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【横浜市】映画館への支援4千万円に迫る 単館系や名作上映するジャック&ベティ存続へ

krayskyライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

ミニシアターの「シネマ・ジャック&ベティ」(中区若葉町)のクラウドファンディングが、目標金額の3000万円を超えて4000万円に届こうとしている。クラウドファンディングは昨年11月に始まり、1月31日まで行われている。コロナ禍や設備老朽化などの苦境に立たされたミニシアターに、多くの支援が届いている。

黄金町駅から徒歩5分。前身の「横浜名画座」を引き継いで1991年にオープン、2005年の一時閉館を経て2007年に現体制で再開したミニシアターだ。

大型映画館の上映ラインナップとは異なり、国内外の良作やドキュメンタリー、自主制作映画などに力を入れる「街の映画館」だ。

時には映画館を飛び出し、中華街の「同發新館」を上映会場にした「横浜中華街映画祭」、「大岡川桜まつり」での野外上映を行うなど、地域の映画文化を盛り上げて来た。

しかしコロナ禍の観客減によって苦しい経営状況が続き、施設の老朽化も重なったことで「閉館待ったなし」となり、広く支援を呼びかけることとなった。支援金は、エスカレーター等の設備修繕費、映写機の入替費用、コロナ禍の税金・社会保険料等の未払金などに充てられる。

目標金額の3000万円は12月に達成、間もなく4000万円に届こうとしている(1月15日現在)。ジャック&ベティのクラウドファンディング詳細は「Motion Gallery(モーションギャラリー)」のウェブサイトから。Motion Galleryは映画・アート・写真など、クリエイティブな活動への支援を掲げているクラウドファンディング・プラットフォーム。過去には全国のミニシアターを支援する「ミニシアター・エイド基金」も行った。

館内の寄せ書きスペースには、応援メッセージや映画館との思い出などが多く寄せられている。劇場窓口での寄付、劇場への振り込みなども受け付けている。

シネコンでドキドキハラハラするのもいいが、街の映画館で心に響く一作に出会うことも大切にしたい。1月の上映スケジュールは次のとおり。「ジャック」と「ベティ」の2スクリーンがあり、毎日10作品前後が上映されている。

シネマジャック&ベティ ホームページより
シネマジャック&ベティ ホームページより

館内にはポスターや映画評で飾られた、作品紹介スペースが。こちらは1月現在上映中の「枯れ葉」(アキ・カウリスマキ監督、2023年)の特集。ジャック&ベティでのカウリスマキ作品上映は、「希望のかなた」「ル・アーヴルの靴みがき」なども記憶に新しい。

1月13日から19日までは企画上映「ディープヨコハマを映画とあるく」にて、「野良犬」(森崎東監督、1973年)も上映中。京浜工業地帯を舞台に、渡哲也演じる若い刑事が奔走するストーリー。1970年代の熱気がスクリーンから伝わるとともに、当時の横浜・川崎の姿が記録されており貴重だ。DVD化などがされておらず、劇場に足を運んでこその一本。

地域とともにある映画館。支援の後押しを受けて、今後の上映スケジュールも楽しみにしたい。

<施設情報>
シネマジャック&ベティ
住所:横浜市中区若葉町3-51
アクセス:黄金町駅から徒歩5分、阪東橋駅から徒歩7分
シネマジャック&ベティ ホームページ
※記事内で紹介したクラウドファンディング(終了日は2024年1月31日)は「Motion Gallery(モーションギャラリー)」のウェブサイトで行われている。

ライター/東京神奈川行ったり来たり(横浜市)

東京生まれ、東京&神奈川&アメリカ大陸育ち。出版社やメーカー勤務を経て、好奇心とともに東奔西走。好きな言葉は「一石二鳥」「三つ子の魂百まで」。文化/日本語/フィクションとノンフィクション/経済的/すこやかな生活。

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