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【京都市】「京の地蔵盆」は旧街道入り口『六地蔵巡り』で小野篁作地蔵に疫病退散・家内安全・福徳招来祈願

高津商会RICALIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都では、夏のお盆の季節にご精霊(しょうれい)さまと呼ばれるご先祖さまの霊と共に過ごし、大文字で送り火に手を合わせて冥土にもどられる御霊を拝む行事が終わると、次は「六地蔵めぐり」で6寺をまわり、お地蔵さまに手を合わせます。

六地蔵めぐり2023年(令和5年)8月22日(火曜日)・23日(水曜日)5:00~22:00

もともと、「六地蔵めぐり」とは「小倉百人一首」にも和歌が収録されている歌人としても知られる「小野篁(おの の たかむら)」が作ったお地蔵さまを巡り玄関に吊るすと疫病退散などのご利益があるとも言われている「お幡」をいただきに行くことを言います。

小野篁という人は、京都では『六道珍皇寺』の庭にある井戸から冥府へ毎晩通い、閻魔庁で閻魔大王に仕えていたと言われる、謎多き方として知られています。

『六道珍皇寺』さんは、お盆の時に京都の人がお精霊さんの「迎鐘」をつきにいく場所です。

珍皇寺さんの周辺は、中世以降「六道の辻」と呼び、他界(地獄)への入り口とされてきたところです。

過去記事をご参照ください→ 京のお盆『精霊迎え』で「六道珍皇寺」の鐘ついてご先祖様の霊をお迎え♪

「子育地蔵」さまのいらっしゃる六堂の辻『西福寺』で迎え鐘♪

「六道珍皇寺」さんは、小野篁卿がいらっしゃった旧跡でもあり、小野篁の像も閻魔大王とともに祀られています。

桂六地蔵
桂六地蔵

8月22日&23日に行われる伝統行事である『京の六地蔵めぐり』では、小野篁(おののたかむら)公により852年に作られた六体の地蔵尊像をめぐります。

過去記事をご参照ください→8月22日&23日は800年以上続く『六地蔵めぐり』で家内安全・無病息災を祈る♪

篁は48歳のときに一度息絶えて冥土に行き、生身の地蔵菩薩を拝して甦った後に、冥土で会ったお地蔵さんの姿を再現して一本の桜の大木から六体の地蔵菩薩像を作りました。

京の都の出入り口となる平安時代の主な街道は、奈良街道・西国街道・山陰街道・周山街道・鞍馬街道・東海道の6つ。

その出入り口に六角形のお堂を建てられ、その中に六体の地蔵がそれぞれにお祀りされており、8月22日と23日にお参りして、一体づつ「お幡」をいただきます。(一体300円)

800年以上も続くこの「六地蔵めぐり」では、外周総距離50~60kmと言われる距離を1日で昔の人は歩いて回ったそうですよ!

「お幡」6体をまとめて玄関に吊るすと、厄病退散や福徳招来のご利益があると言われています。

家内安全、無病息災を祈願する京都伝統の習わしです。

「高津商会」のある太秦にも「常盤地蔵」さまがいらっしゃいます。源義経の母、常盤御前が晩年に住んでいたという伝承があり、お墓があるお寺です。

大善寺(伏見地蔵)は奈良街道、浄禅寺(鳥羽地蔵)は西国街道、地蔵寺(桂地蔵)は山陰街道(丹波街道)、源光寺(常盤地蔵)は周山街道、上善寺(鞍馬口地蔵)は鞍馬街道(若狭街道)、徳林庵(山科地蔵)は東海道。

「六地蔵めぐり」では初盆に水塔婆供養し、3年間巡拝すると六道の苦を免れるとも言われています。

「六道」とは地獄道(じごくどう)・餓鬼道(がきどう)・畜生道(ちくしょうどう)・修羅道(しゅらどう)・人間道(にんげんどう)・天道(てんどう)のことで、人は因果応報により、死後六道を輪廻転生すると説明していただきました。

今年は、コロナ以前のように屋台を出して町全体で「地蔵盆」を盛り上げるところもあるようですよ♪

山科地蔵
山科地蔵

「山科地蔵」のいらっしゃる『徳林庵』さんがある四ノ宮界隈では毎年、子供達もとっても楽しみにしている「四ノ宮まつり」で数多くの屋台が出て道を歩くのも困難なほどの人が集まっていました。

「六地蔵巡り」自体はどこも5時から22時まで行われますが、山科で一番大きな祭りである「四ノ宮まつり」の屋台が出るのはだいたい夕方から。

開催場所は、山科駅前から四ノ宮駅の区間です。縁日の露店に、多くの人が集まりますので、どうぞ開催詳細をご確認の上で安全にご訪問ください。

今年も私は「六地蔵巡り」をしながら皆様の健康と幸せを祈願したく思います♪

伏見六地蔵ー伏見区桃山町西山24ー大善寺ー奈良街道

鳥羽地蔵ー南区上鳥羽岩ノ本町93ー浄禅寺ー西国街道

桂地蔵ー西京区桂春日町9ー地蔵寺ー山陰街道

常磐地蔵ー右京区常盤馬塚町1ー源光寺ー周山街道

鞍馬口ー地蔵北区鞍馬口寺町東入る上善寺門前町ー上善寺ー鞍馬口街道

山科地蔵ー山科区四ノ宮泉水町16ー徳林庵東海道

LIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都で生まれ育つ。世界各地を周遊、欧米中心に20年ほど滞在し京都に帰還。日本のコアな伝統文化や芸能、神社仏閣や裏歴史、催事らを国内外の旅サイト・雑誌・新聞で執筆。経験に基づく“陰謀説”の電子書籍出版あり。ジャーナリスト、写真映像家、イベントプロデューサー、特殊ツアーガイドから日本庭園庭師までマルチに活躍。京都太秦にある老舗『髙津商会』にて映画・美術装飾・アート&エンタメ、海外事業に携わりつつ伝統文化・芸能などに関わる史実や古美術らについて勉強中。『京愛』や『日本愛』を深める毎日。

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