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【京都市】下京区 五条にある『天使突抜』と『五條天神宮』の関係

高津商会RICALIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都市の下京区五条に、天使突抜というエリアあるのをご存知ですか?

これは、”てんしつきぬけ”と呼びます。「天使が突き抜ける」町とは、どういう町でしょう?

西洞院通と油小路通の間に位置する「天使突抜」は、松原通にある「五條天神宮」が大きく関係しています。

五條天神宮(天使社)

五條天神宮」は、平安遷都の際に桓武天皇の命により、弘法大師・空海によってこの地に勧請されたと伝わる古い社です。病気退散・厄除け・農耕・医薬の神として信仰されています。

大己貴命(おおなむちのみこと)、少彦名命(すくなひこなのみこと)、天照大神(あまてらすおおみかみ)の3柱がご祭神です。

「天使の宮」または「天使社」と呼ばれてきましたが、後鳥羽上皇の時代に「五條天神宮」と改められます。

松原通側に建てられた「皇国医祖神五條天神宮」という石標をみることができます。

日本書紀には、病を療(おさ)める方を定めたと書かれていたり、富士川游『日本医学史綱要』(1933年)に「歴史家あるいはこの両神を以て我が邦医学の鼻祖なりとせり」と記しているそう。

医祖神之碑
医祖神之碑

少彦名(すくなひこな・すくなびこな)命ですが、「少名毘古那」とも書かれ、大己貴命とセットで語られることも多いようです。体の小さい神で、大国主神(大己貴命)と協力して国づくりを行い、のち常世国とこよのくにに帰った、『医薬の神』とされます。

厄除けの神様として、毎年2月の節分祭では、日本最古とも伝わる宝船図(船に稲穂を一束乗せた簡素な図案が描かれている)を授与してもらえますよ。

創建は延暦13年(794年)、桓武天皇の平安京遷都の折、大和国宇陀郡から空海が勧請したとされる洛中最古社。天皇のご病気や疫病流行の折には、病気退散のため社前に靭(ゆき)を掲げて祈願し、室町時代以降は疫神、医道の祖神とされた。また最澄と空海は唐への出発前、当社において無事帰国を祈願している(wikiより)

『義経記』によれば、あの牛若丸と弁慶が出会った場所は「五条大橋」ではなく、実はこの「五條天神宮」であったとの記載もあるようです。

天正年間(1573~1592年)に五條天満宮(天使宮)の境内を貫くかたちで道が通され、そのことから「天使の社を突き抜けて作られた」ことを意味する「天使突抜」と呼ばれるようになったそうですよ。

五條天神社(天使宮)

 住所 京都市下京区松原通西洞院西入ル天神前町

 交通 地下鉄「五条」下車、徒歩約5分

LIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都で生まれ育つ。世界各地を周遊、欧米中心に20年ほど滞在し京都に帰還。日本のコアな伝統文化や芸能、神社仏閣や裏歴史、催事らを国内外の旅サイト・雑誌・新聞で執筆。経験に基づく“陰謀説”の電子書籍出版あり。ジャーナリスト、写真映像家、イベントプロデューサー、特殊ツアーガイドから日本庭園庭師までマルチに活躍。京都太秦にある老舗『髙津商会』にて映画・美術装飾・アート&エンタメ、海外事業に携わりつつ伝統文化・芸能などに関わる史実や古美術らについて勉強中。『京愛』や『日本愛』を深める毎日。

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