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【京都市右京区】新発見!伊藤若冲の巻物「果蔬図巻」福田美術館のコレクションに追加

くまライター(京都市)
すべて許可を得て撮影しています

江戸時代の人気絵師・伊藤若冲による巻物があらたに発見され、入手した京都・嵐山の福田美術館によって初披露されました。

福田美術館
福田美術館

まさかの新発見「果蔬図巻」

今回発見された巻物「果蔬図巻(かそずかん)」は1791年、若冲が76歳のときに描かれた全長3メートルあまりの大作。若冲ならではの美しい色彩を用いてさまざまな野菜や果物が描かれています。

この巻物はヨーロッパの個人が所有していたもので、2023年8月に福田美術館が入手。約4ヶ月かけて応急修復され、晴れて公開となりました。

学芸課長の岡田秀行さん
学芸課長の岡田秀行さん

学芸課長の岡田秀行さんによると「まさかこんな作品があるとは思っていなかった」とのこと。

うーむ、探せばあるものですなあ。

若冲はやっぱり野菜が好き?

巻物には約40種類の野菜や果物が四季に関係なく配置されています。

保存状態がよく、中間色がきれいに残っていて、実に美しい。

若冲はこの「果蔬図巻」を描いた翌年に重要文化財に指定されている「菜蟲譜(さいちゅうふ)」(佐野市立吉澤記念美術館所蔵)を書いており、この2つの作品には描かれている野菜や彩色方法など、共通点が見られるそうです。

そういえば、若冲は錦小路にあった青物問屋(八百屋)の生まれ。八百屋さんが野菜を描いてるのがなんだか面白い。

40歳で家業を弟に託して画業に専念した若冲ですが、やはり野菜や果物に愛着があったのかもしれませんね。

巻物の最後には若冲と深い親交があった相国寺の僧・梅荘顕常が直筆で書いた跋文(ばつぶん)があります。

跋文とは文書の終わりに描かれる「あとがき」のようなもので、大阪の森玄郷という人物からの依頼で描かれたことや、森玄郷の没後に息子の嘉続から跋文の依頼を受けたことなどが記されており、貴重な資料となっています。

「果蔬図巻」は福田美術館のあらたなコレクションとして、10月から開催される「開館5周年記念特別展:京都の嵐山に舞い降りた奇跡! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」で一般公開される予定。長いので「若冲激レア展」と覚えてください。

「開館5周年記念特別展:京都の嵐山に舞い降りた奇跡! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」(若冲激レア展)
会場/福田美術館
   京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
   075-863-0606
会期/2024年10月12日(土)〜2025年1月13日(月)
Webサイトはこちら

ライター(京都市)

大阪生まれの大阪育ち、京都在住のライター・DTPデザイナー・イラストレーターです。京都の情報誌を経てフリーランスになりました。よろしゅうおたのもうします。

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