ショートフィルム

“マニラでこの子拾った” フィリピンの路上に暮らす2人と僕たちは本当に無関係なのだろうか

小西遊馬

ジャーナリスト/映像作家

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フィリピンの道のフェンスに手を縛られている子供に旅行中に出会った。「なんだ?」虐待を想像し衝撃を受け、母親と思しき女性に話を聞き始めた。それが2人との出会いだ。

44歳のホームレス女性マルコと5歳のストリートチルドレン、アンジェロの間には血の繋がりがない。3年以上アンジェロを育ててきたマルコの話を聞くと、実際の母子以上の愛で結ばれているように感じ、突き動かされるように映像を撮り始めた。
アンジェロの母親は売春婦として働いており、客との間でアンジェロを身ごもった。父親は行方をくらまし、残された実母は養育中に麻薬で捕まってしまった。そんな中一人残されたアンジェロと出会ったマルコは、育児を決断したという。
私と出会った2019年3月頃、5歳を迎えたアンジェロに初等教育を受けさせようと、マルコは街を奔走していた。
路上でたくましく生を全うする2人を見つめていく中で、フィリピン社会が抱える問題、そして”家族・愛”という普遍的なテーマが見えてくるように感じた。

<フィリピンとストリートチルドレン>

フィリピン統計局によると、フィリピンの貧困率は21.6%。他のASEAN諸国と比べても圧倒的な数値の高さで、2000万人以上のフィリピン人が、基本的な食糧以外のものを買う経済力がない状況という。
そんな格差の激しいフィリピン社会で、ストリートチルドレンは把握できるだけでも、マニラ首都圏だけで5万人~7万5千人はいるという。(Journal of Asian Mission 13 (2012年10月)より出典)
ストリートチルドレンは、犯罪と隣り合わせの状況に置かれている。
寂しさを埋め合わせるため、空腹をしのぐためにドラッグにはまったり、犯罪に走ったりする子供たちもいる。(「路上のこどものこえ」認定 NPO 法人アイキャンより出典)
女の子は性的虐待にあうリスクもある。
そんなフィリピンのストリートチルドレンと日本人が全く関係ないとは言えない。それがフィリピン人と日本人のハーフである“ジャピーノ”だ。
フィリピン観光省(DOT)によるとフィリピンへの観光客数は日本人が世界で4番目に多く、年間60万人以上とされる。
国際移住機関よると、1980年からこれまでに、ジャピーノは10~20万人誕生していると 見込まれている。
ジャピーノの95%がエンターテイナーと日本人客との間に生まれているといわれ、父親に逃げられた母親の5人に3人が貧困に喘いでいるといわれている。(文献「BATIS/BEEPER」参考(BATIS・国際子ども権利センター))

<フィリピンの性に対する意識>

フィリピンはキリスト教カトリックの信者が人口の83%を占め、フィリピンのカトリック教会は、中絶・避妊に対して非常に厳しい姿勢を取っている。
フィリピン法務省のHPによるとフィリピンでは妊娠中絶は犯罪であり、1930年の改定刑法に基づき、最高6年の禁固刑に処せられる。
BBC NEWS JAPANの報道によると、アキノ前政権時代から、避妊政策を進めようとはしているものの、人工中絶に反対する団体の反発を受け、上手くいっていないという。

社会の様々な背景から生まれたアンジェロという存在を、我が子のように面倒をみるマルコの関係から、私たちは何を学ぶべきなのだろうか。

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本作品は【UPDATE DOCUMENTARY PROJECT】で制作された作品です。
【UPDATE DOCUMENTARY PROJECT】の他作品は下記URLより、ご覧いただけます。
http://original.yahoo.co.jp/collection/movie/feature/updatedocumentary/
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クレジット

監督/撮影/編集
小西遊馬

カラーグレーディング
綿谷達人

協力
竹田憲次郎

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