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日本酒ソムリエが伝授!刺身が格段に美味しくなる日本酒を選ぶための「たった1つのルール」

きき酒師・渡邉彰大の「自然と酒の余暇」きき酒師/日本キャンプ協会インストラクター

利酒師(日本酒ソムリエ)の渡邉です。

刺身などの和の魚料理を食べている時に、飲みたくなるのが日本酒。

せっかくなら、刺身の味を最高に引き立てる日本酒を飲みたいものです。

というわけで今回は、刺身を美味しくする日本酒を、誰でも簡単に選び出すための「たった1つのルール」を紹介します。

結論から言うと。。。

結論から言うと、それは「吟醸酒の生酒」です。銘柄がわからなくても、とりあえず「吟醸酒の生酒」を選んでおけば間違いありません。

用語解説
生酒:「火入れ」をしていない生の酒のことです。ほとんどの酒は火入れしてあるので、何も書いてなければ「火入れ酒」で、生酒であればラベルに「生酒」と書いてあります。
吟醸酒:精米歩合が60%以下(原料米を40%以上削っている)の日本酒です。果実や花のような華やかな香りがし、軽快な飲み口が特徴です。

なぜ、「吟醸酒の生酒」は刺身に合うのか?

写真はイメージなので、吟醸の生酒ではないのでご注意。
写真はイメージなので、吟醸の生酒ではないのでご注意。

なぜ、「吟醸酒の生酒」が刺身に合うのか?

3歳児でもわかるように、わかりやすく解説します。

まず関係してくるのが、生酒の特徴。

火入れしていないため、日本酒の原料である「麹」の風味が強く残っています。

この麹の風味は、魚介特有の生臭みを抑え、また、魚の旨味とも非常によく調和します。これは、調味料としての塩麹の役割を思い浮かべればイメージできるかと思います。

また、麹の風味は、同じ麹由来の調味料である「醤油(刺身醤油)」ともよく調和し、非常に相性がいいです。

ただ、生酒は、けっこう主張が強いので、刺身の繊細な味わいを損ねてしまう場合もあります。

そこで、ただの生酒ではなく、「吟醸酒の生酒」というところがポイントになります。

吟醸酒は、製造中に醸造アルコールを添加する工程があります。これは、吟醸香(果実や花に例えられる華やかな香り)を引き立て、かつ、酒の味わいを軽快にする働きがあります。

この「軽快にする」という働きにより、生酒の特徴を持ちつつも、刺身と濃淡のバランスが合う、ちょうどいいボディの酒に仕上がるのです。

さらに、引き立てられた吟醸香も、刺身の後味に華やかな余韻を添えてくれて、この点もペアリングにプラスに働きます。

よって、「吟醸酒の生酒」は、刺身と非常に相性がいいのです。

最後にもう1つオマケ解説を加えておくと、「生酒」というのは、よくも悪くも、酒蔵による特徴が出にくい傾向があります。

乱暴な言い方をすると、どこの酒蔵のものを買っても、けっこう味が似ているのです。

つまり、酒蔵や銘柄の知識がなくても、「生酒」という基準に従うだけで、求める味の酒に行き着くことができます(反対に、例えば、「(火入れ酒の)純米大吟醸」という基準で酒を選んだ場合、酒蔵によって驚くほど味に違いがあるので、判断基準にならないのです)。

そういう意味でも、「生酒」という選択軸は、日本酒の知識がない人にも、とても優秀な判断基準となります。

ぜひ有効活用して、刺身に合う日本酒を手に入れてください。

乾杯。

きき酒師/日本キャンプ協会インストラクター

「自然の中で、お酒をこの上なく美味しく飲む方法」を考え続けている人。きき酒師(日本酒ソムリエ)とキャンプインストラクターの資格を保有。日本酒以外のお酒もすごく好き。

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