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【土浦市】町のケーキ屋さんが作るモンブランはすべてが手作業・手作り。舌ざわりもおいしさも別格でした

コイケケイコ土浦在住ライター(土浦市)

窓ガラス越しにケーキや焼き菓子を作っている様子を見ることができる「アップルハウス」は、土浦市神立の顔のような存在のお店です。じーっと覗いていると工程のほとんどが手作業で行われているよう。丁寧に、そして熱心に。地元の人たちに愛される“町のケーキ屋さん”だからできる手作り感あふれるケーキの魅力に迫ります。

緑の屋根とピンクの外観が印象的な“町のケーキ屋さん”

神立駅をバスターミナルのある側の出口(西口)に降り立ち、歩くこと4分程度。お肉屋さんの幟(のぼり)の先に、なにやらピンク色のかわいらしい建物が見えます。この場所こそが“町のケーキ屋さん”として地元の人たちに愛される「アップルハウス」です。

写真は、入り口付近から撮影したもので手前のショーケースにはケーキが並び、向かい側にはジャムや手作りパン、奥はチョコレートや焼き菓子などもバリエーション豊富に並んでいます。

取材にお邪魔したのが1月中旬だったこともあり、店内はバレンタインデー仕様の楽しげな雰囲気です。赤やピンクのハートのディスプレーに心が躍ります。

店内奥には喫茶コーナーも。コーヒーなどのドリンクとケーキを楽しむこともできますし、ランチタイム(11~14時)にはボリューム満点のハンバーグまたはポークしょうが焼き(各850円、ライスまたは手作りトースト、ドリンク付)を選んで味わうこともできます。

1000円あれば少なくても3個は買える。お手頃なのにハイクオリティなお菓子たち

1986年(昭和61)に開業して今年で36年目を迎える「アップルハウス」。「地元の人たちに愛される駄菓子屋さんのような存在になりたい」と話す、オーナーシェフ・永田晴彦さんは、とても地元愛が強いですが、実は東京都中野区出身という昔でいうところのシティボーイ(若かりし頃はロン毛のやんちゃ男子だったことも!)。

研究者であるお父さまがつくば市で仕事をすることになったのを機に茨城に初めて訪れ、お父様が退職後も神立駅周辺の雰囲気が気に入り、そのまま住むことにしたそうです。

「お菓子作りが好きですけれど、電車も好きなんですよ。神立駅のこの場所からだと電車がよく見えるから気に入っているんです」と、この地を選んだ理由のひとつは意外なところにも。

お菓子を作るときには厳しい表情の永田さんですが、少し手を休めて取材に応じてくださるその表情は先ほどの真剣なまなざしが嘘のようにやわらかな笑顔が印象的です。

「神立の町や人に育ててもらった感謝の気持ちを大切にしたい」。これは永田さんが終始おっしゃっていた言葉。

ケーキは、機械に頼れば大量生産ができる上に効率的に作ることができるけれど「アップルハウス」はほとんどの工程を手作業で行うことをこだわりにしています。この手作業、手作りのお菓子こそが感謝の気持ちをカタチにしたもの。食べた瞬間に笑顔がほころぶ表情を思い浮かべながら心を込めて作っているのです。

「アップルハウス」には、平日・週末を問わず、たくさんの買い物客が訪れています。美味しさはもちろんですが、驚くほどのお手頃な価格設定がなんといっても魅力です。

部活帰りの学生さんが100円台の焼き菓子を買いに訪れていたり、ママさんたちが高くても300円台のケーキを買いに訪れていたり。これも永田さんが言うところの地元の人たちに育ててもらったお礼、なのです。

絶対食べてみてほしい、「アップルハウス」の人気スイーツ3選+α

初めて「アップルハウス」を訪れるなら、絶対に食べてみてほしいケーキを3点選びました。地元の食材を使い、素材の旨みを生かしたケーキの美味しさは格別です。

神立産の栗を1個1個手で剥いて、二度濾しした究極の手作り

「和栗モンブラン」(350円)

「アップルハウス」の一番人気であって、永田さん自慢のケーキが「和栗モンブラン」です。ぱっと見た感じはもしかしたら特長が分かりづらいかもしれませんが、食べてみることで違いが明らかに。

「アップルハウス」の和栗モンブランは、神立にある「高野農園」など地元で収穫した栗を使っています。通常モンブランの餡は、業者さんから栗の甘露煮を入手してそれを濾して作るのが一般的ですが、「アップルハウス」では栗を茹でるところから始まり、1個1個皮を剥がして実を濾すという気の遠くなるような工程を行っています。

「栗の収穫時期は9月で、その時に1年分をまとめて農園から譲っていただくんです。それを茹でて剥いて濾して。スタッフ総出で行うのが恒例です」と、永田さん。長年勤めているスタッフさんは秋になると“あぁ、また栗を剥く時期がやってきた”と気を引き締めるそう。

また、舌ざわりを良くするために一度ではなく、二度、その年の栗の出来によっては三度濾すこともあります。和菓子のような素材の甘みがあって舌ざわりもなめらか。食べ進んでいくと中からシュークリームが出てくるというサプライズも楽しい、ここでしか味わうことのできない逸品です。

じっくりと煮詰めたりんごは甘みと酸味の両方が楽しめる!

「りんごパイ」(160円)

リーフ状に成型したパイ生地の中に煮詰めたりんごを敷き詰めて、アーモンドクリームでコーティングした「りんごパイ」は、しっとりとした食感が楽しい人気商品です。「りんごパイ」とは別にアップルパイもありますが、甘く煮詰めたりんごを使っているのがりんごパイで、アップルパイは煮詰める前のりんごをこれでもかというくらいにパイ生地に包んで焼き、素材本来の甘みが楽しめます。

「りんごパイ」の中に詰めるりんごを煮詰めたものも試食させてもらいました。ゆっくりじっくりと煮込んだりんごは、この状態では甘みよりもやや酸味が引き立っていますが、焼き上げることでその両方がみごとに調和してさらにおいしくなります。

一番甘みが増す時期に収穫した地元農園のいちごを惜しみなく

「まるごとイチゴ」(330円)

土浦市白鳥町「ケロケロ農園」は、おいしいフルーツ作りで定評のある生産者さん。その農園から最もおいしい冬の時期のいちごを譲ってもらい、ピューレ状にして冷凍します。ピューレにする量はなんと1年分! 先に紹介した栗のペースト同様に、いちごのピューレ造りは「アップルハウス」の冬の恒例行事になっています。

そのピューレをたっぷりと使ったデザートがこの「まるごとイチゴ」。いちごのピューレに練乳とゼラチンを加えてぷるんぷるんに固めたゼリーはあとを引くおいしさです。

「アップルハウス」のプリンも私の大好物。左の「ママのおやつプリン」(270円)は、卵(全卵)と牛乳、バニラ、グラニュー糖で作る“おうちプリン”のようなつるんとした味わい。右の「なめらかプリン」(170円)は、生クリームと卵の黄身で作るまさに“なめらかさ”が魅力です。お土産としても喜ばれますので、よかったらチェックしてみてくださいね。

店舗情報
ケーキ&レストラン
アップルハウス
住所:茨城県土浦市神立中央1-5-10
電話:029-832-0097
営業時間:9:00~20:30(ランチ11:00~14:00)
定休日:無休(1/1~3除く)
駐車場:あり(無料)
ホームページ:http://www.applehouse-tsuchiura.jp/
Instagram:なし

土浦在住ライター(土浦市)

土浦市在住のフリーランスの編集・ライター。海外・国内の旅行関連のガイドブックや書籍制作をはじめ、ブライダル情報誌の編集にも携わる。食べること・飲むことが好きで、趣味が興じて最近では食を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。地元土浦の飲食パトロール、歴史やカルチャー学習も積極的に行っています。

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