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【京都市】左京区 紅葉が美しい『真如堂』にある「京都・映画誕生の碑」!

高津商会RICALIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

大文字を背に、青紅葉や紅葉が綺麗で有名な「真如堂」には京都・映画誕生の碑があることをご存知でしょうか?

『大文字』の大が見れる!
『大文字』の大が見れる!

「真如堂」は、984年創建の天台宗寺院。

京都市左京区浄土寺真如町に在し、山号は鈴聲山(れいしょうざん)、本尊は阿弥陀如来。

牧野省三が真如堂を本能寺に見立て、明治41年(1908)、日本映画の第1作目である『本能寺合戦』を撮影しました。

明治30年(1897)

「京都・映画100年宣言」プロジェクト推進協議会による説明書き
「京都・映画100年宣言」プロジェクト推進協議会による説明書き

活動写真』という名で映画興行がはじまりました。

のちの日活社長になる『横田栄之助』が興行を任されました。

日露戦争(明治37~38年)の記録映画を大ヒットさせ、映画制作に乗り出します。

制作の全てを依頼されたのが『日本映画の父』と呼ばれる『牧野省三』です。

明治41年(1908年)

『京都・映画誕生の碑』が建てられてました。
『京都・映画誕生の碑』が建てられてました。

横田から依頼された牧野は、西陣の芝居小屋・千本座を経営し、狂言方として活躍しつも、原作からキャスティング、監督、美術まで全てを請け負いました。

千本座の役者総出の歌舞伎の劇映画『本能寺合戦』を「真如堂」で撮影し、制作します。

これが、まさに『時代劇誕生』『映画誕生』になります。

日本にシネマトグラフが輸入され、元 立誠小学校での試写実験の成功を経てから11年経っていました。

ついにわが国でいわゆる、「劇映画」そして「時代劇」映画が誕生したのです。

残念ながら『本能寺合戦』の映像は残っていませんが、宣伝用チラシは実在します。

『真如堂』

『本堂』
『本堂』

初夏には青紅葉、秋には紅葉でも有名な真如堂は、裏庭に回ると大文字山にくっきりと大の字が見えます。

慈覚大師円仁が一刀三礼にて彫刻した、本尊の阿弥陀如来は「頷きの阿弥陀」と呼ばれます。

「京の都に下って、一切衆生をお救い下さい。中でも女人等を救いたまえ」と言うと、阿弥陀像は三度頷かれたという伝説が残るようで、特に女性からの信仰が熱い所以ですね。

三井家の菩提寺で三井高利ら三井一族の墓石が並んでおり、特に女性にご利益があると知られます。

『五芒星』の絵馬が見られます
『五芒星』の絵馬が見られます

寺の縁起では、御本尊の阿弥陀如来の左側に祀られた不動明王が、安倍晴明の念持仏でした。

晴明公が亡くなった際、この不動明王が閻魔大王の前で命乞いをしたことで、蘇ることができました。

この時に閻魔大王から授かった「決定往生の秘印(五行之印)」は陰陽道を表しているように、五芒星を表しています。

紅葉の綺麗な季節は観光客も多く訪れます
紅葉の綺麗な季節は観光客も多く訪れます

テレビでおなじみの「京都サスペンス」系や、「高津商会」も美術など担当させてもらっている、「科捜研の女」などでもロケ地として使わています。

京都府文化財『三重塔』
京都府文化財『三重塔』

京都・映画誕生の場所で、様々な歴史に思いを馳せながら、四季の移り変わる景色などを楽しんでみるのもいいですね。

真如堂
所在地: 〒606-8414 京都府京都市左京区浄土寺真如町82
拝観時間: 09:00-16:00
電話: 075-771-0915

LIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都で生まれ育つ。世界各地を周遊、欧米中心に20年ほど滞在し京都に帰還。日本のコアな伝統文化や芸能、神社仏閣や裏歴史、催事らを国内外の旅サイト・雑誌・新聞で執筆。経験に基づく“陰謀説”の電子書籍出版あり。ジャーナリスト、写真映像家、イベントプロデューサー、特殊ツアーガイドから日本庭園庭師までマルチに活躍。京都太秦にある老舗『髙津商会』にて映画・美術装飾・アート&エンタメ、海外事業に携わりつつ伝統文化・芸能などに関わる史実や古美術らについて勉強中。『京愛』や『日本愛』を深める毎日。

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