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【土浦市】9~12月までの期間限定、霞ヶ浦で水揚げされた朝獲れ白魚が買える店の作業場に密着!

コイケケイコ土浦在住ライター(土浦市)

白魚干しが絶品だという噂を聞いて行ってきました「常磐商店」。「月曜日なら霞ヶ浦で水揚げされたばかりの白魚やわかさぎを作るところを見せてあげられるから」というご厚意に甘えて月曜早朝にお伺いしてきました。

初めて行くときには、道のところどころにある看板を目印に

霞ヶ浦近くに位置する「常磐商店」は、創業して約120年の老舗の川魚専門店。土浦駅から車で約15分程度の住宅街にあるのですが「本当にこんなところにあるのかしら?」と最初は迷ってしまうかもしれないので、道すがらにある看板を信じて向かっていきましょう。

「手野町南」の信号を右折してとにかく道なりに。右側にはレンコン畑が広がっていてとても美しい景色です。

最初の看板がこちら! ここから宝探しならぬ「常磐商店」探しが始まります。

2つめのサイン発見! 細い道で本当にこんなところにあるのかしらと心配なさらずに(コイケは心配しましたが)。

サイン小さめ! でもゴールはまもなくです。

最後のサインです! このあたりから車の窓を開けると甘い香りがしてくるので、その香りを楽しみながらゴールを目指すのも楽しいです。

到着! お店の左側に広めの駐車場がありますので、そちらに停めてお店へ。なお、土浦市内からは歩くとかなり距離がありますので車で向かうのがおすすめです。

白魚やうなぎ、佃煮を求めて次から次にお客様が来店

「常磐商店」は常磐さんご家族が営む川魚専門店。まるでご自宅にお邪魔するような風情あるお店の雰囲気が素敵なんです。

店内は生白魚やうなぎの蒲焼が並ぶ冷蔵ケースと左側に佃煮製品。言葉を選ばずにいうとたったこれだけなのにお客様が次から次にやってきます。前日からうなぎを予約しているお客様や白魚干しを買い求めにやってきた常連さんなど、目指す商品も本当にさまざま。看板娘でもある女将さんは朝から忙しそうです。

「常磐商店」といえばの看板メニューが白魚です。霞ヶ浦では川魚を漁獲できる時期が12月までと決まっていて白魚を生で味わえるのはまさに今だけなのです。

霞ヶ浦から水揚げされたばかりの生白魚。お店の前に「霞ヶ浦北浦のダイヤモンド」というキャッチフレーズが印象的なポスターがありましたが、その通り、身が透明できらきらとしています。この生白魚が1パック800円からとお手頃なのもうれしいかぎりです。

肉厚なウナギのかば焼きも人気です。このボリュームで1800円から買えるなんて本当に驚き。

いたずら書きみたいに見えますが、海老まこも大人気です。小さな海老から卵を取り出すのは気の遠くなるような作業です。ちょっとの量でも滋味深さを堪能でき、これだけでご飯がバクバク進みます。ふりかけにしても、お茶漬けにして味わうのもおすすめです。

佃煮は種類が豊富で、1パック540円均一とお手頃です。これは一部ですが、すべての佃煮は隣の作業場で作っています。

白魚干しや佃煮を作る作業場に潜入!

お店のすぐ隣に白魚干しや佃煮を作る作業場があります。12月までの毎週月曜日は霞ヶ浦で水揚げされる川魚が入荷される日で、取材に訪れた月曜日の朝は大忙しです。

獲れる量はその時々でまったく違うのですが、川えびだけでこのボリューム。それでも今日は少なめなのだそうです。

川魚は鮮度が命です。白魚もわかさぎも川えびも届いたらすぐに水で洗いますが、特に川えびは川の底の泥をたくさん吸い込んでいるので泥抜きのために入念に水洗いをします。

川魚が届く前に仕込みの準備をします。今日取材させていただいたのは白魚干しとわかさぎ煮干しを作る工程なのですが、「常磐商店」では干す前に塩茹でにする工程があります。塩茹でに使うのは赤穂の天塩。一般的な塩よりも高めの塩を惜しむことなくどっさりと使います。

100リットルの鍋いっぱいに汲んだ水をぐらぐらと煮立たせて、そこに塩を合わせ入れます。

以前はガスを利用していたのですが、現在はより早く高温になる蒸気を使っているそう。蒸気で沸かすこともまろやかな味作りにつながっています。

規定の温度、時間はありません。その日の気候や湿気の具合、川魚の状態を見て鍋に白魚を投入していきます。川魚を入れるタイミング、感覚はまさに経験がなせる業です。

旬を迎えたこの時期の白魚はじっくり煮るというよりも、さっと湯通しする程度。きらきらのダイヤモンドからふわふわのパールへと姿を変える瞬間です!

ご紹介が遅くなりましたが、この写真の方が「常磐商店」4代目店主の常盤伸一さんです。職人さんならではの丁寧な仕事ぶり、だけれどとても気さくで面白い方です。

白魚がやわらかく炊きあがる絶妙な頃合いで網に移していきます。白魚同士がなるべく重ならないように注意しながら、でもスピード感を持って。集中力を切らすことのできない重要な作業のひとつです。

100リットルの鍋でぐらぐらと炊いて2つのざるいっぱいの白魚が完成しました。これから干す作業はあるのですが、その前に出来立てをいただいたところ、赤穂の天塩の甘みと白魚の甘みが調和して、ふっくらと優しい味に仕上がっていました。

わかさぎも白魚と同じように、旬の時期ならではの旨みを楽しめるように湯通し程度に塩茹で、湯切りをして網へと移していきます。

網に移してさらに湯切りした白魚やわかさぎを作業場の2階部分で天日干しします。訪れたこの日は晴天に恵まれて心地良い風も吹いていたので、干す時間は20分程度と想像以上に短めです。

できたて(干したて)の白魚干しとわかさぎ干しがこちら。水揚げされたばかりの大きな川魚が塩茹で、天日干しの工程を踏むことで旨みもサイズもぎゅっと凝縮されています。あれだけの塩を使っているのに塩分がきつくなく、むしろまろやかな味わいです。ご飯のお供にもなるし、お茶請けにも最高です。

休む間もなく、甘露煮や佃煮作りが始まります。写真はにしんの甘露煮ですが、身が硬くならないように水あめと醤油をブレンドしたタレをひと回しかけたら休ませて、またひと回しをして休ませてと何度も繰り返すことでおいしい甘露煮が出来上がります。これだけ手間暇をかけて作っているのに1パック540円は安すぎる…(でもうれしい)。

「常磐商店」の味を受け継ぐ常磐伸一さん(写真右)と弟の剛士さん(写真左)。どうでもいいことかもしれませんが、剛士さんの運転技術は半端じゃありません(笑)。

手作りの温かみと長い歴史に育まれた川魚をぜひ一度ご賞味ください。きっとハマりますよ(私はドはまりしました)。

店舗情報
住所:茨城県土浦市沖宿町742-2
電話番号:029-828-0440
営業時間:9:00~18:00
定休日:水曜
ホームページ:http://www.tokiwanotsukudani.jp/
Instagram:tokiwa_shouten

土浦在住ライター(土浦市)

土浦市在住のフリーランスの編集・ライター。海外・国内の旅行関連のガイドブックや書籍制作をはじめ、ブライダル情報誌の編集にも携わる。食べること・飲むことが好きで、趣味が興じて最近では食を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。地元土浦の飲食パトロール、歴史やカルチャー学習も積極的に行っています。

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