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【土浦市】肝に脂が乗ってますますおいしい。茨城の冬の味覚・あんこう鍋の季節が到来しました!

コイケケイコ土浦在住ライター(土浦市)

「大ぶりのあんこうを手に入れたので、さばくところを見に来ませんか?」とお誘いいただき、神立にある割烹「㐂作(きさく)」にさっそくお伺いしてきました。

冬に旬を迎えるあんこう、ふぐも味わえる和の創作料理店です

いきなりどうでもいい話ですが「㐂」って現代においてなかなか使わない文字ですよね。現代では、「喜」と使われることの多いこの文字。どちらも“よろこぶ”という意味で「㐂作」は、「喜作」と書かれることもあります。

余談が長くなってしまいましたが、「㐂作」は神立駅西口より徒歩で約3分の場所にある割烹(和の創作料理のお店)で、ふぐやあんこう料理を得意としています。

今回はあんこうを中心に取材させていただきましたが、「秋の彼岸から春の彼岸まで」といわれるふぐも冬がいちばんおいしい季節。㐂作では、「東のあんこう、西のふぐ」といわれる横綱級のおいしさの両方を味わうことができます。

2人から利用できる個室も充実、カウンター席やテーブル席も!

「㐂作」はジャンルでいうと割烹(かっぽう)にあたります。割烹と料亭は同じように取られることがありますが、料亭は主に個室でコース料理を提供する高級飲食店であるなら、割烹はカウンターやテーブル席が中心で注文に応じて料理を作るアラカルト形式で、似て非なるもの。

外観の雰囲気だけ見ると「ちょっと格式高そうだなー」と思ってしまいましたが、一歩店内に足を踏み入れるとおしゃれなダイニングレストランのような雰囲気です。

カウンター席もあるので、ひとりでふらりと立ち寄ってお酒と料理を楽しむこともできます。

店内には、水音を湛えたスペースや、広々とした空間を印象的に映し出すオブジェが随所に置かれています。雰囲気の良いお店なので、デートや女子会などで利用するのにもおすすめです。

テーブル席やカウンター席のほかに個室も充実しています。写真のお部屋は2人利用にぴったりの個室です。どのお部屋も掘りごたつ形式になっているので足を崩してくつろげるのも魅力です。

伝統の解体法・あんこうの吊るし切りを見学させてもらいました

取材にお伺いした翌日に、2代目店主である嶋田洋匡(しまだひろだた)さんから「いいあんこうを仕入れたので、さばくところを見に来ませんか?」とご連絡をいただき、改めてお店にお邪魔しました。さばいてくれるのは、嶋田さんご本人。吊るし切りという伝統的な手法でさばいていただきます。

大きな発砲スチロールの蓋が開かれると、なにやらヌルヌルの物体が…よく見たらこれがあんこう! イラストや漫画などでは見たことがありましたが、実物を見るのは初めてです。なんというか…まるでエイリアンのよう。「これがあんなにおいしいものの正体なのか」と驚くばかりです。

あんこうは10キロ前後からがおいしいとさているそう。この日嶋田さんが仕入れたあんこうはまさに10キロ前後のもの。ぬるぬるしているし、重いしで持ち上げるだけでもひと苦労です。

下あごに鉤(かぎ)と呼ばれる針金を通して吊るして捌いていくことを「吊るし切り」といいます。大きいうえにぬるぬるしたあんこうは、まな板の上だと捌きにくく、このように吊るして捌いた方が新鮮なうちに調理できることから昔から用いられていた解体法です。

大きい口で、しかも歯が鋭いです。なんでも飲み込んでしまいそうな形相は、やっぱりエイリアンです…

こちらは脂が乗った肝臓(キモ)です。人気メニューのあん肝はこの肝臓を使って調理していきます。

あんこうは、頭と骨以外はすべて食べることができる無駄のない魚です。「あんこうの七つ道具」といって、肝臓(キモ)のほかに、卵巣(ヌノまたはフンドシ)、水袋(胃)、エラ、トモ(尾)、柳肉(身)、皮まで味わい尽くせます。ちなみに上の写真は、胃の部分。中を開くと消化しきれなかったイカがまるまる1ぱいと貝類がごろごろ出てきました。

茨城県のあんこうは「常盤もの」という別名があり、常盤沖で漁獲されることからその名がついたそうです。親潮と黒潮が交わる常盤沖はプランクトンが大量発生する地で、そのプランクトンを求めて小魚が集まり、さらにその小魚を食べにあんこうが集まります。おいしい餌をたらふく食べるあんこうは味が良く、北の冷たい海にもまれて身が締まっていることから、全国的にも高い評価を得ています。

「新鮮なうちに捌いてあげたい」と嶋田さんは慣れた手つきでものの15分程度で骨の状態に。「骨のまわりについた身が好きというお客様もいらっしゃるのでちょっと残し気味にしています」と嶋田さん。捌いた部位は、さっそく調理場へと運ばれて適した調理が行われます。

あんこう鍋は1人前3100円~。肝で炊くオリジナルアレンジのどぶ汁も味わえます

「㐂作」のあんこう料理で一番人気はなんといってもあんこう鍋です。1人前から注文が可能で、みそベースの出汁に溶け込んだあん肝の滋味を心ゆくまで楽しめます。

また、「㐂作」ではオリジナルアレンジのどぶ汁を味わうことでもできます。コクのあるどぶ汁はおいしい肝が手に入った時だけ提供可能なレアメニューです。4400円からとちょっとお高めですが、それだけの価値はあります。

あんこう以外の茨城ならではのメニューもあります

冬の「㐂作」ではぜひあんこうを楽しみたいですが、そのほかのメニューも充実しているので、2人以上で訪れるならあんこう鍋をメインにサブメニューもぜひ。写真は肉厚のレンコンステーキ。レンコンも冬を迎えるこれからがほくほくとしておいしくなります。

「㐂作」の名前にはちゃんとした由来があるのですが、私からすると「㐂作=気さく」の文字遊びに思えるほど、アットホームで居心地の良いお店です。夜だけでなく昼も営業しているので、ママ会などで集まるのにも最適です。

店舗情報
㐂作(きさく)
住所:茨城県土浦市神立中央1-11-18
電話:029-831-7472
営業時間:11:00~13:30(L.O.)、17:00~22:00(L.O.)
定休日:日曜(月曜が祝日の場合は日曜営業、月曜休み)
駐車場:あり(無料)
ホームページ:http://www.tsuchiura-kisaku.com/
Instagram:kisakuankou

土浦在住ライター(土浦市)

土浦市在住のフリーランスの編集・ライター。海外・国内の旅行関連のガイドブックや書籍制作をはじめ、ブライダル情報誌の編集にも携わる。食べること・飲むことが好きで、趣味が興じて最近では食を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。地元土浦の飲食パトロール、歴史やカルチャー学習も積極的に行っています。

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