まるで親戚の家？十文字の中心部から離れた超穴場の蕎麦屋さんへGO！

リアル民家で味わう本格手打ちそば。

十文字の中心部から15分ほど車を走らせると、のどかな集落の中に佇む一軒のお蕎麦屋さんが見えてくる。そう、創業から22年を数える『手打ちそば処 川嶋』だ。

最近は古民家を改装したカフェや蕎麦屋が人気だが、『川嶋』のその佇まいは紛れもなくリアル民家だ。ひとり飯には慣れている私も今回はいささか緊張気味にお蕎麦屋さん……というか川嶋さんちの玄関の扉を開けると、温和な雰囲気のご主人が迎えてくれた。

お客さんの食事スペースは玄関を上がって左手にある和室がメインのようだが、今回私が案内してもらったのはその向かいの部屋。そしてそこで待っていたのは、圧倒的ホーム感。まるで親戚の家に来たときのような面持ちで、品書きに手を伸ばす私だ。

品書き

もりそば：750円、かけそば：750円、海藻そば：900円、鴨南ばん：1,100円、天ぷらそば：1,100円、天ぷら盛合せ：900円など。

にしんの甘露煮：400円など。

温かい蕎麦に加えて、羽後町のソウルフード・冷がけも品書きに加わる川嶋。鴨南蛮や天ぷらそばも気になるところだが、今回私がチョイスしたのは茨城県水戸市の人気店『そば吉』の名物を踏襲した海藻そば。そしてもうひとつ忘れてはならない。ウマいと評判のにしんの甘露煮もあわせて注文だ。

磯の香りと蕎麦の風味が絶妙タッグ！十文字の隠れた名店・川嶋の海藻そばとは？

注目の海藻そばが到着。以前『大曲食堂』で西馬音内そばに出会い冷がけの魅力を知った私だが、この日はMajiでYuki降る5秒前。晩秋の寒さも手伝って温かい蕎麦をお願いした。やや太めの田舎そば風の麺の上に、ワカメや赤トサカなど海藻類がたっぷり鎮座。ほとばしる磯の香りに導かれて、噂の手打ちそばの実食といこう。

秋田では珍しい茨城県発祥の海藻そば。私も今回が初体験だったが、海藻のコリコリした食感や粘り気が非常に面白い。コシが強く風味豊かな手打ちそばとの相性も抜群だ。今回の温かい蕎麦もウマかったが、冷がけにするとさらに海藻のナチュラルな香りや食感が楽しめそうだ。

そして、もうひとつのお楽しみがこのにしんの甘露煮。てりってりのビジュアルとは裏腹に、しつこすぎない味つけがグッドだ。じっくり煮込まれているため、骨を気にせずバクバク食べられるのも嬉しい。蕎麦のお供としても有能だし、個人的にはぜひ熱燗とあわせたい一品だ。

ナビが無いと迷子になりそうな立地に、普通の家感満載の空間。その独特な雰囲気に最初は少し緊張した私だが、ご主人の親切な人柄も相まって徐々に安らぎモード。まるで自宅のリビングにいるかのようなノリで、テレビを眺めながら昼寝をかましてしまいそうだった。

初雪の季節に出会った、のどかな集落のそば処。知る人ぞ知る名店で、最後に温かいそば湯を味わいながら、心も体もじんわりと温まっていく私だ。