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【土浦市】地元の人たちの元気と愛情もたっぷり。毎月第4日曜開催「子ども食堂」のお弁当ができるまで

コイケケイコ土浦在住ライター(土浦市)

土浦市では、各地区で子ども食堂が開催されています。今回は、土浦五中地区とも呼ばれる神立地区で1月23日(日)に開催された子ども食堂にお邪魔しました。当日だけでなく、下準備で前日から大奮闘の地元の人たちの様子もお届けします。

地元の人たちが運営する、ふれあい食堂「かみもり」

代表の鈴木君枝さん(写真手前左)を中心に毎回20名以上の地元の方々がボランティアとして食堂運営に携わっています。
代表の鈴木君枝さん(写真手前左)を中心に毎回20名以上の地元の方々がボランティアとして食堂運営に携わっています。

2019年5月からスタートして2022年1月で17回目を迎えるふれあい食堂「かみもり」。「みんなでおいしく、楽しくご飯を食べてほしい」。これは、スタートした当初から今も変わることのない食堂運営に携わる人たちの想い。新型コロナウイルス感染拡大防止対策の一環で現在は食堂形式ではなく、お弁当形式になっていますが、形式が違ってもその想いは変わることなく、毎回心を込めて一品一品を作っています。

ふれあい食堂「かみもり」の開催場所は、神立地区コミュニティーセンター

ふれあい食堂「かみもり」は、毎月第4日曜に神立地区コミュニティーセンターで行われます。地域の回覧板や学校の掲示板などで開催のお知らせをしていて、来場1人につき1食を購入することができます。毎回120食分を用意するのですが、おいしさやボリュームなど、回を重ねるごとに評判が評判を呼んで、11時の受付開始とともにあっという間に引換券が完売してしまいます。

2019年12月に来場1000人を突破。ちょうど1000人目にあたった地元の小学生にはお米のプレゼントがありました。
2019年12月に来場1000人を突破。ちょうど1000人目にあたった地元の小学生にはお米のプレゼントがありました。

「子どもから年配の方々まで地区の方がたくさん来てくれるのがうれしいです。今はお弁当ですが、本来の目的は地域の人たちのふれあいの場になること。いつかは食堂形式に戻したいですね」と、代表の鈴木君枝さん。

17回にわたって行われてきたふれあい食堂で作ったメニュー・お弁当の数はなんと2300食以上。1回の開催につきおよそ120食分のお弁当を作るのはとても大変ですが、喜んでくれる人がいると思うと苦ではないと話す君枝さんのやわらかな表情が印象的です。

2021年11月に2000人目で来場されたのは地元にお住まいのご夫婦。ふれあい食堂「かみもり」の開催を毎月楽しみにしてくださっている方のひと組です。
2021年11月に2000人目で来場されたのは地元にお住まいのご夫婦。ふれあい食堂「かみもり」の開催を毎月楽しみにしてくださっている方のひと組です。

お弁当メニューは月替わり。地元の人たちからの食材提供も!

お弁当メニューは毎月異なるので、「来月はなにが食べられるのかな」と楽しみにするリピーターさんもたくさん。ちなみに1月の目玉メニューは、三色ご飯とれんこんもち。

食堂を開催する当日に慌てないように、お弁当を入れる容器のどこに何を入れるかも決めておきます。事前の手順もしっかり書かれていますが、これだけのメニューや配置を考える時間も含めると、1日2日の準備では全然足りません。

「1月の食堂を開催したらすぐに2月の準備です」と、笑いながら君枝さんは話します。

目玉メニューのれんこんもちを全員で作ること300個!

前日昼すぎに神立地区コミュニティーセンターの調理室を訪れるとすでに翌日に向けての準備は始まっていました。全員で行っているのはれんこんの皮剥きです。

10kgにおよぶ大量のれんこんの皮をひらすら剝いていきます。

皮を剥いたれんこんの一部は、飾り用に薄くスライスして水に浸しておきます。

残りのれんこんはフードプロセッサーにかけてペースト状に。あまりの量にフードプロセッサーが弱音を吐いて途中動かなくなってしまうこともしばしば。それでも諦めずにとんとんと叩いてみたり、機械のご機嫌を取りながら時間をかけて作業を続けていきます。どんなトラブルがあっても助け合って笑いながら解決していく見事なチームワークです。

ペースト状にしたれんこんにパン粉と片栗粉、調味料を加えて練っていくことでれんこんもちに。それにしてもすごい量です。

形を整えて一日寝かせて翌日に焼いてきます。

何も加えなくても十分においしいさつまいもをスイートポテトに

この見事なさつまいもは、かすみがうら市の「ひのでや」さんから提供されたもの。ふかしたり、焼いたりとシンプルな調理法でも十分においしいさつまいもですが、今回はスイーツ的な楽しみ方としてスイートポテトに。

さつまいももきれいに皮を剥いてふかします。全部で3kg、鍋4つ分です。

ふかしたさつまいもをなめらかになるまでマッシュして、生クリームやバター、砂糖、卵黄などを加えてさらに混ぜ合わせます。これがまた腰に力のいる重労働。バットに入れて一日冷蔵庫で寝かしてこちらも翌日あぶる程度に焼きます。

いよいよふれあい食堂「かみもり」開店、裏側は相変わらず大忙し

ふれあい食堂「かみもり」開催の日のボランティアの方たちの朝は早いです。11時から受付が開催されるので、それよりも前に神立地区コミュニティーセンターで準備が始まります。

受付スペースでは、申込書と弁当代を渡して、時間指定の引換券をもらいます。密になることを避けるために、引換券を受け取ったら外で待つか、時間になるまで自宅に戻る方もいるそうです。

受け取り時間も密を避けるために15分単位で30個ずつ用意されます。お弁当の受け取りは引換券があれば代表の人だけでもOKです。

15分単位で30個ずつの用意にしている理由はもうひとつ。お弁当の用意を丁寧に行いたいから作り置きしないという点にもあります。とても丁寧に、でも手際良く。まさに時間との闘いです。

お弁当を詰めた後は封をしてお渡しです。この一連の流れを見れば、どれだけ丁寧に愛情たっぷりに作っているのか実感できます。

こちらが1月のお弁当メニューの内容です。

●甘辛く煮た鶏そぼろと甘みたっぷりの炒り卵、歯ごたえの良いきぬさやの千切りを載せた三色ご飯は、彩りも味わいも豊か。

●れんこんもちも甘辛く味付けしたものを焼いて香ばしく。もちもち感がたまりません。

●スイートポテトは甘さ控えめですがコクがあって美味。

●お新香は君枝さんが自宅で漬けたものです。

そのほかにりんごとバナナのヨーグルト・生クリーム和えやマカロニサラダ、きんかんと、とても豪華。これで大人300円、子供100円だというのだから驚きです。

「いただくお代は、材料代にあてさせてもらっています。ボランティアの皆さんの知恵や力もお借りしてやりくりしていますが、あぁ、こうすれば安く美味しく作れるんだ毎回とても勉強になります」と、君枝さん。

1月の食堂に訪れた方には、上高津の田島米店さんからお米のプレゼント(1家族1袋)もありました。

おいしいお弁当の裏側にはなみなみならぬ努力や知恵がありました。地域の皆さんに喜んでほしい一心で、ボランティアのスタッフさん同士で助け合って。

次回2月も第4日曜日にふれあい食堂「かみもり」を開催予定です。

メニューはただいま考案中ですのでお楽しみに!

ふれあい食堂「かみもり」の最新情報は、Facebook「神立手帖」でご案内しています。
神立手帖

土浦在住ライター(土浦市)

土浦市在住のフリーランスの編集・ライター。海外・国内の旅行関連のガイドブックや書籍制作をはじめ、ブライダル情報誌の編集にも携わる。食べること・飲むことが好きで、趣味が興じて最近では食を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。地元土浦の飲食パトロール、歴史やカルチャー学習も積極的に行っています。

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