【札幌市白石区】地下から汲み上げた天然の軟水を使用した豆腐や大豆加工品がいろいろの「豆彩工房 悠貴」
豆腐マイスターがいるお豆腐屋さん「豆彩工房 悠貴」。代表の伊丹一貴さんは、豆腐マイスターを取得する前から、市内の小学生の豆腐作り体験など食育活動も熱心です。白石区本通にあるお店に伺ってきました。
お豆腐屋さん、大ピンチ!
厚生労働省が発表している「全国豆腐製造事業所数」によると、ピークの1960年度には51,596施設だったのが、2020年度は5,319施設と、60年間で1割に減少しているんだそうです。理由のほとんどは経営環境の悪化や後継者不足。“まちの豆腐屋”は存亡の危機に瀕しています。
元々、価格の低い豆腐。大豆などの原材料価格の高騰の波が押し寄せて経営に打撃を与えているのです。
しかし、最近は、“低脂質・高タンパク”といった健康面から、ダイエットをしたい人やアスリート、さらにベジタリアンやヴィーガンの人たちも増え、「安いから豆腐を選ぶ」から、「健康のために豆腐を選ぶ」に変わりつつあります。
3代目を引き継ぐ
代表の伊丹一貴さんは今とは違う仕事をしていましたが、1958年、祖父の代から始めた家業を終わらせたくないという気持ちが湧いて、豆腐業に就きました。
その当時は、輸入大豆を使い、スーパーや飲食店などへの卸しをメインに展開していました。しかし、量を重視する業務形態を見直そうと考え、一貴さんは京都で2年間修業。
現在は、北海道産の大豆を使用した豆腐のほか、油揚げなどの豆腐加工品、それらを使用した総菜も販売しています。
こだわりの豆腐作り
美味しい豆腐作りに欠かせないのが「水」です。この店では、地下から汲み上げた天然の軟水を使用しています。硬水の場合は水の中に含まれるカルシウムが大豆のタンパク質を結合させたり、旨み成分と反応するのですが、軟水を使用することで、とろけるような柔らかさ、滑らかで美味しい豆腐に仕上がるのだそうです。
豆腐作りは、主原料の大豆の潰し方や温度管理など、ほんの少しの違いが出来上がりに影響する、繊細な作業です。「豆彩工房 悠貴」では、手作りをベースとした製法の中に機械も取り入れることで、変わらぬ美味しさと安全性を実現しています。
水分を絞った豆腐本来の旨味が凝縮された「ざる豆腐」(250g 320円)、限定栽培の大豆を使用した「焼き豆腐」(270g 130円)は、崩れにくく箸で掴みやすいので、鍋やすき焼き、煮物、炒め物など万能です。北海道産大豆を使用し、きめが細かく滑らかな食感の「絹豆腐」(300g 180円)はサラダや冷奴がオススメです。木綿豆腐は4種類あります。
豆腐を使った加工品や惣菜も美味!
やや硬めに仕上げた豆腐を薄切りにして、こんがりきつね色になるまで丁寧に揚げた「油揚げ」や、大豆の旨みがしっかりと感じられる「三角揚げ」、がんもどきなども人気です。
正面の冷蔵ショーケースには美味しそうな日替わりの惣菜も多数並んでいます。そのレパートリーはおよそ200種にも及ぶとか。
「豆腐のロールキャベツ」「揚げのチヂミ」「揚げと茄子の挟み煮」「生揚げと鶏肉の油淋鶏」「揚げとささげの煮物」「豆腐のミートグラタン」「豆腐のキッシュ」……。
私がお話を伺っている最中にも、わき目もふらずに入店した方が、「揚げ納豆5つ」と豆腐を買って行きました。聞くところによると、ほとんど毎日、揚げ納豆を購入する常連さんだそうです。
こちらは我が家に連れてきたものたちです。
私が購入した惣菜は150~350円。グラタンが350円って安すぎません? ハンバーグも300円って安すぎません?
自分では作らなくなってしまったけど、たまに食べたくなる高野豆腐の肉詰めときんちゃく。
どれも美味しい! しかし、残念なことに、3月18日で総菜部門は終了するのです。
大豆だけでなく、それ以外のものの値段の高騰が影響ですが、スタート時から惣菜に関わってきたお母さまの年齢のこともあり、提供価格を上げてまで惣菜を提供するには至らなかったということ。
入口に貼ってあった「とうふバーガー」のチラシ。これ、それまでに食べなくちゃ。前日17時までの完全予約制です。
試しに一貴さんから写真を送ってもらいました。
食育にも熱心な一貴さん。小学校への豆腐作り体験の出前講座を行ったり、さまざまな賞も受賞しています。
昨年12月には、3年ぶりに開催された「一般財団法人 全国豆腐連合会」が主催する「第6回全国豆腐品評会」で、同社の「HANAMIZUKI(はなみずき)よせver.TT」が「アメリカ大豆サステナビリティ・アンバサダーアワード」を贈賞しました。実は、2018年にも受賞しており、2度目。
そのすばらしい功績の詳細はこちらを参考にしてください。
総菜部門が終了するのはさみしいですが、これからもみなさんに愛される「こだわりの豆腐」を作って行ってほしいですね。
<豆彩工房 悠貴>
*住所:札幌市白石区本通10丁目南5-1
*TEL:011-861-2623
*営業時間:10:00~17:00
*定休日:日曜日
*公式フェイスブックはこちら。