で独自の認証やガイドラインを作成している場合もあり、中には商標登録を行っているところもあります。
商標登録は、登録されたマーク(デザイン性のある書体での文字の場合もある)や、固有の名称として登録されたものの使用に関してのものなので、登録されていない(一般名詞化しててできない)ものに関しての制限は無いんです。(※登録された商標→登録商標でありトレードマークともいう。トレードマークの語源はここにあったことをこの記事書いててしりましたw)

たとえば、『自然農法』は登録されたマークはあるけど、標準文字商標という言葉としての登録はされていないので言葉そのものの使用は制限されていない。しかし『自然農場』や『秀明自然農法』という固有の名詞として標準文字商標で登録されているものは言葉そのものに商標権が設定されているので商品やサービスの紹介に使うのはダメだったりします。

ということで、自然農法・自然農・自然栽培は法的には明確な種類分けされていないし、規制対象でもないけれど、こういう認識で見ておくと良いよという違いや特徴をまとめてみました。
(※各種情報を基にした私なりの分類となります。各農法の提唱者の方やその一派の方の認識とは異なる箇所もあるかもしれませんので、その点はご理解の上で読んでみてください)

各農法の違いをまずは簡単に説明

提唱者のことまで書くと長くなるので、まずは3つの農法それぞれの違いをかんたんにまとめると下記のようになります。

①究極的に人間の作業を省いて自然に任せた栽培方法が福岡さんの自然農法
②草や虫を敵とせずに必要な部分に手を加えるのが川口さんの自然農
③生産性を高める為に資材の活用と雑草管理・害虫防除をするのが木村さんの自然栽培

各農法に共通しているのは、人工的に化学合成した農薬や肥料を使わないことで、
自然物を利用して作る堆肥や肥料の使用、草や虫への対応、耕すか耕さないか、石油系資材を使うか、についての部分で違いがでてきます。次はその辺りの違いについて。

【福岡式・自然農法】無農薬・無肥料・不耕起・不除草の4原則でもはや『神の農法』

もっとも自然…というか人間の手入れをできるだけ省くのが福岡さんの自然農法です。
(他と区別するために『福岡式』を付けて表記しましたが、名称としては『自然農法』です)
農薬、化学肥料はもちろん、有機肥料も堆肥も使いません
必要に応じて米糠やフスマ(麦のヌカみたいなもの)は使用し、稲わらや麦わらなども使いますが、野菜への養分供給目的というより土の微生物を活性化させる為に使う感じです。

土を耕さず、草も生やしたままにして、そこにタネを蒔くのですが、
これをいきなり真似してもまず野菜は育ちません。だいたい雑草に埋もれて終わりです。
発芽と生長をさせやすくする福岡さん独自の方法で、100種類以上の色々な種類の野菜のタネを粘土に混ぜて泥混ぜてタネ入りの粘土団子を作り、それをばらまくことで、それぞれのタネ自身に最適なタイミングで発芽して育っていくというものがあります。

…といっても、それは適者生存のようなもので、そこの環境に適合できない野菜は発芽しないし、発芽したとしてもその後に他の植物に負けて育たず枯れるか、大きく育てないこともしばしばあります。

他の植物よりも優位に発芽・生長できるものだけ育つことができます。

逆に言えば、どんな野菜でも育つ環境さえ整えてしまえば、タネを蒔くだけで野菜が出来るわけで、私も究極的にはその域を目指しています。…それが難しいので『神の農法』とさえいわれるのですけどね。

でも、種類や収量、食味などにこだわらなければ、タネを蒔いておくだけで育つ野菜もわりとあります。
(そういう野菜と栽培のポイントを見つけ出していくのがまた面白いところでもあります)

【MOA自然農法】独自のガイドラインのある自然農法

日本で最初に『自然農法』を提唱したと言われるのが岡田茂吉氏(1882~1955)
その岡田氏の提唱した理念に基づき体系化されたもので、現在では一般社団法人MOA自然農法事業団という団体が組織されていて、その団体で独自のガイドラインを作成しています。商標登録もしているのでこれは勝手に名乗ったり使ったりしてはダメなやつです。

このMOA自然農法についてはネット上にガイドラインのおおまかなものも公表されているので、詳しく知りたい方はそちらをご覧下さい。

簡単に特徴を紹介すると、農薬や化学肥料は使わず、自然界にある落ち葉や草などを利用して作った堆肥で土作りを行う農法です。原則として人間を含む動物由来の堆肥(人糞や家畜糞を用いた堆肥)は使わないとしていましたが、畜産業による廃棄物の有効活用という観点から適切な処理で完熟醗酵させた堆肥のみ暫定的に使用を認めています。

福岡式自然農法との一番の違いは、土を耕すことで積極的に草の管理を行うという点に思われます。

土の『偉力』を高めることを主軸として人為的介入を行う所から、
次に述べる『自然農』に近いと感じます。

人の領域に降りてきた『自然農』/耕さず・持ち込まず・草や虫を敵としないを3原則とする

福岡式自然農が『神の農法』とするならそこからもう少し人間の都合を叶える為に人の領域に降りてきたやり方が、川口由一さんが提唱した『自然農』です。
(ちなみに『神の農法』『人の領域』というのはパーマカルチャー実践者で有名な長野県安曇野にあるシャンティクティの臼井健二さんがパーマカルチャーの説明の中でされていた表現です)

福岡式自然農には4原則があるように、自然農には3原則があります。

耕さずとはいえ、土を動かして畝を作ります。その際に耕耘機やトラクターはもちろん、クワで土をかき混ぜるようなこともしません(一番最初の畝作りや開墾したばかりの場所はまた別)

持ち込まずというのは、畑の外部から資材を持ち込んで土や野菜に与えることをしない、つまりは無農薬・無肥料ということです。ただし、福岡式と同様に必要に応じて『補い』といって米糠を振りまくことはやります。

草や虫を敵としないというのは、福岡式でいうと不除草にあたるのですが、自然農では草を刈ったり、草の種類と場合によっては根っこから抜き去ったり、虫を手で取ったりはします。でもその作業を、まだ幼くか弱い野菜が育つために必要な最小限に留めることで、草も虫も全てを敵として殲滅させるつもりは全くなくて、むしろ彼らがいるからこそ畑の中に生物の多様性が生まれてそれで調和が取れて野菜も育つという考え方です。

栽培効率をもっとも優先させて商業栽培にも適している『自然栽培』

最後は『奇跡のりんご』で有名になった木村秋則さんが提唱した『自然栽培』です。

木村さん自身は著書の通り、リンゴ農家なのですがそこで得た考え方やノウハウを稲作や野菜作りにも活かして無農薬・無肥料でおこなう自然栽培を日本全国に普及させています。

私は直接指導を受けたことも、セミナーに参加したこともないのですが、木村さんの自然栽培の指導を受けた畑を見せて頂いたことがあります。そこではビニールマルチとトンネルなどビニール資材がしっかりと使われて、畑の中には雑草はほとんど生えていませんでした。

この点が、自然農法、自然農と大きく違う点です。栽培効率を高めるにはビニールマルチや保温できるトンネルはとても効果的ですし、マルチは雑草を抑える効果も高いので雑草管理の手間を大幅に減らすことができます。

草を生やさずにどうやって土の養分を維持しているのかは、私も詳しく知りたいところなのですが、聞いた話によると、地温を高めて上げることで土壌微生物を活性化させる。それで地力の回復や維持をするとのことですが、この辺りをもっと詳しく調べて見ます。(わかり次第加筆修正致します)

家庭菜園でやってみる上でのお勧めは?

『農産物の収穫を一番の目的にする』場合、①~③の順で難易度が下がります(①が最難関)
当たり前の話ですが、正しく手を掛けるほど、便利な農業資材を使う程、理想通りの野菜が出来ますし、その為の資材やノウハウはたくさん出ています。

なので最も簡単なのは、なんの縛りも設けずにマニュアルに従ってホームセンターや農業資材店で売られているものを購入して、マニュアル通りに栽培することです。

全く野菜栽培をしたことがなければ、まずはそこからでもよいと思います。

上手く行かなくてもいいからやってみたい!のでしたら、最初から無農薬・無肥料に挑戦してみるのも有りですが、夏場の雑草や虫、冬場の低温は覚悟しておいた方がよいです。辛い大変な思いだけして、収穫の喜びが無かったら、もうやりたくない!!となりかねませんので…

(段階的に自然農法にステップアップしていくやり方や考え方についてはまた別記事にて書こうと思います)

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