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四国の名湯「道後温泉本館」の今は?保存修理工事中でも元気に営業

権丈俊宏温泉研究家・一級建築士

道後温泉(愛媛県松山市)は、約3000年の歴史といわれる日本三古湯の一つ。中でも「道後温泉本館」は、日本で初めて重要文化財に指定された公衆浴場であり、多くの観光客が訪れる四国屈指の名湯です。

現在は保存修理工事中ですが営業は継続中。今回は筆者自ら現地を訪問し、2022年5月現在の最新情報をお届けします!

道後温泉本館とは

保存修理工事前の道後温泉本館 画像提供:道後温泉事務所
保存修理工事前の道後温泉本館 画像提供:道後温泉事務所

道後温泉本館は公衆浴場としては日本初の重要文化財であり、四国のみならず西日本を代表する有名な温泉施設です。明治27年(1894年)に神の湯本館棟が竣工して以降、125年以上に渡り増改築を繰り返しながら存続してきました。

保存修理工事中の道後温泉本館
保存修理工事中の道後温泉本館

しかし、歴史的・文化財的価値を次代に受け継ぎ維持保存していくため、平成31年(2019年)1月から、営業しながらの保存修理工事に着手。ちなみに、営業しながら重要文化財の公衆浴場の保存修理工事をするのは全国初とのことです。

工期は非常に長大かつ大規模なもので、前期・後期と分かれています。現在は後期保存修理工事中であり、竣工は、令和6年(2024年)12月を現在のところ予定しています。

現在の道後温泉本館の楽しみ方

営業中の「霊の湯」 画像提供:道後温泉事務所
営業中の「霊の湯」 画像提供:道後温泉事務所

道後温泉本館は元来、「神の湯」と「霊の湯」という2つの浴室があります。しかし神の湯は現在後期保存修理工事中であり、入浴できるのは霊の湯のみです。霊の湯は、最高級の花崗岩を使った贅沢な仕様。壁には大理石も使われ、重厚感ある雰囲気に包まれています。

泉質は「アルカリ性単純温泉」。松山市の条例により塩素消毒はなされていますが、源泉かけ流しで使用。肌触りの滑らかさが特徴の美人湯です。様々な成分を少しずつバランス良く含んでいるせいか肌によく馴染み、名湯であることを実感せずにはいられません。

このように保存修理工事中である道後温泉本館ですが、西日本で最も有名な温泉施設の一つであり、平日・休日問わず大変賑わっているのが現状。特に土日祝日はその傾向が強く、入場制限がかかることもしばしば。その際は受付で整理券を貰い、係員の指示に従いましょう。
※現在は、本館東側が出入口になっています。

 夕暮れの道後温泉本館
 夕暮れの道後温泉本館

一方で「神の湯」に入れずに残念に思っている方も多いでしょう。しかし、工事中の道後温泉本館の風情を楽しむのも一興です。上写真は、道後温泉本館南側の「空の散歩道」付近から撮影したもの。道後温泉本館の全景が一望できます。

東側を除いて屋根テント膜に囲まれていますが、保存修理工事期間中の2024年までしか見ることのできない貴重な光景ですので、ぜひ楽しんでみて下さい。

道後温泉本館(霊の湯)
住所:愛媛県松山市道後湯之町5−6
電話番号:089-921-5141
営業時間:6時~23時(札止22時30分)
入浴料金:大人420円、小人(2~11歳)160円
公式サイト:道後温泉本館

他の公衆浴場はどんな感じ?

道後温泉には、道後温泉本館以外にも「道後温泉 椿の湯」と「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」という2つの公衆浴場があります。道後温泉本館から徒歩1~2分程度と至近距離。いずれも大変人気が高い公衆浴場ですが、道後温泉本館に比べると入浴客は比較的落ち着いています。とは言え、入場制限がかかることもあるので油断は禁物です。
3つの公衆浴場を利用する際は、時間にゆとりを持って行動しましょう。

道後温泉 椿の湯

「道後温泉 椿の湯」外観
「道後温泉 椿の湯」外観

「道後温泉 椿の湯」は、観光客向けの道後温泉本館に比べ、松山市民の“親しみの湯”として愛され続けた公衆浴場。現在の建物は平成29年(2017年)に改修され、リニューアルオープンしました。

「道後温泉 椿の湯」浴室 画像提供:道後温泉事務所
「道後温泉 椿の湯」浴室 画像提供:道後温泉事務所

市民向けとはいえ、浴室の造りは立派なもの。花崗岩がふんだんに使用され、道後温泉本館と同様に重厚な雰囲気に包まれています。また道後温泉本館と同様、源泉かけ流しの美人湯を楽しむことができます。

道後温泉 椿の湯
住所:愛媛県松山市道後湯之町19-22
電話番号:089-935-6586
営業時間:6時30分~23時(札止22時30分)
入浴料金:大人400円、小人(2~11歳)150円
公式サイト:道後温泉 椿の湯

道後温泉別館 飛鳥乃湯泉

「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」外観
「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」外観

「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」は、平成29年(2017年)にグランドオープンした道後温泉では最も新しい公衆浴場。場所は「道後温泉 椿の湯」の目の前にあります。建物は飛鳥時代をイメージして造られ、道後温泉本館とは一味異なる瀟洒な建築美を楽しめます。

「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」浴室
「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」浴室

浴室は、道後温泉本館にも負けず劣ら威風堂々としたもの。特に湯船の背後にドーンと鎮座する陶板壁画は迫力満点です! また、飛鳥乃湯泉でも源泉かけ流しの美人湯を楽しめます。

他に注目したいのは、道後温泉本館や椿の湯には無い露天風呂がある点。市街中心部にあるので壁で目隠しされていますが、外気に触れてクールダウンできるのは嬉しい限りです。

道後温泉別館 飛鳥乃湯泉
住所:愛媛県松山市道後湯之町19-22
電話番号:089-932-1126
営業時間:6時~23時(札止22時30分)
入浴料金:大人610円、小人(2~11歳)300円
公式サイト:道後温泉別館 飛鳥乃湯泉

温泉研究家・一級建築士

専門分野は「温泉」。本業は建築士。四半世紀以上に渡り全国の温泉地や建築遺産を巡り、写真を撮り続けています。記事では温泉だけでなく、旬の観光や旅行情報もお届けします。温泉マイスター、サウナ・スパ健康アドバイザー、ソニー・イメージング・プロ・サポート会員

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