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農業を『デザイン』する

かーびーファームインタープリター/自然農YouTuber

【デザイン】という言葉

『デザイン』というと、服飾、アート、建築などでで『モノの色形、あるいは機能を考えて作る』というイメージが強いと思います。

でももっと広い捉え方で、形の無いものでも『デザインする』と言っても通じます。
例えば『生活をデザインする』とか。

形はあるけど規模が大きいものだと『景観デザイン』『環境デザイン』など。

『農業をデザインする』とは?

この言葉は先日Instagramに投稿をしていた時に思いついた言葉で、その意図としては

農業のやり方を、農業資材の生産供給から使用後の廃棄、そして農産物の生産方法から流通そして消費、余剰分の処理などについて、現代状況、とこれから先に予測される状況を踏まえての最適化を考える時期に来ている、そのことを少しでも自分事として考える人が増えてくれたら良いなというものです。

現代は人類史上初の飽食の時代

シンプルな話で、生き物は食べ物が増えれば個体数は増えます。

10数万年前にホモ・サピエンスが誕生して以来緩やかに世界人口は増えて西暦1500年頃にざっと5億人。10万年掛けて5億人に増えたのがその後の産業革命頃から急激に増え始めて、500年でその10倍以上70億人になりました。

グラフで見るとその急増さは異常な伸び方です。特に近代50年の1950年の25億人から2000年の60億人というのはものすごい伸び方で50年で倍以上になりました。

これだけ急激に人類が増えることができたのは、医療の進歩や大規模な戦争が減ったというのもありますが、なによりも食糧生産の増産と安定化が最も効果が高いと思います。

現代も、世界では飢餓に苦しむ人々が絶えない一方で食べられる食糧が先進国では毎日大量に捨てられています。

一説によると、現代の世界の農業生産量は毎年人口100億人分以上を生産しているとも言われます。世界人口に対しての生産量だけを見れば完全に飽食の時代となっています。

飢餓が無くならない本当の原因

ではなぜ未だに飢餓に苦しむ人々が絶えないのか?
それは生産方法の問題ではなく、分配方法の問題だからです。

よく、自然農や有機栽培の話をすると必ずと言って良いほど出てくるのが、

『農薬や化学肥料を使わずに現代の人口を賄えるのか?』

この問いに対しては、現実的ではないけど、全人類の9割が農業に従事すれば可能じゃないかと思います。ただ、そもそもこの問い自体が非常にナンセンスな話だと思っていて、
そういうゼロか100か、白か黒かみたいな話ではなくて使い分けと、段階的な移行が必要だと思うんです。

現状、有り余る程に食糧は生産され、毎日大量に廃棄されている。

しかもその生産には、化石燃料や化石水といった再生が難しい資源が大量に消費され続けています。この部分の最適化が必要だと思いますが、それが簡単にできないのが資本主義社会。

商売として、ビジネスとしての農業が競争的に行われている限り、100年後の事より1年後から数年後の収入の方が大事になります。それが、ようやく先のことも考えなければならないと言われ始めたのはせめてもの救いです。

どうやって『最適化』を進めるか?

これについてはまた次の記事で書きたいと思います。

よかったらみなさんも考えてみて下さい^^

ファームインタープリター/自然農YouTuber

愛知県西尾市にて自然農を実践してます。 農を切り口にして自然の面白さや大切さを伝える情報発信や体験イベントも行い、 農の楽しさを伝える『ファームインタープリター』を自称してます。 『野菜を売らない百姓』でもあり、 売らなくても良いからこそ自然農にまつわる色々な実験や研究をやって その様子をYouTubeにて発信しています。

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