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世界的に自慢のできる公園が東区にあります!イサム・ノグチが基本設計した「モエレ沼公園」(札幌市東区)

吉川雅子野菜ソムリエ上級プロ&フードツーリズムマイスター(札幌市)

東区にすばらしい公園があるのをご存知ですか? 自慢の公園「モエレ沼公園」は、2005年にグランドオープンした総合公園です。世界的に著名な彫刻家イサム・ノグチが基本設計を手がけました。先日、ウォーキングを兼ねて久々にゆっくりと歩いてみました。老若男女に利用されている理由がわかりました!

モエレ沼公園

モエレ沼公園」は、札幌市の市街地を公園や緑地の帯で包み込もうという「環状グリーンベルト構想」における拠点として計画された公園です。基本設計は世界的に著名な彫刻家イサム・ノグチが手がけ、「全体をひとつの彫刻作品とする」というコンセプトのもとに造成が進められました。

総面積189ヘクタールという広大な敷地には、幾何学形態を多用した山や噴水、遊具などが配置されており、自然とアートが融合した美しくて楽しい景観を楽しむことができます。

ゴミ処理場の跡地を公園化したことや、公園のシンボルともいえる「ガラスのピラミッド」に自然エネルギーである"雪"を活用した冷房システムを導入していることから、自然環境保全の観点からも注目を集めています。

イサム・ノグチ

日本人の詩人であり英文学者の野口米次郎氏を父に、アメリカ人で教師で編集者のレオニー・ギルモア氏を母とするノグチは、ロサンゼルスで生まれました。 幼少期を日本で過ごし、アメリカやフランスで彫刻を学び、気鋭の彫刻家として活躍。

戦後は、東西の芸術精神を融合した多岐にわたる彫刻を制作し、大地の彫刻ともいえるランドスケープ・デザインを次々と発表。20世紀を代表する彫刻家のひとりとして知られています。

モエレ沼との出会い

ノグチは、それまでにも日本で個展を行い、1969年には香川県牟礼町にアトリエを設け、1970年には大阪万博のために噴水を制作しています。

「札幌なら、長い間温め続けてきた数多くのプレイグラウンドのアイデアを実現できるかもしれない」という誘いを受けて、ノグチは、1988年3月に初めて札幌を訪れました。

札幌市から提案されたいくつかの候補地の中で、彼は既に建設が始まっていた「モエレ沼公園」に強い関心を寄せます。その当時のモエレ沼の内陸部は、不燃ゴミの埋め立て地として利用されていました。それを見たノグチは「人間が傷つけた土地をアートで再生する。それは僕の仕事」だと言い、モエレ沼公園の計画に参加することを希望したそうです。

公園のシンボリックで、美しいガラスの建築物

公園を象徴するモニュメントでもあり、公園の文化活動の拠点となる「ガラスのピラミッド HIDAMARI」。透明なので、建物の中から、夏には美しい芝生の緑と青空を、冬には一面の雪原の美しさを見え、公園の風景と一体になったかのような感覚を味わうことができます。

ガラスで構成されたアトリウムは、一辺が51.2メートルの三角面と四角錐、立方体が組み合わされた複雑な形態となっています。

屋内なのに外の景色を感じられるピラミッド
屋内なのに外の景色を感じられるピラミッド

館内にはレストランやギャラリー、ショップの「panier(パニエ)」、公園管理事務所が入っており、週末には音楽やダンス、美術の展覧会なども開かれます。

オリジナルグッズを扱うショップ
オリジナルグッズを扱うショップ

1階にはフレンチレストラン「 L’enfant qui rêve(ランファン・キ・レーヴ)」があります。名称はフランス語で「夢見る子ども」という意味。レストランからは夕景も楽しめ、早い時間からのディナーも人気です(要予約/011-791-3255)。この日は残念ながら満席でした。

暑かったので、隣接するテイクアウトショップでソフトクリームを購入してウォーキングを再開!

軽食やドリンク、ソフトクリームなどを提供するショップ
軽食やドリンク、ソフトクリームなどを提供するショップ

エネルギーチャージしてウォーキング!
エネルギーチャージしてウォーキング!

2階のイサム・ノグチを映像や図書で紹介する「イサム・ノグチギャラリー」は、視聴覚コーナーが設けられたりして、とても見ごたえがあります。

ノグチの愛を感じる水遊び場!

札幌は海がないんですよね! 

モエレビーチ」は、ノグチが海のない札幌の子どもたちのために、海辺をイメージして造った水遊び場です。

遊歩道で囲まれた緩やかなすり鉢状の浅い池の中心から湧き出した水は、美しい波紋を描きながら、珊瑚で舗装された海辺へと広がっていきます。 夏は大勢の子供達で賑わう人気のスポットです。

大人気のモエレビーチ
大人気のモエレビーチ

今年の開放期間は、6月18日~8月31日の10:00~16:00(木曜日定休)

まるで古代遺跡のピラミッド!

公園最大の造形物である「モエレ山」。東区唯一の山であり、公園全体を見渡せるランドマークにもなっています。

不燃ゴミと建設残土を積み上げ造成された人工の山で、登り口は3方向5ルートあります。階段は山肌を回遊するものと、一直線のものがあり、いずれも10分弱で登り切ることができます。

スロープに誘われるかのように歩みを進めると、山頂から雄大な風景を楽しめます
スロープに誘われるかのように歩みを進めると、山頂から雄大な風景を楽しめます

麓からの高さは52メートル。 山頂部分は、札幌市内全体を見渡せる展望台となっています。

海のない札幌で「海の噴水」

公園の中央、円状に植栽されたカラマツ林に隠れるように設置されている直径48メートルの大きな噴水「海の噴水」。最大25mまで噴き上がる、まるでダイナミックな「水の彫刻」です。

最初は「これが噴水?」と疑ってしまいました。不思議な形!
最初は「これが噴水?」と疑ってしまいました。不思議な形!

それが、間欠泉のように、最大噴上高は25メートルともなるのです。

ショータイムが始まる最初は、中央から25メートルまで吹き上がる豪快な噴水
ショータイムが始まる最初は、中央から25メートルまで吹き上がる豪快な噴水

水面全体がうねりながら徐々に水が満ち、「海の嵐」を表現した荒々しい水面から水があふれ、凪の時間の後には、静かに水が引くなど、まるで生き物のよう、そして本物の海のような噴水です。

40分のロングプログラムと15分のショートプログラムがあります。6~10月は1日4回運転しています(時間等はこちら)。

私が行った4回目の19:15~19:55のロングプログラム。夜間のみライトアップすると知っていたので、ここをめがけていきました。まだ日が落ちる前から始まり、クライマックスは真っ暗でとても神秘的でした。

中心の水が少しずつ増え、カラフルな波が立ちます
中心の水が少しずつ増え、カラフルな波が立ちます

ザブーン、ザブーンと中央の荒々しい波と横の穴からどんどん水が出てきています。その様子はちょっと怖いくらい!
ザブーン、ザブーンと中央の荒々しい波と横の穴からどんどん水が出てきています。その様子はちょっと怖いくらい!

凪の時間。少しの間青い夜の海に
凪の時間。少しの間青い夜の海に

周囲の水が引き、また周囲に霧のような小さな噴水が出てきました。ピンクやブルーなど7色に色が変わっていきます
周囲の水が引き、また周囲に霧のような小さな噴水が出てきました。ピンクやブルーなど7色に色が変わっていきます

周囲がカラフルに、中央に水が集まってフィナーレに!
周囲がカラフルに、中央に水が集まってフィナーレに!

夜に見に行ってよかった!

ライトアップされてさまざまに変化する光と、いろいろな表情を見せる水の豪快さを楽しめました。

オススメです!

ぜひ行ってみてください!

※強風・雨天・雷など悪天候の場合は運転を停止する場合があります。

レンタサイクルもあります!

私はウォーキングを兼ねていたのでたくさん歩きましたが、駐車場入り口にはレンタサイクルもあります(ガラスのピラミッドでは借りられません)。

貸出料金は、普通車(20インチ、22インチ)2時間200円、乳児用バスケット付自転車(26インチ)300円、1時間延長100円

台数:大人用90台普通車・子供用40台

※貸出は営業終了時間の2時間前に終了します。

広くて、緑が多くて、一日居ても飽きない「モエレ沼公園」。今度はランニングシューズを持って走ってみようかなーと思いました。近くにスーパー銭湯もあるしね!

見ごたえのある噴水ショーは無料ですしね!

<モエレ沼公園>

*住所:札幌市東区モエレ沼公園1-1

*TEL:011-790-1231

*開園時間:7:00~22:00(入場は21:00まで)

*定休日:なし(園内各施設は定休日あり)

*入園料:無料(駐車場:無料)

*詳細は公式ホームページをご覧ください。

野菜ソムリエ上級プロ&フードツーリズムマイスター(札幌市)

札幌市在住。「野菜ソムリエ上級プロ」。ほかにも生産者のブランディングをする「青果物ブランディングマイスター」、地域の食をツーリズムに生かす「フードツーリズムマイスター」などの資格を有する。「簡単におうちで野菜たっぷりな料理をしよう!」をモットーに料理教室やワークショップなど食に関する話題提供や、野菜や果物を使った商品開発やメニュー開発、アグリツーリズム企画なども行っている。また、原田知世・大泉洋主演の映画『しあわせのパン』では、フードスタイリストとして映画作りに参加。著書:『北海道チーズ工房めぐり』『野菜ソムリエがおすすめする野菜のおいしいお店』など。

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