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【京都市】右京区「嵐山」天龍寺七福神・水摺大弁財天『慈済院』で龍について学ぶ

高津商会RICALIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

天龍寺・塔頭 『慈済院』

本殿に安置し奉る大辨財尊天は 七朝の帝師として道徳の誉れ高く 禅風を挙揚して 普く衆生済度の功業を施し給える
 天龍寺開山夢想國師が霊感に依り 法力信念を籠め一刀参禮を以って彫刻し 後生利益の為に当院開山佛慈禅師に授與した眞に由緒深き御霊像なり 世に開運出世大辨財尊天と尊称し奉る
 新水吉日を卜として 香水を以って尊影を浄写し「巳成金の日」の大祭に抽籤により篤信者に謹呈す 故に水摺福壽辨財尊天と通称し奉る
 六百五拾有星霜その霊験顕著にして香華の絶えることなし
出所:『水摺福壽辨財尊天 由緒』慈済院駒札

南北朝時代の1363年(正平18年・貞治2年)に天龍寺(てんりゅうじ)第2世・無極志玄(むごくしげん)が創建しました。無極志玄は第84代・順徳天皇の孫・尊雅王(たかまさおう)を父として生まれ、鎌倉浄智寺(じょうちじ)開山・南洲宏海(なんしゅうこうかい)の元で出家し、東福寺(とうふくじ)第7世・無為昭元(むいしょうげん)に学び、天龍寺開山である夢窓国師(むそうこくし)・夢窓疎石(むそうそせき)の法を継ぎました。江戸時代前期の寛永年間(1624年~1645年)に焼失して天龍寺山内に移ったが、その後も荒廃したり、焼失したりしました。1930年(昭和5年)に福寿院を合寺しました。慈済院は臨済宗天龍寺派大本山・天龍寺の塔頭です。

水摺大弁財天

七福神のお一人である「弁財天」様がいらっしゃるのが『慈済院』(じさいいん)です。

1363年、夢窓疎石法嗣で天龍寺2世無極志玄を開祖に創建されました。

節分に行われる天龍寺七福神めぐりの一つで3番札所である弁天堂には、夢窓国師が彫刻し無極志玄に授興したという弁財天(水摺大弁財天)が祀られています。

弁財天祠堂の前に立ち、ご参拝することはできますが、ご開帳は毎年2月3日のみ。芙蓉の花が綺麗に咲いていて、行き交う人々を魅了していました。

その『慈済院』の門は、天龍寺の塔頭の中では異色の中国風の来福門となっており、竜宮造りの門と白壁が特徴。

一間薬医門、切妻造本瓦葺で、本柱頂部を繋ぐ冠木を男梁と女梁で挟み、男梁上の板蟇股で棟木を受ける。軒は二軒疎垂木である。天龍寺最古級の表門であり塔頭の表構えを伝える。

天竜

弘源寺の西隣に位置する塔頭寺院で、天龍寺が最後に焼失した1864年の大火を免れた寺院として知られています。

弁天堂の天井に描かれている日本画家・里見米菴(さとみべいあん)の筆による龍図も見逃せません、常に仏法の雨を降らしていらっしゃいます。

天龍寺の七福神

世界遺産である天龍寺では、天龍寺七福神めぐりが毎年節分(立春の前日)に行われています。

水摺大弁財天以外に、「三秀院」の東向大黒天・「弘源寺」の毘沙門天・「松厳寺」の福禄寿・「妙智院」の宝徳稲荷・「寿寧院」の赤不動明王・「永明院」の恵比寿があります。

七福神といっても天龍寺の七福神は一般的な組み合わせではなく、布袋尊と寿老人の代わりに不動明王と稲荷が含まれています。

恵比寿は商売繁盛・五穀豊穣・大魚守護

大黒天は五穀豊穣・出世開運・商売繁盛

弁才天は学徳成就・諸芸上達・福徳施与

毘沙門天は武道成就・降魔厄除・家内安全

布袋尊は千客万来・家運隆盛・商売繁盛

寿老人は幸福長寿・家庭円満・延命長寿

福禄寿は財運招福・延命長寿・招徳人望などのご利益があるとされています。

映画のロケ地としてもよく知られる天龍寺さん。紅葉が綺麗な季節には毎年多くの人が訪問します。太秦にある撮影所近くにある老舗『高津商会』の本社からも近いので、私も「芸能の神様」である弁財天様にお参りさせてもらいに行きます。派手な格好をしているからか、撮影所の役者さんと間違えられ声をかけられるなど、嬉しい喜びもあります。

天龍寺
天龍寺

山々の葉が色づいていくのを感じながら秋の気配や幸せを是非、ご堪能ください。

【慈済院】
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町66
電話:075-861-0316

LIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都で生まれ育つ。世界各地を周遊、欧米中心に20年ほど滞在し京都に帰還。日本のコアな伝統文化や芸能、神社仏閣や裏歴史、催事らを国内外の旅サイト・雑誌・新聞で執筆。経験に基づく“陰謀説”の電子書籍出版あり。ジャーナリスト、写真映像家、イベントプロデューサー、特殊ツアーガイドから日本庭園庭師までマルチに活躍。京都太秦にある老舗『髙津商会』にて映画・美術装飾・アート&エンタメ、海外事業に携わりつつ伝統文化・芸能などに関わる史実や古美術らについて勉強中。『京愛』や『日本愛』を深める毎日。

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