あと15日寝るとお正月。新年にふさわしい日本酒5種を厳選紹介【きき酒師監修】
きき酒師の渡邉です。
もう15日寝るとお正月。
お正月の準備、その中でも我々にとって最重要なお酒の仕入れはお済みでしょうか?
今回、正月にふさわしい華やかなお酒から、華やかさとは無縁の米の香りが芳醇な日本酒まで、それぞれのニーズにあった「お正月におすすめの日本酒」を紹介します。
飲めば拍手を送りたくなる純米大吟醸
正月には、特別な日(いわゆるハレの日)ならではの格別感が欲しいところ。
日本酒でいえばそれは、吟醸香と呼ばれる花や果実に例えられる華やかな香りでしょう。
そこでおすすめなのが、甲子(きのえね) 純米大吟醸(千葉県・酒々井 飯沼本家)。
桃のようにフルーティーで、かつ上品なしっかりとした甘み。それでいてクドさを感じさせない、スッときれるすっきりとした後味はあっぱれ。飲めば拍手を送りたくなる純米大吟醸で、新年を祝うのにふさわしい文句なしの美酒です。
特別感・高級感が最優先なら。ファーストクラスの大吟醸
繁桝 大吟醸 箱入娘 (福岡県・八女市)
お酒の華やかさ・高級感に関しては、「純米大吟醸」よりも「大吟醸」の方が強く感じられる傾向があります。
大吟醸では、製造中に醸造アルコールを投入する点が、純米大吟醸と異なる点です。これには、酒の味わいを軽快にしつつ、酒の吟醸香を引きだす効果があり、結果として酒の華やかさがとても明瞭に感じられるようになります(ですので全国鑑評会には、多くの蔵が大吟醸を出品します)。
この飲む側がかしこまってしまうほどの高級感は、(個人的には)日常生活の中では積極的に飲もうという気にはなりません。そして、純米大吟醸より料理に合わせるのが難しくなるという側面もあります。ですが、その高級感は、逆に正月のようなハレの日に非常によくマッチし、料理との相性を度外視してでも、積極的に飲みたくなります。
そこでお勧めなのが、繁桝 大吟醸 箱入娘 (福岡県・八女市)です。
平成2年に日本航空(JAL)国際線ファーストクラスの機内酒として採用もされた、大吟醸。2023年のIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の大吟醸部門で受賞もしています。
メロンをさらに上品にしたような華やかで落ち着いた吟醸香は、万人が頷く高級感を感じさせます。
こちらの記事にもあるように、大吟醸の中では料理とも合わせやすく、正月にも特におすすめできる大吟醸です。
新しい年の始まりを、より特別な時間でスタートを切りたいときに手に取る日本酒です。
刺身から唐揚げまでマッチする、珠玉の純米酒
木戸泉 自然舞 特別純米(木戸泉 千葉いすみ市)。
日本酒に「華やかさ(吟醸香)は必要ない」という嗜好の方にお勧めしたい食中酒がこちらの1本。
自然農法*米を原料に、高温山廃づくりにて醸されたのがこちらの純米酒。
山廃による心地よい酸。そして、自然米由来の旨味は、大地の養分を貪欲に蓄えたことによる逞しさのようなものが感じられます。
具体的に言うと、誤解を恐れずに例えるとすれば、少し醤油に似たような旨味が感じられます。
酸と旨味により厚みを感じる酒ですが、それでいて繊細さも感じさせる、味わいのバランスの緻密さがあります。
そのため、唐揚げのような味の太い料理にも合いながら、白身魚の刺身のような繊細な料理ともマッチするという、離れ業をやってのけてくれます。
まさに、バラエティ豊かな品が1つに詰め込まれた「おせち」という料理ににふさわしい日本酒です。
*自然農法
有機栽培とも異なり、農薬も肥料も使わずに栽培する手法
気取らない正月には、気取らない酒を
正月というハレの日には、吟醸酒の華やかさがよく似合うという話をしてきました。
ただ、正月だからといって特に気張ることもなく、いつもの日常の延長として過ごしたいという方もいると思います。
あるいは、正月はとにかくお酒を飲んで過ごしたい。そのためにはそれなりに量が必要。だから、大吟醸では予算オーバーだ、という方もいるでしょう。
そんな方にお勧めなのが、「一ノ蔵 無鑑査 本醸造(宮城・大崎市)」。
華やかな吟醸香とは無縁の、いわゆる昔ながらの日本酒。しかし、その仕上がりは一級品。
米の香りや旨みは感じられながらも、雑味のない洗練された仕上がり。
一升瓶で仕入れていれば、正月の食卓には非常に頼もしい存在です。
ちなみに、
ブログの方ではこの記事では紹介しきれなかった、「日本酒で正月をもっと至福の時間にする方法」も紹介しています。
具体的には、
- 正月におすすめの日本酒の選び方
- おせちに合う日本酒を選ぶポイント
- お正月の各家庭のニーズ・予算別のおすすめ日本酒の紹介
- 今回紹介した日本酒のより詳しい情報
特に、おせち料理を美味しさを存分に引き出すための日本酒について紹介しています。
いつもより美味しいおせち料理で、正月をもっと豊かで至福の時間にしたい方は、ご一読ください。