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【秋田県横手市】縄のれんの先に広がる古き良き昭和の世界!横手市前郷『みのり食堂』とは?

KANEYANWEBライター/地域クリエイター(大仙市・横手市)

創業から半世紀以上!気さくなお母さんが切り盛りする横手の愛され食堂とは?

横手駅からほど近い前郷二番町に、一軒の老舗食堂がある。創業から半世紀以上を誇る『みのり食堂』だ。今日はこの古き良き町の食堂で昼飯を……って、ごめん、店先に「営業中」の看板が見当たらない。もしや今日は休業日か。そんな思いが頭をよぎる中、私は年季の入ったその扉をゆっくりと開いた。

みのり食堂
みのり食堂

「いらっしゃいませ」

おお、良かった。どうやら営業中のようだが、私を迎えてくれた店主のお母さんは絶賛お食事中だ。ちなみに私が訪れたのは昼の13時過ぎ。ちょうどお昼のピークの時間が過ぎて、ひと息ついていたところだろう。

「急いでないのでゆっくりで」

急ぎ足で片づけをするお母さんにそう言って、私は椅子に腰をおろした。そしてさっそく壁に掲げられた品書きを見ると、とある超有名人の色紙が私の目に飛び込んできた。

店内には若貴や長嶋さんの色紙が!
店内には若貴や長嶋さんの色紙が!

平成の大横綱『貴乃花』とお兄ちゃんの『若乃花』がまだ仲良しだったころ……じゃなくて、まだ『貴花田』と『若花田』だった時代の手形色紙だ。って、よく見ると隣は元巨人軍監督の『長嶋さん』のサイン色紙もある。平成の大横綱と昭和の大スターがまさかのそろい踏みだ。

「こ、これはホンモノですか?」

「ええ、おそらく。家族が貰ってきたものですから、よくわからないのですけど」

子供の頃、地域の相撲大会で華麗に初戦敗退し、同じく地区の野球大会でベンチをこんもりと温めた私が興奮を隠しきれない中、お母さんはいたって冷静だ。もしかしたら、トンデモナイ店なのかもしれない。私は興奮を抑えながら、ひとまず色紙の下に並ぶ品書きに目をやった。

品書き

品書き(御飯物)
品書き(御飯物)

御飯物

焼肉定食:800円、肉いため定食とんかつ定食:800円、かつ煮定食:800円、ホルモンいため定食:800円、かつ丼:700円、親子丼:650円、カツカレー:650円など。

品書き(麺類、おにぎりなど)
品書き(麺類、おにぎりなど)

麺類

みそ野菜ラーメン:650円、チャーシューメン:650円、中華そば:500円、全うどん:700円、チャンポン(みそ):700円、チャンポン(塩):680円、冷やし中華:700円など。

おにぎり

:150円、たらこ:150円、すじこ:150円、:130円など。

御飯物から麺類まで、豊富なメニューが揃うみのり食堂。人気のかつ丼チャンポンなども気になるところだが、今回私がチョイスしたのはホルモンいため定食。昭和の食堂でホルモンといえば、過去に横手市雄物川の老舗『なをこそばや』の名物ホルモン中華や、昭和中期から続く大曲の老舗『一源食堂』のホルモン定食を紹介したが、果たして今日はどんなホルモンに出会えるだろうか。私は冷たい麦茶を飲みながら、その到着を待った。

昭和な食堂のメシがウマい!ノスタルジックと共に噛みしめる『みのり食堂』のホルモンいためとは?

ホルモンいため定食:800円
ホルモンいため定食:800円

大量のキャベツをまとったホルモンいためが、ホカホカのご飯や味噌汁を連れて登場だ。時代はSNS全盛期。映えてナンボの世界だ。だがこのホルモンいため定食から、自分をむやみに着飾ろうとする素振りは見えない。だから私も安心して、目の前のメシに集中できる。そして贅沢を言えば、ココにガッツリと冷えたビールがあれば尚良し。そんな気持ち、わかるでしょう。

たっぷりのキャベツの下から、プリプリのホルモンを救出!
たっぷりのキャベツの下から、プリプリのホルモンを救出!

私が普段摂取している1週間分ぐらいの量があるキャベツの下から、ホルモンを救出。写真は「ほぼキャベツ」に見えるが、十分な量のホルモンがその下に隠れている。甘辛く味付けされた王道のホルモンをキャベツと一緒に口へ運び、その勢いで頬張る白飯。自家製の茄子の漬物も箸休めに嬉しい。

ホカホカのご飯もウマい!
ホカホカのご飯もウマい!

汗をかきながら、ホルモンとご飯を往復する横手盆地の夏。育ち盛りと言われる時代は25年ぐらい前に過ぎてしまった私だが、若貴に憧れ、長嶋巨人の試合を毎日欠かさず見ていたあの頃のように、目の前のメシをモリモリ食べた。昭和の食堂はいつだってくたびれた中年に、ヤングだった時代を思い出させてくれる稀有な存在だ。

お腹が空いたら『みのり食堂』へGO!
お腹が空いたら『みのり食堂』へGO!

壁に並ぶ品書き、テーブルの上にナチュラルに置かれた灰皿、そしてカウンターで新聞紙片手に料理の到着を待つ常連さん。変わりゆく時代に、変わらない美学がそこにある。夏は冷ヤッコとビール、冬は湯豆腐と熱燗。駅前開発もいいけど、そんな風景が似合う古き良き昭和の食堂がいつまでも。

そんなことを思いつつ店主のお母さんが淹れてくれた麦茶を飲んだら、懐かしい夏の味がした。

【店舗情報】
みのり食堂
住所:秋田県横手市前郷二番町2-20
営業時間:11時30分~14時頃 ※夜は状況を見ながら20時頃まで
電話番号:0182-32-2090
定休日:日曜、祝日

WEBライター/地域クリエイター(大仙市・横手市)

大仙市在住のWEBライター。趣味は酒場巡り。現在はYahoo!で地域情報を発信しているほか、秋田市のフリーペーパー「あおぽ」でグルメ記事の執筆や「大仙経済新聞」の運営にも携わっています。

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