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クッカーの材質の違いで湯沸かし時間はどれほど違うか実験してみた[キャンプでの燃費節約に役立つ情報]

健啖隊ブラックバスを釣って食う の草分け系YouTuber

キャンプなどのアウトドア・レジャーで使うことが多いクッカー(コッヘルとも言います)の材質の違いによって湯が沸く時間はどれほど変わるか実験してみました。

今回はアウトドア用クッカーに於いては3大素材と言っても良いステンレスアルミニウムチタン、この3種類について条件を出来るだけ揃えて実験してみました。

ステンレス、チタン、アルミの同じ大きさのクッカーで実験した
ステンレス、チタン、アルミの同じ大きさのクッカーで実験した

実験をした時の条件

  • 直径18cm、深さ10cmの平底で寸胴タイプのクッカーで大きさを揃えた
  • 加熱に使用するコンロは最大発熱量3.5kW (3,000kcal/h)の製品を最大火力で使う
  • 水温25度、1リットルの水が沸騰するまでの時間を計測する
  • 気温25度の無風の環境で行う
1リットルの水が沸騰するまでの時間を計測
1リットルの水が沸騰するまでの時間を計測

メスカップに入れた1リットルの水の水温は予め非接触の温度計で計測して約25度であることを確認してからクッカーに注いで加熱を開始する。

メスカップに用意した1リットルの水の水温はどれも概ね25度
メスカップに用意した1リットルの水の水温はどれも概ね25度

加熱に使うコンロはカセットガス式の最大発熱量3.5kW (3,000kcal/h)の製品を最大火力で使う。

加熱に使うコンロは最大発熱量3.5kW (3,000kcal/h)の製品
加熱に使うコンロは最大発熱量3.5kW (3,000kcal/h)の製品

実験結果[ステンレス]

ステンレス:4分50秒で沸騰開始、5分5秒で煮沸状態。

ステンレス製のクッカーは4分50秒で沸騰開始、5分5秒で煮沸状態
ステンレス製のクッカーは4分50秒で沸騰開始、5分5秒で煮沸状態

実験結果[チタニウム]

チタン:5分25秒で沸騰開始、5分33秒で煮沸状態。

チタン製のクッカーは5分25秒で沸騰開始、5分33秒で煮沸状態
チタン製のクッカーは5分25秒で沸騰開始、5分33秒で煮沸状態

実験結果[アルミニウム]

アルミニウム:4分33秒で沸騰開始、4分40秒で煮沸状態。

アルミ製クッカーは4分33秒で沸騰開始、4分40秒で煮沸状態
アルミ製クッカーは4分33秒で沸騰開始、4分40秒で煮沸状態

3種類の材質による実験の結果

沸騰が早かった順に

  1. アルミニウム:4分33秒で沸騰開始、4分40秒で煮沸状態。
  2. ステンレス:4分50秒で沸騰開始、5分5秒で煮沸状態。
  3. チタン:5分25秒で沸騰開始、5分33秒で煮沸状態。
沸騰までの時間はアルミが一番早く、次がステンレス、一番遅いのがチタン
沸騰までの時間はアルミが一番早く、次がステンレス、一番遅いのがチタン

今回の実験結果を考察

素材の熱伝導率の違いがそのまま沸騰までの時間に反映されたようです。

結論から言えばクッカーの形状、容量、熱源が同一なら熱伝導率の良い素材の方が効率良く湯が沸くという事です。

熱効率(燃費)が良い順にアルミ、ステンレス、チタンです。

製品価格が高い順にチタン、アルミとステンレスは同程度です。

耐久性は一概に比べられませんがチタンはやや良い、アルミとステンレスは使い方にもよりますが同程度と言えます。

意外かも知れませんがチタンは熱効率が良くないです。

これはチタンの熱伝導率の低さに由来しています。

時たまチタンは熱伝導が良いといった話を耳にしますがそれは誤りです。

現在はそのような事は無いと思いますが、20年以上前、チタン製のクッカーが世に出始めた頃はメーカーのホームページにさえもチタンは熱伝導が良いといった誤った記述がありました。

これはチタンは高強度な上にステンレスのような電蝕も無いので極薄の素材でクッカーが作れるため、素材の熱伝導は悪くとも極薄素材による熱の透過性が良い事を、熱伝導が良いと混同した結果だと推察します。

チタンクッカーはこの熱伝導は悪いが極薄素材による熱の透過性が良いと言う特性から、調理に使った場合、炎が当たっている部分のみ高温になるため、その部分の食材が焦げやすいと言う欠点があります。

ステンレスクッカーはアルミとチタンの中間くらいの熱伝導性があり、強度はチタンと同程度に高く、特に摩擦強度はチタンよりも高いかも知れません。

欠点は中に入れた食品のイオン化により電蝕してピンホール(極小の穴)が出来やすいことです。

そのような理由からステンレス製のクッカーは素材は高強度なのですが極薄素材の製品はありません。

ある程度の厚みがあっても中に食品を入れっぱなしの状態で使うことが多いと数年でピンホールが空いてしまいます。

但し、ステンレスクッカーは安価な製品が多数出回っていますので穴が空いて買い換える事になってもそれほど多くの出費は必要無いのが良い点です。

アルミ製のクッカーは軽量で熱伝導率が抜群に良いのでアウトドアー用途には最適です。

その昔はクッカーの殆ど全てがアルミ製と言えるほど全盛な時代もありましたが現在では不思議な位にそれほど多くは見かけません。

素材が柔らかで変形しやすいのが欠点です。

熱伝導率が抜群に良いという事は中に入れた物の温度がクッカー全体に伝わりやすいという事で、これはマグカップなどのように直接口を付けて使う場合、特に熱い物を入れた場合には火傷しないよう注意が必要です。

アルミのアウトドアー用クッカーは製品が少ない為か最近は割高感のある製品が多いような気がします。

ヒートエクスチェンジャー付きクッカーで実験してみました

最後に、製品はあまり多くないですが鍋底にヒートエクスチェンジャーと言う熱効率を高めるためのフィンが付いたアルミ製クッカーがあります。

ヒートエクスチェンジャー付きのクッカーでも実験してみた
ヒートエクスチェンジャー付きのクッカーでも実験してみた

鍋底を見ると下の写真のようなフィンが外周に付いています。

これがヒートエクスチェンジャーです。

鍋底に付いているヒートエクスチェンジャー
鍋底に付いているヒートエクスチェンジャー

先の実験と条件を揃えて同じ大きさ形状のクッカーを使いました。

沸騰させる水の容量や水温、加熱するコンロも同じものを使い出来るだけ条件を揃えて実験しています。

水温25度で1リットルの水が沸騰するまでの時間を計測する
水温25度で1リットルの水が沸騰するまでの時間を計測する

ヒートエクスチェンジャー付きクッカーの実験結果

2分40秒で沸騰開始、2分47秒で煮沸状態。

ヒートエクスチェンジャー付きクッカーは2分40秒で沸騰開始、2分47秒で煮沸状態。
ヒートエクスチェンジャー付きクッカーは2分40秒で沸騰開始、2分47秒で煮沸状態。

驚異の熱効率と言える実験結果です。

アルミのクッカーと比べても半分近い時間で湯が湧いています。

ヒートエクスチェンジャーの熱効率や恐るべし!!
ヒートエクスチェンジャーの熱効率や恐るべし!!

但し、ヒートエクスチェンジャー付きのクッカーは使う時には、特に下の写真の右側の製品のような五徳が小さなコンパクトタイプのコンロと組み合わせて使う時には注意が必要です。

ヒートエクスチェンジャー付きクッカーは五徳が小さなコンロで使う時は注意が必要
ヒートエクスチェンジャー付きクッカーは五徳が小さなコンロで使う時は注意が必要

五徳がヒートエクスチェンジャーの縁に掛からず中に入ってしまうような使い方をするとコンロのバーナーに十分な酸素が供給されず不完全燃焼を起こす可能性が指摘されています。

この事は大手カセットガスコンロメーカーのホームページでも注意喚起されています。

この写真のような使い方はコンロが不完全燃焼する恐れがあり非常に危険
この写真のような使い方はコンロが不完全燃焼する恐れがあり非常に危険

コンロが酸素不足で不完全燃焼すると有毒な一酸化炭素が発生し非常に危険です。

ヒートエクスチェンジャー付きクッカーを使う時はコンロの五徳が下の写真のようにヒートエクスチェンジャーの縁に掛かる状態で使用します。

ヒートエクスチェンジャーのガードの縁にコンロの五徳が掛かる状態で使う
ヒートエクスチェンジャーのガードの縁にコンロの五徳が掛かる状態で使う

以上がクッカーの材質の違いによる熱効率の違いを調べる実験結果と考察でした。

皆様のアウトドア・レジャーの参考になれば幸いです。

最後に、コンロやクッカーを使う時は安全第一で!!

最後までご覧頂きありがとうございます!!

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ブラックバスを釣って食う の草分け系YouTuber

「身近な場所でアウトドア・レジャーを満喫」が健啖隊のメインテーマ。ここでは様々なアウトドアシーンで知っていると役に立つ知識や情報を紹介します。特に魚釣りと釣った魚の調理・山野草・キノコは得意分野です。健啖隊の動画チャンネルでは釣ったブラックバスを料理して食べる動画はギネス級にたくさん公開しています。紹介した料理の数も一般的なソテーやフライから刺身やクサヤ干物まで汎ゆる料理を網羅しています。一度、健啖隊の動画チャンネルをご覧になれば必ずやビックリすると思います。尚、ブラックバスをどう捌けば美味しく食べられるかの要点は健啖隊が実践して見出した方法がウィキペディアでも掲載される程に認知されています。

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