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【横浜市】チャーシューがすごい!天津飯には鍛錬を感じ…町中華の底力を味わい尽くす/自由軒

krayskyライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

横浜・長者町。夜、仕事を終えた男たちが次々に流れ込む町中華の名店がある。暑さ寒さでつらい日も、ここで飯を食えば明日に光が差す――「自由軒」。

最寄り駅は京急・日ノ出町駅。JR桜木町・関内駅や市営地下鉄伊勢佐木町駅からも徒歩圏内。赤く浮かび上がる看板に、途切れることなくお客さんが向かう。

必要ですね、瓶ビール。

ではまず、チャーシューを。…分厚くないか?デカくないか?どこのアンガスステーキですか?といった風貌の、チャーシュー。

箸が重たいと申しております。しっかりと染み込んだタレ、これがなかなか繊細なお味で。さらに感動するのは、千切りされたネギの切り口。基礎修行のなせる技なのか、長年の鍛錬なのか、こういう鋭い切り口に出会ったときには、よくよく噛みしめて味わうことにしている。

「餃子」。「わたしはふつうのギョウザですよ」といった雰囲気で出てくるが…。

ところがどっこい、こんなにふるふるとしたギョウザあったかしら?という口当たり。ワンタンを思わせる滑らかな皮で、するすると飲み込んでしまう。優しくもスタミナがつきそうな一品。

お次は「さけ」を。店内の壁に掲げられたメニュー表「御飲物」の端に、平仮名で「さけ」。カップ酒じゃないですよ。カウンターの向こうからするりと一升瓶が出てきて、なみなみと注がれます。

この時点で満足度はかなり高いが、いよいよメイン料理へ。

王者の風格「天津チャーハン」。スープがサービスで付いてくる。

要素が多いだけに、あんがサラサラすぎるとかドロッとしすぎるとか、卵が硬すぎるとか柔らかすぎるとか、ご飯がパサパサだとかべとつくとか、難しいのですよ天津飯は。しかしこれは…。

非の打ち所がないとはこのことか!そしていつ来ても、安定した品質で出てくることを確信させる何かがある。ここにも、修行と鍛錬を感じる。筆者は普段あまり天津飯を注文しないのだが、これは食べてよかった。

中にはしっかりと火の力を感じるチャーハンが仕込まれている。

カウンター4,5席とテーブル二つで、店内は決して広くない。日曜定休で、そのほかは18時過ぎから午前2時頃までの営業(祝日は不定休)。

冒頭で「仕事を終えた男たちが次々に流れ込む」と書いたが、「仕事を終えた女たち」でも、「仕事をしたくない人たち」でも、人生を抱えている者がホッと一息つける店。一皿の量が多いため、自由軒に行く日はよく体を動かし、腹ペコで訪れることをお勧めしたい。

夜の街に「自由軒」の文字が光る。心は自由でありたいものだ。

<店舗情報>
自由軒
住所:横浜市中区長者町9-172
アクセス:京急日ノ出町駅から徒歩3分
自由軒 食べログサイト

ライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

東京生まれ、東京&神奈川&アメリカ大陸育ち。出版社やメーカー勤務を経て、好奇心とともに東奔西走。好きな言葉は「一石二鳥」「三つ子の魂百まで」。文化/日本語/フィクションとノンフィクション/経済的/すこやかな生活。

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