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【キャンプのプロが解説】キャンプで飲むべき酒は「日本酒」である理由

きき酒師・渡邉彰大の「自然と酒の余暇」きき酒師/日本キャンプ協会インストラクター

キャンプインストラクターで利酒師の渡邉です。

キャンプのお酒と言えばビールやハイボールを思い浮かべる人が多いと思います。

世間的なイメージでは確かにそうだと思いますが、実はこれら以外でキャンプとの相性が抜群のお酒があります。

意外かもしれませんが、そのお酒とは”日本酒”です。

なぜキャンプと日本酒の相性が抜群なのか?を解説します。
なぜキャンプと日本酒の相性が抜群なのか?を解説します。

私は仕事でもプライベートでも日々キャンプに明け暮れていますが、いつからかキャンプでの日本酒にすっかりハマってしまいました。

そして日本酒キャンプをさらに深めるため、気付けば「きき酒師(日本酒ソムリエ)」の資格まで取得。

なぜビールでも、ハイボールでも、レモンサワーでもなく、日本酒なのか。

この記事では、そんな私が日本酒とキャンプの相性が抜群な理由と、日本酒キャンプの楽しみ方について解説いたします。

日本酒とキャンプが相性抜群な理由

理由は3つあります。

■ 季節との相性が抜群
■ 料理との相性が抜群
■ キャンプ場との相性が抜群

1つずつ解説していきましょう。

季節との相性が抜群

キャンプは野外で行う活動ですので、気候の影響をダイレクトに受けます。

夏はとても暑く、冬は非常に寒いのは当然で、春や秋は「昼は暖かいけれども、夜は肌寒い」ということもあります。

そこで、日本酒の”飲用温度帯がひときわ広い”という特徴が大活躍します。

【日本酒がキャンプに向いている理由】
①ビールやワインと違い、5~50度と飲用温度帯が非常に広い
②食後酒向けのウイスキーやその他蒸留酒と違い、食中酒に向いている(料理に合う)

暑いときはキリッと冷えた冷酒で喉を潤し、冬は熱燗と焚き火で冷えた体を温める。

冬は焚き火とおでんと熱燗
冬は焚き火とおでんと熱燗

特にキャンプのベストシーズンである冬に、キャンプの最大の醍醐味である焚き火とともに飲む熱燗は、言葉にできないほど心に染み渡るものがあります。

最近は、日本酒ハイボールと言う新しい飲み方も定着しつつあったり、低アルコールの美味しい日本酒も造られていますので、本当にキャンプのあらゆるシーンで楽しめるお酒となっています。

料理との相性が抜群

地魚にはやはり地酒
地魚にはやはり地酒

日常を離れるために、家から遠く離れたキャンプ場へ出かけることも、キャンプの楽しみの1つ。

そして旅先ではその土地の食べ物や料理をいただくのが大きな醍醐味です。

そういった”地のもの”にとてもよく合うお酒がその土地の地酒、つまり日本酒です。

なぜなら、地酒とはその地域で古くから飲み継がれてきたお酒です。よってその地域の食文化に寄り添った酒造りがされています。

道の駅や地元の商店で特産物や郷土料理を手に入れ、現地の酒蔵で地酒を選ぶ。

そして、その土地の食と、その土地の酒を、その土地の自然とともにじっくり嗜む。

そういった、その土地のものを味わい尽くす、その土地でしかできないキャンプをすることができます

こんなに贅沢な時間はありません。

キャンプ場との相性が抜群

不思議に思われるかもしれませんが、キャンプ場と日本酒の酒蔵は近接していることが非常に多いです(「なぜ、そうなるか?」は後述のコラムで解説)。

よって、キャンプ場に行く前に酒蔵に寄って、蔵人の話を聞き、キャンプに合うお酒を教えてもらって購入するということができます

時間や条件が許せば、酒蔵見学や試飲をするのもオススメです。

その土地の一期一会のお酒とともに、その土地でしかできないキャンプをする。

ただ単にお酒を買う・飲むだけでなく、酒造りに関するストーリーを聞くこともできれば、その日のキャンプ晩酌により一層深みが増します。

その土地の風土や文化に思いを馳せながら嗜むキャンプ飯というのは、良いものですよ。

コラム【なぜキャンプ場と日本酒蔵は近接しているのか】
言わずもがな、キャンプ場は自然が豊かな場所にオープンしています。
そして同じく、日本酒の蔵も自然豊かな場所に門を構えていることが多いのです。
なぜかというと、「名水あるところに銘酒あり」というように、日本酒造りにはきれいで上質な水が欠かせません。
そういった諸々の事情により、酒蔵の所在地は必然的に自然豊かな土地になっていることが多いのです。

例えば、私が過去に「日本酒キャンプの聖地」の1つとして紹介した千葉県の香取エリアは、4つのキャンプ場と4つの酒蔵が互いに近接しています。
関連記事:【東京から2時間】”発酵の里”での日本酒キャンプが最高のひとときでした

日本には今も1500ほどの酒蔵がある(*1)のと、アウトドアブームによりキャンプ場が増えていることも、この現象の一助となっています。

日本酒キャンプの楽しみ方

ここからは日本酒キャンプを楽しむための具体的な手順を解説します。

① 日本酒キャンプができる場所を探す

酒蔵とキャンプ場が近いエリアを探します。
酒蔵とキャンプ場が近いエリアを探します。

もしキャンプ場の目星がついているようであれば、その近くに酒蔵がないか調べてみましょう。

Googleマップを開き、そのキャンプ場がMAPの中央にくるようにした状態で、「酒蔵」というワードで検索をかけます。

1番近隣の酒蔵がヒットするので、キャンプ場との位置関係を確認しましょう。もちろん同じやり方で、気になる酒蔵からキャンプ場を探すこともできます。

例えば、私が以前紹介した「千葉県香取エリア」であれば、東京から2時間でアクセスもできてオススメです。

電車でも行けて、酒蔵も個性派揃いなので、ぜひ行ってみて欲しい日本酒キャンプの聖地の1つです。

② 酒蔵でキャンプに合うお酒を買う

試飲して買えたらベストです。
試飲して買えたらベストです。

当日、キャンプ場に行く前に酒蔵に行きます。

ハンドルキーパーでなければぜひ試飲しながらお酒を選んでください(条件が良ければ、キャンプ場に車を置いてから酒蔵へ行き、試飲をするという手もあります)。

その際、蔵の人に「キャンプに合う日本酒はどれでしょうか?」と聞いてみましょう。

より具体的な質問の仕方としては、以下のようなものがあります。

  • 冷酒でもお燗でも美味しいお酒はありますか?
  • 地元の名産品や郷土料理に合うものはありますか?
  • ◯◯(作ろうとしているキャンプ飯)に合うお酒はありますか?
地酒の次は現地の食材を調達しよう。
地酒の次は現地の食材を調達しよう。

逆に買ったお酒の特徴を出発点に、その夜の料理を決めてもいいかもしれません。

地元の商店や道の駅、農産物直売所などに行って、地元の食材を調達しましょう。

③ 土地を味わい尽くす

お酒と食材が手に入ったらあとは思い切り楽しむだけです。

食、自然、酒。地のものづくしのキャンプを存分に味わってください。

最高に贅沢な時間があなたを待っています。

それでは今回はここまで。

ぜひ最高の日本酒キャンプを堪能してください。

乾杯。

参考文献

(*1) 国税庁 令和4年3月レポート

きき酒師/日本キャンプ協会インストラクター

「自然の中で、お酒をこの上なく美味しく飲む方法」を考え続けている人。きき酒師(日本酒ソムリエ)とキャンプインストラクターの資格を保有。日本酒以外のお酒もすごく好き。

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