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【札幌市中央区】地球のメカニズムを伝える都市型水族館「AOAO SAPPORO」7/20オープン!

吉川雅子野菜ソムリエ上級プロ&フードツーリズムマイスター(札幌市)

「札幌に水族館ができるらしい!」と、数年前から市民の間で話題になっていました。「それも大通の商業ビルの中らしい」。イメージが付きませんでしたが、先日お邪魔させていただきました。都市型水族館「AOAO SAPPORO」が伝える本質をご紹介します。

噂の水族館!

札幌市内には「新さっぽろサンピアザ水族館」、お隣の小樽には「おたる水族館」があり、可愛い魚たちを見たり触れ合ったりする、いわゆる“水族館”としてなじみがあります。

こちらは4月に紹介した「新さっぽろサンピアザ水族館」の記事です。→https://creators.yahoo.co.jp/kikkawamasako/0100450131

南2条西3丁目にできる商業ビル「moyuk SAPPORO」 。各階ではショッピングやグルメが楽しめます。

その4~6階には、都市型水族館「AOAO SAPPORO」が入ります。「ネイチャーアクアリウム」と「ライブラリーアクアリウム」などで構成した、約250種4000点の海や水の生物たちが展示されます。

都市型水族館「AOAO SAPPORO」

ずいぶん前から、「札幌の街中に水族館ができる」とニュースが流れ、どんな水族館なのだろうと思っていました。

実は私、水族館が好きで、出張の合間の時間や飛行機を一本遅らせたりして、いろいろな水族館に出かけ、ゆらゆらゆれるクラゲやぴょんぴょん遊ぶペンギンなどから癒されていました。

ここはクラゲばかりいる水族館です
ここはクラゲばかりいる水族館です

数日前に、オープン前の「AOAO SAPPORO」に行く機会があり、興味津々で入館!

先に感想を言うのもどうかと思いますが、見終わってみて「海や水の生物を見るとか生体を知るとか触れ合うとかいう水族館でなくてよかった!」「期待を裏切ってくれてよかった!」と。

AOAO SAPPORO」という名称の由来が現すように、地球の海や水の生命が生き生きと繁茂する様子を「青々」という単語にし、名付けられていました。

6階の「ブルールーム」。幅約20メートルの大型スクリーンと延総床面積約120平方メートルの床にまで投影される、海の世界のデジタルアートは圧巻です
6階の「ブルールーム」。幅約20メートルの大型スクリーンと延総床面積約120平方メートルの床にまで投影される、海の世界のデジタルアートは圧巻です

札幌という大きな都市のビルの中にありながら、"海や水の生物たちの豊かな営みに出会える場"であり、生き生きとした生物たちの生命の不思議を細やかに伝えています。見ている人が海や水の世界への好奇心や畏怖の念などが湧き、引き込まれる場です。

このようなスタイルの水族館は「ネイチャーアクアリウム」と呼ばれています。これを提唱したのが天野尚(あまのたけし)氏です。彼はいろいろな顔を持った方でした。その一つに写真家としての活動があります。

これらは天野氏が撮影した「水の惑星」「「朝日に輝くジャングル」「赤道直下に生きる」と題された写真たち
これらは天野氏が撮影した「水の惑星」「「朝日に輝くジャングル」「赤道直下に生きる」と題された写真たち

写真は、展示物のフロアのあまり目立たない場所に飾られていましたが、とても輝いていました。

このような「ネイチャーアクアリウム」というスタイルで、多くの人に"地球の美しさ""自然への憧れ""自然の尊さ"などを見せながら、3つのフロアからなる施設全体で「今ある美しい地球の継承」を訴えかけてきたように感じました。ここもぜひ、見てほしい場所です! 

やっぱり見たい!ペンギンたち!

6階には、噂のペンギン「キタイワトビペンギン」が愛らしい姿を披露しています。

いろいろな角度からキタイワトビペンギンの姿を見られる大きな水槽
いろいろな角度からキタイワトビペンギンの姿を見られる大きな水槽

陸場を飛び跳ねて移動するキタイワトビペンギンは、体長55~60センチ、頭部に黄色い飾り羽がオシャレさん。飛び跳ねて移動することから"イワトビ"と付けられたのですね。

また、「グリーンルーム」の奥には、もうひとつのペンギン「フェアリーペンギン」の展示室が見えます。このペンギンは世界に全18種いるペンギンの中で最も小型。オーストラリア南部とニュージーランドに生息する、体長30~40センチ、常設展示は北海道内で初めてだそう。

「ライブラリーアクアリウム」の展示がユニーク!

5階にある「ライブラリーアクアリウム」は、生物の特徴や魅力にフォーカスし、図書館のように分類された水槽と本がある展示です。

分類がユニーク!
分類がユニーク!

大小さまざまな43の水槽には観察ポイントが書かれており、本を1ページずつ読み進めていくように、生物とその生態に関する知識を得ることができます。

「ぺったんこ」「にょろ」「もさもさ」「いろいろ」「いきている化石」という、ユニークなタイトルで分類されています。

「にょろ」
「にょろ」

にょろっとした生物
にょろっとした生物

「もさもさ」に分類された生物って何?
「もさもさ」に分類された生物って何?

どんな生物が分類されているかは、ご自分の目で見てみてくださいね。「あー、そうね、そんな形をしているわー」と思うはず!

もうひとつ、札幌市民が誇るものが展示されています。それが「サッポロカイギュウ」の復元骨格標本です。

全長7メートルの大型骨格のサッポロカイギュウ
全長7メートルの大型骨格のサッポロカイギュウ

この世界最古の大型海牛である「サッポロカイギュウ」は、約820万年前、札幌周辺が海だったことを現し、そこで生活していた生物。この「サッポロカイギュウ」の発見者は、当時は小学生で、2002年の夏に、定山渓に近い豊平川上流、南区小金湯で川遊び中に気づいたそう。

こんな大きな生物が札幌周辺(当時は海の中ですが)に居たとは、ちょっと驚きですね。

ビルの中の中なのに海水はどうしているの?

海の生物たちがいるのに、海水はどうしているの?」という素朴な疑問がありますね。

一言でいうと、ビル(4階)の中で作っています!

実は、受付して中に進むと、まず見えるのが何かの機械やプラントがある小さな工場のようなもの。これが人工海水を製造するプラントです。

人工的に海水を作って各水槽に送られている「水の循環のラボ」
人工的に海水を作って各水槽に送られている「水の循環のラボ」

魚類用1基、ペンギン用1基の計2基の人工海水を製造するプラントです。直径約1.6メートル、高さ約2.7メートルのプラントでは、一度にそれぞれ約3,000リットルの海水を製造することができ、1日に1回、プラントに塩を補充し、海水を製造しています。製造された海水は、「AOAO SAPPORO」の各ゾーンの展示水槽に送られます。

地球が続けてきた水のリレーは壁に映し出された説明でわかるので、これも素通りしないで見てほしい!

海が蒸発して雲へ、雨となって地上へ、川を流れて海へ。地球が続けてきた水のリレーを再現し、水生生物の生態や未来を研究するラボラトリー。この地球のような環境をこの施設で学ぶのです。

ミュージアムショップやイートインコーナーも!

4階のエントランスに併設されている「ミュージアムショップ」。オリジナルグッズを販売するほか、館内展示やイベントと連動し、時期によって異なるグッズを展開。

「ミュージアムショップ」はAOAOに入らない方でもショッピングができます
「ミュージアムショップ」はAOAOに入らない方でもショッピングができます

オリジナル商品コーナー
オリジナル商品コーナー

6階には「シロクマベーカリー&」があり、パンとお酒が楽しめます。道産小麦を使用したクロワッサンに加えて、オリジナルカクテルやビール、地元の素材を利用したバルメニューがあり、昼から夜までシーンに合わせて利用できます。

写真は施設より。「プレーン」「あんバター」のほか、「国産すじ青のり&ホッケフライサンド」「チョコミント」など、「AOAO SAPPORO」限定クロワッサンがあるそう
写真は施設より。「プレーン」「あんバター」のほか、「国産すじ青のり&ホッケフライサンド」「チョコミント」など、「AOAO SAPPORO」限定クロワッサンがあるそう

写真は施設より。コーヒーなどのソフトドリンクのほかに、サッポロクラシックやクラフトビール、カクテルなどがあります
写真は施設より。コーヒーなどのソフトドリンクのほかに、サッポロクラシックやクラフトビール、カクテルなどがあります

館内には、「コワーキングスペース」や「 ベビールーム」「グリーンルーム」など、年齢や性別に関係なく誰でも利用でき、利用の仕方もさまざま。

施設が語り掛けるものが多くて、ここが都心部のビルの中だとは忘れてしまいますよ!

5階からの眺め。駅前通りが見えています
5階からの眺め。駅前通りが見えています

<AOAO SAPPORO>

*住所:札幌市中央区南2条西3丁目20 moyuk SAPPORO 4~6階

*開業日:2023年7月20日(木)

*営業時間:10:00〜22:00(最終入館 21:00)※季節によって変更する場合がある

*休館日:年中無休 ※施設メンテナンス等により臨時休館する場合がある

*料金はホームページで確認してください。

*公式ホームページはこちらをご覧ください。

*公式Instagramはこちら

野菜ソムリエ上級プロ&フードツーリズムマイスター(札幌市)

札幌市在住。「野菜ソムリエ上級プロ」。ほかにも生産者のブランディングをする「青果物ブランディングマイスター」、地域の食をツーリズムに生かす「フードツーリズムマイスター」などの資格を有する。「簡単におうちで野菜たっぷりな料理をしよう!」をモットーに料理教室やワークショップなど食に関する話題提供や、野菜や果物を使った商品開発やメニュー開発、アグリツーリズム企画なども行っている。また、原田知世・大泉洋主演の映画『しあわせのパン』では、フードスタイリストとして映画作りに参加。著書:『北海道チーズ工房めぐり』『野菜ソムリエがおすすめする野菜のおいしいお店』など。

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