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【京都市】中京区『革堂・行願寺』で藤袴と平安時代を思う♪

高津商会RICALIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

秋になると、「藤袴」という白い小さな花が咲くのをご存知でしょうか?

秋の七草の一つとして数えられていますが、京都府では絶滅寸前種に指定されています。その藤袴が毎年10月半ば、『革堂行願寺』『下御霊神社』『寺町通り』あたりにたくさん並びます。

可憐な藤袴がズラ〜と並んだ様子は壮観で、近辺は藤袴の香りに包まれまれ、この時にだけ舞う可憐な蝶「アサギマダラ」も見られます。

「革堂・行願寺」は、山号を霊麀山(れいゆうさん)という天台宗の寺院で、「革堂 (こうどう/かわどう)」とも呼ばれ、地元の人からも愛されているお寺さんです。

1004年に行円が一乗小川に堂を建てたのが、『行願寺』の始まりと言われています。

洛陽三十三所観音霊場であり、西国第19番札所でもあるので、多くの参拝客は御朱印を片手にお参りをされています。

毎年10月中旬に「源氏藤袴会」の主催で「藤袴祭」が行われています。今年はもう終わってしまいましたが、まだ藤袴を楽しむことができますよ!

境内のあちこちに、藤袴の列が見れます。本当にぽわ〜とするようないい香りがふわぁとあちらこちらからしてきて私まで蝶になってひらひら飛び回りたい気分になります♪

開基した「行円」は元々猟師でした。射止めた牝鹿から子鹿が生まれ、傷ついた鹿が愛おしそうに小鹿をなめながら息絶える様子を見て、殺生の罪を悔やみ仏門に入ったと伝えられています。その射止めた鹿の革に経文を書いて、かぶっていたことから「皮(革)聖」とよばれ、そのお堂を「革堂」さんと呼ばれるようになったとか。

本堂は文化12年(1815)の建立で、京都市有形文化財。とっても重厚な作りです。

「アサギマダラ」の願い札がひらひらと風に舞っていました。

境内には猫ちゃんたちも保護されていて、とっても大切にされています。いつも私も一人になって癒されたい時に猫ちゃんに会いにきて、お世話になっているお寺さんです…w

「行円上人布教之真影」と行円上人ゆかりとされる「車石」
「行円上人布教之真影」と行円上人ゆかりとされる「車石」

藤原氏や源氏、後鳥羽上皇など平安時代の歴史を動かした偉大な人々も、寄進や参拝に訪れていたそうです。

ご本尊の「千手観音像」は行円の作と伝えられ秘仏とされています。

境内の奥には「寿老人神堂」があり、その横には奉納された七福神の石像がいらっしゃいます。寿老人は「南極寿星寿老神(寿老人神堂)」と呼ばれています。

大きな五輪塔の水輪部分に、室町時代の作と伝わる「加茂大明神」が祀られています。

その隣には「出世弁財天」さまがいらっしゃいました♪念入りにお参りいたします…

「鎮宅霊符神(鎮宅霊符神堂)」もいらっしゃいます。衆星守護をつかさどる神とされ「北辰妙見菩薩」と同一視されることも多い「鎮宅霊符神(鎮宅霊符神堂)」。宇宙創造の中心とされた北極星や北斗七星を神格化したものともいわれています。

夏に特別公開される『宝物館』では、保管されている「革衣」や「幽霊絵馬」が見れます。

「幽霊絵馬」は1816年、奉公人として働いていた『お文』という若い女性が浄土宗の御詠歌を子守唄として子供に歌い聞かせていたということで折檻され庭に埋められてしまいます。お文の両親が革堂の千手観音像に無事を祈ると、お文の亡霊が現れました。

『主人に殺され庭に埋められています、(母にもらった)鏡を一緒に埋めてください』と伝えたそう。そのお文が大切にしていた手鏡も宝物館に保管されています。

毎年8月22日~24日の3日間に行われる幽霊絵馬供養の際に一般公開もされますよ!

都会のオアシスである「革堂・行願寺」さんの藤袴の可憐な姿と香り、そして可愛い猫ちゃんたちにぜひ癒されてください♪

行願寺(革堂)
〒604-0991 京都府京都市中京区 竹屋町上ル行願寺門前町17

LIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都で生まれ育つ。世界各地を周遊、欧米中心に20年ほど滞在し京都に帰還。日本のコアな伝統文化や芸能、神社仏閣や裏歴史、催事らを国内外の旅サイト・雑誌・新聞で執筆。経験に基づく“陰謀説”の電子書籍出版あり。ジャーナリスト、写真映像家、イベントプロデューサー、特殊ツアーガイドから日本庭園庭師までマルチに活躍。京都太秦にある老舗『髙津商会』にて映画・美術装飾・アート&エンタメ、海外事業に携わりつつ伝統文化・芸能などに関わる史実や古美術らについて勉強中。『京愛』や『日本愛』を深める毎日。

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