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牛と一緒に山を開拓していく山地酪農

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『山地酪農』とは?

日本で5軒くらいしかやっていない『山地酪農』をしている鈴木牧場さんに行ってきました。
今回でまだ3回目なのですが、それ以上に何回も行っているような気持ちになる不思議な牧場です。
(YouTubeチャンネルを見たり、私自身が取材して編集していたからというのもあるかもですが)

↓これが最初に伺った時(2019年12月)の動画です。

放牧とは違う。牛を飼う牛舎が無い。

まずは【山地酪農】とはどういうものなのかを簡単に説明します。
日本の畜産・酪農では一般的には牛舎で飼育しています。
牧場に放牧してるところもありますが、放牧飼育している軒数自体もかなり少ないし、放牧は整備して牧草を栽培している牧場に食事と運動の為に放して、夜や牧草が育たない冬は牛舎で飼うものですが、
山地酪農は24時間365日ずっと山に放した状態です。
牛舎、無いんです笑(雨とか雪の日どうしてるんだろう…?今度聞いてみよう)

その山も、動画を見て頂いたらわかるのですが、整備されて牧草が生い茂るなだらかな牧場…というわけではなく、崖のような急斜面(実際に崖もある)に笹や低木から杉、檜、クヌギなどのドングリの木などなど多種多様な植物が生えている、本当に山です。

↑鈴木さんが木を切り倒してくれるのを待っている牛が木の陰で待機しています。木の葉っぱは主食の一つのようで、首と舌を伸ばして葉っぱを食べる様子はキリンの祖先はこうだったのかなと思わせてくれました。
↑鈴木さんが木を切り倒してくれるのを待っている牛が木の陰で待機しています。木の葉っぱは主食の一つのようで、首と舌を伸ばして葉っぱを食べる様子はキリンの祖先はこうだったのかなと思わせてくれました。

そこに牛を放して、芝を一本一本手で植えて、人の手が入らなくなって荒れていた山を少しずつ芝生が広がる山にしていくやり方です。

↑木が倒れると一気に牛たちが群がって食べ始めます。学習したようで、チェーンソーや車の音が聞こえると集まってきます。
↑木が倒れると一気に牛たちが群がって食べ始めます。学習したようで、チェーンソーや車の音が聞こえると集まってきます。

木を切り、芝を植えて山を整備していく

鈴木さんは開拓を進める上で木も切りますが、樹種や生え方、木の元気度などで切る木、残す木を考えて切っています。
木を切るというと自然破壊というイメージを持たれそうですが、現在の日本ではむしろ切られずに放置されてしまっている事が問題にもなっています。(放置山林、日本の山林問題についてはまた今度)

牛が育つための牧場にしていくのだから、山が崩れたり植物が無くなってはダメなので、そうならないように管理手入れして山を作っていきます。

簡単にまとめると、
荒れた山を買い取って人と牛の力で少しずつ切り開いて、芝を一本一本手で植えて
荒れた山を牧場に変えていくという壮大な環境再生型の畜産、酪農のやり方なんです。

実際にハゲ山になっていた場所には芝や草が生え始めていて、森の中も明るく素敵な場所にどんどん変化してきています。

最近は、畜産や酪農が環境的に良くないとか、動物愛護の観点から良くないという話もよく聞かれるのだけれど、こんな畜産、酪農のやり方に挑戦している若者がいることも知って欲しくて今回この記事を書きました。

牛舎で飼われている牛たちとはまるで別の生き物

普通に牛舎で飼われている牛さんはこんなところは絶対に歩けないどころか、たった5センチの段差すら乗り越えられなくなるそうです。

斜度およそ30度、キツイところは45度くらい。
スキーだったら完全に上級者向けの傾斜地を牛たちが自由に歩き回る。

驚異的なのは運動能力だけではなく、食性も。
笹のような硬いものは食べないと思われているのですが、いざ山に放してみると笹どころか、鹿も食べない硬い茶の木の葉っぱもガンガン食べてます

山の手入れで、笹というのはかなりの厄介もので、刈るのも大変だし、地下茎が残っているとまたすぐに生えてきてしまい、根絶やしにするのは現実的ではないほどです。

でも、牛たちは生えてきたら食べて、食べ続けるので笹は光合成できずに次第に弱って無くなっていきます。重機が入って行けないような山の中や急斜面でも牛たちは入っていって笹を食べ尽くしてくれます。

草を食べて糞尿を撒く、それはまるでトラクターが耕して肥料を撒いているみたい

山地酪農を研究していた学者先生によると、山地酪農を続けると最終的には樹木と芝生の山になっていくそうです。そうやって地面が芝で覆われて、樹木の根が深く張ってくれれば強い雨で山が崩れる危険性も減らすことができます。

最初に訪れた時にみせてもらった所に、
通称『エアーズロック』という(前の前の所有者が表土を削り取って)養分の無い土を剥き出しになってしまった場所がありました。そこは雨によって表土が流されて大きな溝ができていましたが、裾野の方に生え始めた芝がその土砂を受け止めてそれ以上流れていかないようになっていたり、1年半後の今回訪れた時には何も生えていなかったエアーズロックの上に芝や他の草が生え始めていました。

牛の糞が堆肥となって養分になって草が生えられるようになっていったのだと思います。
山の土は養分豊富に思われるかもしれませんが、尾根の部分は雨水で洗い流されてしまうので土が痩せて植物もあまり生えなくなるそうですが、そこに牛たちが糞をすることで養分を供給して草が生えて土が守られるようになっていくのだと感じました。

今回のまとめ

山地酪農の牛たちを見ていると、牛は実はとても逞しくそして優しい生き物だと感じます。

彼らは人間が食べられない、利用できない植物を食べて肉、乳、皮革を提供してくれる。

問題なのは利益優先で超過密に飼育している飼育方法であって、畜産や酪農そのものが悪いわけではない。

そんなことを実感させてくれる鈴木牧場の牛たちです。

鈴木牧場さんは【珠ちゅーぶ】というチャンネル名でYouTubeもやっています↓

私も自分のチャンネルで取材して動画を何本か上げているので興味のある方は見てみて下さい^ ^

#山地酪農 #鈴木牧場 #珠ちゅーぶ #完全放牧 #SDGs #ヴィーガン #アニマルウェルフェア #エシカル #畜産 #酪農

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